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図解力・文章力の習得は外国語を学ぶようなもの

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さて、最近思うに、文章や図を書く力を身につけるのは、外国語を学ぶことに似ています。 何が似ているのか、おおまかに挙げていくと

(1)必要な知識は難解ではないが、量が多い

(2)日常的に何度も使い続けないと上達しない

(3)単に「使い続ける」だけだと一定のレベルで頭打ちになる

(4)法則的知識を知っておくと学習スピードが速くなるのに、なぜか軽視されている

(5)現場でフィードバックをくれる人がいると上達が早い

まとめ:図解力・文章力のトレーニングは外国語のようなもの

といったところが挙げられます。今日はこのうちの(1)と(2)について。

(1)必要な知識は難解ではないが、量が多い

たとえば英語であれば he, she, this, that, is, are, speak, walk, write... 等々、大量の単語を覚える必要があります。単語自体は難解なものではないですが何しろ数が多いですね。英語の新聞や小説を読むにはおよそ8000~10000語が必要と言われています。

実は日本人が日本語で何か書く場合にもこの「単語の壁」は結構あります。というのは、「日本人だから日本語は知っている」かというと意外にそうでもなく、仕様書、提案書、報告書などの「仕事で使う文書」の表現は日常使うものではないので、「読めるけれど、書けない」というケースが多発するためです。私が図解の講座をやっていても、ラベルをつけるときに「ちょうどいい言葉が思いつかない」という壁にぶつかる方が非常に多いのです。

(2)日常的に何度も使い続けないと上達しない

自慢じゃないですがというより、恥ずかしながら私は英語が苦手でした。まあ、「苦手」が意味するレベルも人によって違うので、ITの技術文書をそこそこ読めるなら苦手とは呼ばないという考え方もあることでしょう。けれど読むのはできても書く方はさっぱりダメ、聞く・話すは壊滅だったのでやはり自分の感覚としては「苦手」です。そんな状態で45を過ぎるまで、何度か勉強しようとしたことはありますが毎回長続きせず、仕事で英語を話す・書く機会もなかったためさっぱり上達しませんでした。

ですが、数年前、具体的には2015年頃から私にしては珍しく三日坊主で終わらず地味~に勉強する習慣が続いてまして、その結果我ながらあれれ? と思うぐらいに上達してきました。まあ、仕事で何度も使った経験は無いのでまだまだですが、少なくとも3時間の研修講師を英語でこなせるぐらいにはなりました。

何をやったかといえば、地味~に単語や表現を調べて英作文をするワークを繰り返したわけです。最初は全然思うように言葉が出てこないのでうんざりしましたが、めげずにずっとやっていたらだんだんと出てくるようになりました。アラフィフでも新しい勉強はできるんですね(笑)。まあ世の中には60過ぎて大学入る人もいますしね。

それで「知っている単語であってもなかなか思うように出てこない」間に感じたのが、

「図解ができない、文章が書けない」と悩んでいる人もこういう状態なんだろうな・・・

ということです。最初のうちは全然できなくてどよーんと落ち込むかもしれません。でも、自分が普段使っているのとは違う新しい表現方法を学ぶのは外国語を学ぶようなものなので、実はできなくて当たり前なんです。ですので、日常的に何度も使い続けてください。

ただし、「使っていればそれだけで上達するか」というとそうはなりません。この点は次の話題で。


この記事は著者の公式サイトからの転載です。

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