人事・組織領域を専門とする、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティング担当です。欧米の人事・組織・マネジメント関連情報をお伝えします。人事やマネジメントの方々にとって、未来の組織を作り出す一助になれば大変うれしいです。

あなたはどのタイプ? 全ての仕事はたった4種類に大別可能

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
アメリカを中心に英語圏で人気のあるビジネス系SNSのLinkedIn(リンクトイン)ですが、日本版はあまり浸透していっていないように思います。
海外でLinkedInが隆盛を誇る理由の1つに、日本ではFacebook上で行われているような(特にビジネス系の)記事のシェアが、海外においてはFacebookではなくLinkedInで行われていることがあります。自分がどういう記事をシェアしたか、それについてどういう意見を持っているか、という点がそのまま自身のキャリアを指し示す格好の材料になっている、ということでもあるので、ちょっと息苦しい感じもしますけれども。

さて、そのようなLinkedInに投稿された記事で、日本ではほとんど話題になっていないのですが、今月に入ってかなりの注目を浴びている記事があります。採用エージェントを中心に行っているThe Adler Groupの創業者、Lou Adler氏が、仕事を4つのタイプに体系化しています。続編も出ていますので、両方の記事から要点を取り上げていきます。

There Are Only Four Jobs in the Whole World ? Are You in the Right One?

There Are Only Four Jobs in the World ? Part 2


仕事の仕組み


Adler氏は30年間に渡る採用支援の仕事の中で、2,500種類以上ものjob description(職務記述書)を作成してきたのだそうですが、仕事の世界を全部見渡してみると、結局仕事の種類は4つに大別されるとのこと。


Everything starts with an idea. This is the first of the four jobs ? the Thinkers. Builders convert these ideas into reality. This the second job. Improvers make this reality better. This is the third job. Producers do the work over and over again, delivering quality goods and services to the company's customers in a repeatable manner. This is the fourth job. And then the process begins again with new ideas and new ways of doing business being developed as the old ones become stale.

全てはアイデアから始まる。これが4つの仕事のうちの最初の1つ、Thinkers(考察者)だ。Builders(構築者)はこれらのアイデアを現実に変えていく。これが2つめの仕事。Improvers(改良者)はこの現実をよりよくしていく。これが第3の仕事である。Producer(生産者)は質の良い製品やサービスを再現性ある形で企業の顧客に提供していくために、絶え間なく仕事を繰り返していく。これが4番目の仕事となる。そして古いビジネスが陳腐化していく中、新しいアイデアや新しいビジネスのやり方が生み出され、また始めから全てのプロセスが回っていく。


4つの仕事タイプ


それぞれの定義を順に見ていくと、

Thinkers: these are the strategists, creators of new products, those that come up with big ideas and new ways of doing things.

考察者とは、戦略家であり、新製品の創造者。偉大なアイデアや物事の新しいやり方を思いつく人。

他にはvisionaries(先見の明のある人)、intellects(知識人)といった言葉も使われています。

Builders: these are the people who take these ideas and convert them into something tangible.

構築者とは、新たなアイデアを手に、そのアイデアを目に見える新たなモノ/構造へと変化させていく人。

例として、新規ビジネスの立ち上げ、複雑な新製品のデザイン、大きな契約の締結、新規プロセスの開発などがあげられています。

Improvers: these people improve whatever has been created and built, and make it better.

改良者とは、新たに創造され構築されたものを改良し、さらによいものにしていく人。

マネージャー(広範な意味での管理職)のほとんどは、部下をモニタリングしながらこの役割を遂行するだろう、と記されています。もちろんチーム単位ではなく、単独でこの役割を遂行する人もいるでしょう。

Producers: these are the people who deliver high quality products and services to the customer.

生産者とは、高品質な製品やサービスを顧客に提供する人。

ヘルプデスクや営業は元より、監査やコーディング、経理の月次処理など、実際に日々の業務を実行していく役割になります。


企業のライフサイクルとの関係


厄介なのは、これら4つの仕事が常に同時並行的に必要になるわけではない、という点。

As a company grows and reaches maturity, more of the work gets done by the Producers and Improvers. However, without a culture of consistent improvement, the Producers soon take over and implementing change becomes slower and slower until it stops. Long before this the Thinkers and Builders have left for some new venture. Improvers soon follow to join their former co-workers and hire new Producers to add some order to the newly created chaos. The old Producers who aren't continually evolving, learning new skills and processes, are left behind to fend for themselves.

企業が成長し成熟期に入ると、ほとんどの仕事は生産者と改良者によって為されることになる。しかし、継続的なカイゼンの文化がなければ、生産者がやがて全ての仕事を支配することになり、改良への努力はその歩みを止めるに至るまで、徐々に遅くなっていく。その頃にはとっくに考察者や構築者はその企業を離れ新たなベンチャー企業へ行ってしまっているだろう。改良者もやがて以前の仲間を追ってそのベンチャー企業に入り、新たな生産者を雇いながら新たなカオスを創造していく。継続的に成長したり、新たなスキルやプロセスを学んだりしない古い生産者は、自らを養っていけないほどに取り残されてしまうのだ。

ゆえに、

Maintaining balance across all four work types is a constant, but a necessary struggle for a company to continue to grow, adapt, and survive.

この4つの仕事全てのバランスを維持していくことが、企業が成長し、適応し、生き残り続けていく上で、不断に欠かせない苦闘となっていく。

また、ちょっと別の観点では、

Interestingly, people grow by first becoming technically proficient at something ? the Producer role ? then evolve into one or more of the other work types. This is an inside-out progression. Companies on the other hand, grow outside-in, starting with an idea, building it, improving it, and then producing it in a repeatable manner.

