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復興にむけてのこれからの街づくり

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菅直人首相は4月1日、2011年度予算成立などを受けて首相官邸で記者会見をし、今月中に第一補正の中身を決め、東日本大震災から1ヶ月後となる4月11日にも被災地復興に向けて有識者や地元関係者で構成する「復興構想会議」を立ち上げると表明しました。また、環境に配慮したエコタウン建設を推進することも明らかにしています。

首相の会見模様が公開されていますので、一部引用しながら整理してみたいと思います。

まず最優先すべきはこの震災に対して被災者の支援、更には復旧復興に向けての政策を最優先しなければなりません。そこで、成立した予算ではありますけれども、一部を執行停止して、そして、そうした大震災の被災者に充てるための補正予算の準備に入りたいと思っております。補正予算は復旧復興の段階に応じて何段階かで必要になると考えておりまして、まず第一弾としてはがれきの処理、仮設住宅、更には雇用の確保、そして産業復旧の準備、こうしたことを第一弾として準備をしてまいりたい。今月中には第1次補正の中身をかためて、国会に提出をしていきたいと考えております。

政府は3月29日、2011年度予算案を成立させ、一般会計総額は92兆4116億円と過去最大となっています。政府は11年度第1次補正予算案に着手しますが、これらの予算の一部を執行停止し、主にがれき処理や仮設住宅建設、原発事故対応など復旧を目的とし、2兆円程度の規模を想定して4月中の成立を目指しています。第1次補正の財源は、予備費のほか、建設国債費の発行が検討されています。

そして、今後、本格的な復興に向けて、7月以降には、被災地のインフラ整備、被災者の生活・雇用支援、農業・漁業の再生、教育・医療の充実、電力対策など復興策を中心に、2次、3次と累次の補正予算を組んでいく必要があり、最終的には10兆円を越すとの見方も出てています。2次、3次の財源確保にあたっては、子ども手当、高速道路無料化、法人税率の引き下げや証券優遇税制が見直される可能性が高く、高校無償化や農家の戸別所得保障なども一部で見直しが検討されています。

次いで、いよいよ復興に向けての準備に入らなければなりません。復興は従来に戻すという復旧を超えて、素晴らしい東北を、素晴らしい日本をつくっていく。そういう大きな夢を持った復興計画を進めてまいりたいと思っております。この間、被災を受けられた自治体の市町村長の皆さんと電話などでいろいろと御意見を伺いました。そうした御意見も踏まえて、例えばこれからは山を削って高台に住むところを置き、そして海岸沿いに水産業、漁港などまでは通勤する。更には地域で植物、バイオマスを使った地域暖房を完備したエコタウンをつくる。そこで福祉都市としての性格も持たせる。そうした世界で1つのモデルになるような新たな町づくりを是非、目指してまいりたいと思っております。

まず、緊急に求めれているのが行政機能です。被災地によっては職員の方々も犠牲となり、自治体運営にあたって、非常に厳しい状況となっています。全国の自治体から職員を派遣し、行政機能を充実させ、医療や水道・電気などのインフラ整備を急ぐ必要があるでしょう。

復旧の次にくるのが復興で、管首相のコメントでは、復興に向けてのエコタウンの構想も示されています。

まず、キーワードになるのは、中心市街地に機能を集める「コンパクトシティ」です。山を削って高台に住むところを置くのは、まさにコンパクトシティのカタチと言えるでしょう。特に高齢化社会に対応した街づくりが重要であり、住宅、医療・福祉、交通など長寿国のニーズにあった弱者でも住みやすく小回りの効く社会インフラの構築が必要となってきます。

そして、地域で植物やバイオマスを使った地域暖房を完備したエコタウンをつくるという例をあげていますが、電力の「地産地消」が大きなポイントになってくるでしょう。今回の原発の事故により、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに注目が集まっており、これらの活用も期待されるところです。

宮城県は3月29日、県内で津波の被害を受けた自動車は約14万6千台に上ると推計されると発表しました(関連記事)。県内で登録されている自動車約154万台の1割弱に当たります。被災地にあった地域では、早く手続きができる中古車の購入が増えているようですが、新たな街づくりの中で、電気自動車(EV)の普及を推進するための政策的な支援も重要と考えられます。

