人事・組織領域を専門とする、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティング担当です。欧米の人事・組織・マネジメント関連情報をお伝えします。人事やマネジメントの方々にとって、未来の組織を作り出す一助になれば大変うれしいです。

間接部門を市場原理に晒そう

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。


Harvard Business ReviewのHBR Blog Networkにおいて、社内における間接部門への競争原理の導入に関する記事が掲載されていました。



How an Auction Can Identify Your Best Talent

http://blogs.hbr.org/2013/12/how-an-auction-can-identify-your-best-talent/



著者はJordan Cohen氏というコンサルタントで元ファイザー製薬に勤務されていた方のようです。



人気教師を選ぶオークション


そもそものアイデアの発端は、住んでいるニューヨークの公立学校での年1回のオークション祭りだったようで、通常ではバザーのようにスポンサーや父兄から集めた物品をオークションで競り上げていくもの。ただその学校では一風変わったオークションが開催されており、


But instead of donating an item, teachers donate their time, offering a shared experience with a student at places like the Museum of Natural History, Lincoln Center movie theater, or the Bronx Zoo.

物品をオークションにかけるかわりに、教師たちは自然史博物館やリンカーンセンター映画館、ブロンクス動物園などへ行くといった共有体験をする時間をオークションにかける。



という取り組みをしているのだとか。そこで明らかになるのは、人気があったり教え方がうまかったり、といった要素。


Teachers in high demand have numerous entries on their bid sheets, as parents are willing to pay the premium price for a coveted afternoon with the best teachers. Conversely, the teachers in low demand go for lower prices ? with some not even receiving a single bid (ouch).

より需要の高い教師には高額の入札が入るが、それは両親たちが最上の教師たちと過ごす午後のひと時に対してプレミアム価格を払いたいと思っていることを意味する。逆に需要の低い教師には低額の入札しか入らず、そして数人については入札さえされない人も出てくるのだ(これは痛い)。



企業経営へのメタファー


ここから著者は、この仕組みをうまく企業内にも取り込めないか、と考えます。



We all know that options and competition in markets breed higher quality, lower cost, and greater innovation. Our entire economic system (as imperfect as it is) is based on this concept.However, there is one place where options and market forces tend to be absent ? in the function departments of large corporations.

この市場におけるオプションと競争とが高い品質や低いコスト、大きなイノベーションを育むことは皆が知っている。我々の経済システム全体は(それが不完全であることは自明としても)このコンセプトに基づいているのだ。しかし、このオプションや市場の力が存在しない場所がただ一つ存在する。それこそが大企業における機能〔間接〕部門なのだ。



そこでは従業員がよりよいサービスを求めても、供給元が社内の間接部門のみしかなく、高いサービスを受けられるとは限らない。また、サービス自体が競争にさらされていないため、サービスレベルが低下する可能性があります。

では、社内に競争環境を持ちこむと、いったいどのような事態が発生するのか? 



社内競争環境の事例


著者が実際に見知った事例が2つあるとのことで、その様子が描かれています。少し長いですが抽出します。


In these companies, the employees have options about which provider they want to use for the services they consume, thus turning the system upside down and creating departmental competition within the corporation. In one of these organizations, two different teams offered similar services (market research, business analytics and secretarial support) ? one team was in the corporate center and the other was part of a division that had brought the services in-house. Over time, employees began choosing the division provider, with its higher quality output, over the corporate center. The result? While employees received better, faster and less expensive service, the corporate center faced hard times. Several employees were redeployed and retrained to focus on niche areas, while others were let go and their positions taken as a cost savings by the company.

これらの企業では、彼らが必要とするサービスについてどの供給者を使うかについて従業員がオプションを持ち、その結果既存のシステムがひっくり返る形で企業内の部門間競争が作り出された。ある企業では、同様のサービス(市場調査、業務分析および秘書サポート)を提供するチームが2つ―1つは全社のコーポレート部門、もう1つは部門内にそのサービスを提供するチーム―存在する形となった。時間が経つにつれ、従業員たちはアウトプットが高品質であることから、コーポレート部門ではなく部門内チームを供給者として選ぶようになった。その結果って? 従業員がより良く、より早く、より安いサービスを選ぶようになったことで、コーポレート部門内のチームは厳しい状況に陥った。そこにいる従業員の多くは他部門へ再配置され、よりニッチな領域に注力するように再教育されることになり、また一部は退職を余儀なくされ、抜けた分のポジションは企業としてのコスト削減効果として認識された。



日本においては過去にシェアードサービスセンターが一時ブームとなり、間接部門を単独の会社として独立させ、社内・グループ内のみならず社外・グループ外まで営業網を広げる取り組みが為されました。この場合、一気に間接部門を直接(プロフィット)部門へ転換していったわけですが、ある程度余裕のある大企業においては、この事例のようにいったん社内に同一サービスをするチームを複数用意して、まずは社内競争環境を作り出す、という取り組みを行ってみるのもよいかもしれません。

企業における間接部門の生産性向上の一助になれば。ご一読ありがとうございます。



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