興味深いことに、人は最初に何かに技術的に秀でていく―生産者的な役割―ことになり、次第に1つもしくは2つの他の仕事のタイプへと進化していく。これは中から進化していくパターンだ。一方企業は深化の方向を遂げていく。つまり、まずアイデアからスタートし、それを構築し、改良し、そして再現性ある形で作り出していく。

この進化と深化の違いは、面白い観点だと思います。


人ではなく業務に当てはめるほうが使いやすい、のだが...


このように、「......者」という名前をつけていくと、それぞれの社員を見て、彼女は○○者だ、彼はどちらかというと○○者だ、という議論に行きがちですが、それはこのモデルの適した使い方ではない、と著者は言います。

The model works extremely well when you define the job first and then break it into the four work types. It's less meaningful when you use it to broadly classify a person. In this case, it only implies interests and preferences, not competencies.

このモデルが非常によく機能するのは、まず職務(job)を定義して、それをこの4つの仕事のタイプに振り分けていく方法だ。これを人の分類に使っていくのはそれほど有用ではないだろう。その場合、しばしば能力(competency)ではなく興味や嗜好(preference)を指すことが多いからだ。

ただここは米国のように職務レベルで仕事が雇用契約段階から定義される社会と、日本のように就社的な雇用契約が結ばれる社会とで、うまく使い分けて行く必要はあるかと思います。
先に人の成長の過程としては、生産者から改良者などへ進化していく、という話がありましたが、日本企業は自社内で比較的手厚めに行っていくことを考えると、興味や嗜好だけでなく、大まかな保有能力のあらましとして、このモデルを使うことは不可能ではないと思われます。

また、

Every job has a mix of all four work types dependent on the actual work involved, the scope and scale of the role, and the company's growth rate. To ensure balance and flexibility, all of these four work types should be taken into account

全ての仕事は、実際の仕事の中身や役割の範囲や大きさ、企業の成長率などに依存する形で、この4つの仕事タイプが混在して成立している。〔企業を〕バランスよく、かつ柔軟性を持つ形で維持していくためには、これら4つの仕事のタイプ全てをきちんと検討に入れていかねばならない。

とあるように、結局は人ベースもしくは仕事ベースといった重きの置き方には関係なく、企業として人的資源(human resource)のありようを、この4つの仕事タイプできちんと整理分類しておくことが必要になる、ということになるかと思います。

Recognize that every person is comprised of a mix of each work type, with one or two dominant. Likewise for every job. Most require strengths in one or two of the work types.

全ての人はそれぞれの仕事タイプを持ち合わせており、たいてい1つか2つを特に強く保持している。〔そして〕全ての仕事にもこれが当てはまる。ほとんどの仕事が1つあるいは2つの仕事タイプを強みとして必要とする。


採用時の注意事項


外資系など職務・役割(jobやrole)で採用をされる場合は、原文の細かい部分をお読みいただければより役立つかと思います。一方中途採用も一般的になった日本企業においても、過去の職務経験を端的に募集要項に書くのではなく、このように書くべき、という例が記載されているので、是非ご参考に。

メインのポイントとしては、

define the actual work before defining the person doing the work.

その仕事をする人を定義する前に、実際の仕事を定義せよ。

というところになるかと思います。こう書いてあるということは、仕事ベースではあるものの、米国においても人ベースで見ていってしまう傾向はあるようですね。

不足人員を埋める際、人を採用し、まずは今不足している部分を補うのは当然ですが、多くの日本企業においては、その後その人には違う役割を担ってもらい、その中で成長・活躍していってもらうことも多々あるでしょう。しかし、まず採用を考えるタイミングで、どのような仕事に就かせようとしているのか、とまず問うことをお勧めします。そうして採用に至った人については、きっと当初イメージしていた仕事に関連した仕事タイプが備わっているはずですから。

また、原文には、採用時に役立つ質問集などへのリンクもついていますので、採用の実務担当者の方はいろいろと辿っていただくと役立つかと思います(ステマじゃないですよ)。

お読みいただきありがとうございました。


日本の人事制度は、労働法制の議論が活発になる中、最終的にどのような形態に収斂していくのか見えないのが実情です。現実的に考えれば、極端な職務主義に振るのが難しい現在、役割に応じて等級を変えていく役割等級(ミッショングレード)型の人事制度は、職能資格からより職務に近い運用へ近づけていきたい企業をはじめ、多くの企業にお勧めできます。


株式会社ビジネスパブリッシング発行の『人事マネジメント』誌にて、当社コンサルタントが「ブランド価値を高める人事」と題して連載記事を執筆しています。現在第3回目が最新号に掲載されていますが、バックナンバーについてはこのブログでも転載しています。是非ご照覧ください。

「ブランド価値を高める人事」


ソフトバンク クリエイティブ社の総合サイト、「ソフトバンク ビジネス+IT」にて、月1回の連載記事がスタートしています。こちらはベンチャー企業の人材マネジメントについて。





Comment(2)

コメント

江藤まゆこ

ちきりんさんの記事を思い出しました。
万国共通の考え方なんですかね?

「新)4つの労働者階級」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100914

江藤さん
確かに似てますね。ちきりんさんの(2)と(3)を足したものが構築者、というところでしょうか。
結局はビジネスプロデュースのプロセスを切っていったものになるので、ある程度万国共通的に似通ってくるのはしょうがないようにも思います。

あと、最近だと特にコーディングあたりで、自分で考えて自分で作る(1)と(2)と(3)まで足し合わせる人が必要!みたいな流れにもなってきている気がします。もう少し分業してもいいようには思うんですけども。。

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