電気自動車には、蓄電池が搭載されており、蓄電池に貯めておいた電気を必要に応じて使うことができます。電気自動車の蓄電池は車の移動だけでなく、他の用途にも使うことができるのです。自宅に太陽光発電があれば、太陽光発電から作り出された電気を電気自動車の蓄電池の貯めることができ、効率的に利用することができます。自宅に太陽光発電がない場合でも、夜間に蓄電池に充電をし昼間に放電すれば、電気代を節約でき、仮に首都圏で電気自動車が多く普及すれば計画停電の数も少なくなるかもしれません。そして今回の震災のように災害時の停電を補う緊急バッテリーとしての活用も期待されます。

また、今回多くのガソリンスタンドも被害を受けましたが、立て直しの際に、電気自動車向けの充電スタンドを多く設置することが期待されます。電気自動車は走行距離がガソリン自動車と比べると少ないため、充電スタンドの充実は電気自動車普及の後押しにもなると考えられます。

そして、住居です。住居にはスマートグリッドの技術を取り入れることで「スマートハウス」を実現させることです。「スマートハウス」では省エネだけでなく創エネとのを両立させた新しい住環境モデルを示していくことが大切となるでしょう。省エネでは、スマートメーターを設置しHEMS(ホーム・エナジー・マネジメント・システム)により、家庭内の電気機器をネットワークでつなぎ電力供給を一元化し最適化させていくことで、電力の見える化と省エネを実現させていくことも可能となるでしょう。

創エネでは、太陽光発電と蓄電池がポイントになります。日中に太陽光発電で電気をつくり蓄電池で貯蔵させ、必要なときに放電させることができます。蓄電池は、蓄電池そのものを用意することもできますが、電気自動車(EV)に蓄電させることが、効率的と考えられます。風が強い地域であれば、小型風力発電も考えられます。

これらの再生可能エネルギーを活用による創エネと、HEMSやスマートメーターによる電力の見える化や省エネによって、電力会社から電気を買うことなく、電力の自給自足を実現できることも可能となるでしょう。さらには、電力を電力会社に売電することもできますし、電力会社を介さず家庭同士で電力をおすそ分けをすることもできるかもしれません。さらには、電力オークションなどで、今電力が余っている地域と足りない地域をマッチングさせ、そのときの電力需給にあわせて適正な電力価格で、取引をするといったことも実現できるかもしれません。また、家庭内で太陽光発電でつくった電気を仮想売買し、電力版電子マネー(電気マネー)としてため、この電気マネーを使い、電気自動車の充電で例えばコンビニやショッピングモールにある充電スタンドを利用できるといったように、電力のライフサイクルを実現させてくこともできるかもしれません。

また、住宅だけでなく事業所などではBEMS(ビルディング・エナジー・マネジメントシステム)を使いスマートビルディング、そして学校では太陽光発電などを使ったスマートスクール、スマートファクトリー、電気バスなど街全体に広げていくことが重要となります。そして、メガソーラーや洋上の風力発電など、大型の再生可能エネルギーによる発電所を設置も考えられます。

こういったコンパクトシティに電力インフラと情報通信インフラを融合させ、電力の有効活用と省エネで低炭素な次世代の街づくり、つまり社会全体をスマート化させていくことで、「スマートコミュニティ」や「スマートシティ」を実現させていくことが、大切となると考えられます。

この街づくりの中では、自治体や医療・健康や教育、そして個人識別(国民ID)や税と社会保証など、社会インフラとしてのICT活用やクラウド活用も検討していくテーマとなっていくでしょう(このへんの内容については、また改めて整理したいと思います)。

そして忘れてはならないのが、世界の見本となる防災都市をどう作っていくかというのも重要となるでしょう。(本件も大きなテーマのため改めて整理をしたいと思います)。

こうした復興に向けて、その青写真を描くために、有識者や地元の関係者からなる「復興構想会議」を、震災1か月目となる今月11日までに立ち上げたいと、このように考えております。それとともに、この「復興構想会議」から出されるいろいろな提案や計画を、実行に移すための政府としての態勢づくりに入り、今月中にはその態勢もかためてまいりたいと、このように思っております。

今後の被災地の復興にあたって、「復興構想会議」が開催されるとのことですが、復興に向けた方針と実行をどのようにしていくのか、具体的なロードマップと財源を示していくことが大きなテーマとなっていくでしょう。

復興策を検討する民主党の特別立法チーム(中川正春座長)がまとめた「復旧復興対策基本法案(仮称)」では、基本法案を具体化する16本の特別立法の素案が4月1日に、明らかになっています。被災者の生活再建 や被災企業の経営再建、そして被災地の復旧・街づくりが主な柱となっており、単なるインフラ整備ではなく「21世紀における我が国の再興(再創造)を目指す」ことを基本理念としています。

そして、5年間を「集中復旧復興期間」としてヒト・モノ・カネを投入する方針を明記しています。復興財源の確保には、法人税率を上げて増収分を充てる「法人特別税」「特別消費税」や、所得税に上乗せする「社会連帯税」「復旧復興特別税」の創設を検討する方針を明記しています。

本法案では、内閣府に首相を本部長に全閣僚で構成する「東日本大震災復旧復興本部」を設置し、基本計画を策定します。新設する「復旧復興庁」では、各省庁から一時的に権限を移管し復旧復興担当相を新設し、復興庁の長官を兼務させる構想なども盛り込んでいます。

宮城県においても4月3日、「震災復興基本方針」の素案が明らかになっています。単なる「復旧」ではなく「再構築」との基本理念を掲げ、県の農林水産業、商工業、製造業の振興方針を抜本的に見直し、11日をめどに基本方針案を取りまとめ、県議会や外部有識者、被災市町村の意見を聴いた上で4月中に正式決定する予定です。

宮城県では、基本方針を踏まえて8月をめどに県震災復興計画(2011~20年度)を策定し、10年間の計画期間を、復興期(3年)、再生期(4年)、発展期(3年)に区分し、各段階期に応じて効果的な施策を展開し、特別立法や特区制度などを適用し、規制の柔軟な運用を図るとしています。

仙台市は4月1日、「仙台市震災復興基本方針」を公表し、以下の4つの施策の方向に沿って、今後の震災復興を推進していくとしています。

  1. 被災された方々が安心できる一日も早い生活再建
  2. 暮らしの安心を支えるライフラインや交通、各種の施設やサービスの安定化
  3. 痛手を負った経済や被災地域(コミュニティ)の復興・再生
  4. 杜の都・仙台の再生推進と東北地方全体の再生の牽引

こういった法案や方針の策定とともに「東北特区」や「復興総合特区」といったようなものを設け、東北地域内での優遇策を設けることが重要となってくるでしょう。例えば、法人税制を一定期間無償にするなど、国内外の事業者の投資を呼び込めるような大胆な優遇策が求められます。

「東北特区」や「復興総合特区」にエコタウンやコンパクトシティ、そしてスマートシティの実現にあたっては、政府だけ産学の支援も必要となってきます。

これまでの政策面での街づくりの取り組みについて、少しご紹介したいと思います。

東日本大震災の当日(発生前)に「日本の未来都市づくりを考える(「未来都市モデル」構想/「環境未来都市」構想/「総合特区制度」から)」のブログでご紹介をさせていただきましたが、日本経団連は2011年3月7日、「未来都市モデル」構想を掲げ「未来都市モデルプロジェクト最終報告」を発表しています。

本構想では、経団連の主要企業による主導で地方自治体と協力し、全国12都市・地域で、環境・エネルギー、医療、交通、農業など先端技術・サービス・システムの実証実験を展開する予定です。また、教育、子育て、観光など社会システムの変革の取組みも含めた総合的なプロジェクトを展開も予定しています。これらの社会問題を解決する都市づくりのモデルとしてパッケージ化し、国内のみならず海外にも展開し、日本の産業競争力の強化や成長産業の創出を目指すとしています。また、前提には、地域のニーズを踏まえた上で、地域の誰もが住みたいと思うような都市空間の創造、地域の持続的発展につながるような仕組みづくりも重要となってきます。

また、政府(内閣府)は2011年2月15日、「総合特区法案」を閣議決定しました。本法案では、10項目の規制緩和の特例措置 を盛り込まれており、工業地域に病院やホテルを建てられる、特別用途地区の用途制限を緩和などがあげられています。「総合特区」の創設は、新成長戦略の柱の一つで、国際競争力を高める「国際戦略総合特区」と「地域活性化総合特区」の二つに分けられています(総合特区制度の概要)。国会で法案が成立すれば、7月に特区が指定される予定ですが、今回の震災の影響により見直しされるでしょう。

そして、政府は、「環境未来都市」構想有識者検討会を開催し、2011年2月2日、「 「環境未来都市」構想のコンセプト中間とりまとめ(案)」を公表しています。

「環境未来都市構想」の趣旨は、新成長戦略に基づき、特定の都市・地域において、未来に向けた技術、社会経済システム、サービス、ビジネスモデル、まちづくりで世界に類のない成功事例を創出して国内外に普及展開し、需要拡大、雇用創出、国際的課題解決力の強化をはかっていくとしています。これらの取組みを通じて、社会経済システムイノベーション実現による地域活性化、そして、国民一人一人誰もが豊かで快適に元気に暮らすことができる持続可能な経済社会の実現を目指しています。

そして、震災後、社団法人日本経済団体連合会(日本経団連)は3月31日、「震災復興に向けた緊急提言~一日も早い被災地復興と新たな日本の創造に向けて~」を公表しました。

本提言では、政府においては、強力な指揮命令権を持つ司令塔を確立し、被災地の人々の声を十分に反映した形での、早期復興と新しい日本の創造に向けた「基本法」や「基本計画」の策定等を急ぐべきであるとともに、経済界としても、サプライチェーンの早期復興と産業基盤の維持をはじめ、日本経済の再生に全力で取り組むということが明記されています。

また、本提言では、以下の5つを柱としています。

  1. 早期復興に向けた強力な体制整備
  2. 新しい地域と街づくり
  3. 産業復興
  4. 被災地を中心とする雇用の維持・確保
  5. 復興財源確保と財政健全化の両立

以上のように、今回の震災以前から、日本経団連による「未来都市モデル構想」や政府(内閣府)による「環境未来都市構想」や「地域活性化総合特区」、そして経済産業省では「スマートコミュニティ」の取り組みや検討が進められてきています。また、日本経団連は震災後に緊急提言をだしています。これらの取り組みや叡智やリソースを東北復興にできるたけ集めていくことが重要となり、さらには被災地にいる当事者である市民・村民の再生可能エネルギーの活用など新たな街づくりへの参加意識が高まれば、非常に長い道のりではありますが、実現へのスポード感は早まっていくことでしょう。

更に復興の中でも雇用の問題が重要であります。この地域はいろいろな部品の工場など、製造業もありますが、同時に農林漁業、特に漁業の盛んな地域であります。何としても1次産業を再生させていく、このことが重要だと考えております。

菅首相のコメントを取り上げた順番が少し逆になってしまいましたが、農林漁業の第一次産業の再生に向けた、取り組みは大変重要になってくるでしょう。漁業においては漁港をコンパクトに集約し、これからの日本の漁業におけるモデルとなる環境づくりが期待されます。

まとめ

今、日本は少子高齢化、そして地方では過疎化など、地域における大きな課題を抱えており、今回の復興における街づくりは、10年後、30年後、そして50年後の日本の未来を占う上でも非常な重要な位置づけとなるでしょう。

阪神・淡路大震災の本をご紹介します。「阪神・淡路大震災10年―新しい市民社会のために (岩波新書)<2004-12-21>」には、震災九周年の追悼式での遺族代表が以下のように挨拶されています。

大切な家族や友人、家を失ったひとたちの心の傷は、心の奥深くに残っています。目に見える復興だけでなく、心の復興に向けての支援を行政や社会全体でおこなって頂けるように願っています。

今、被災地の復興が検討され始めましたが、「心の復興」に向けても長い時間をかけて支援をしていく必要があるでしょう。被災者の方々が、仕事を持ち安心して暮らせる街になるように支援するといった気持ちを持ち、政府、民間企業、そして私たちが長い期間にわたって、考え行動していくことが大切であると感じています。

 

 

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