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iPadから見えるエレクトロニクス・IT産業の国際競争力と対応の方向性

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昨日、日本の立地競争力について日本の取り巻く環境について整理しました。エレクトロニクス、IT分野においても国際競争力の低下は深刻です。同様に「産業構造審議会産業競争力部会(第4回)」の中から「主要産業・戦略分野(エレクトロニクス・IT関係)」の資料を中心に紹介させていただきたいと思います。

日本が強かった電子部品・材料の分野でも、量産競争・コモディティ化が急激に進展し、市場が急拡大する中で、コスト競争力のある中国・韓国勢の猛追を受け、世界シェアを大きく落とし、存在感は低下しつつあります。iPod→iPadに見る部材を見ると、日本のシェア低下は顕著です。

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また、ITソリューション産業では、OS、汎用パッケージソフトなどに代表されるサービス基盤は、マイクロソフト、オラクル、IBMなど米国勢の独壇場となっています。

日本のエレクトロニクス・IT産業が苦戦している理由として以下の3つをあげています。 

  • 標準・ブラックボックス戦略の欠如
  • 過小投資問題:大胆投資へのためらい、不十分な事業の「選択と集中」    
    (世界最高水準の法人税負担による再投資余力の不足が一因)
  • 内向き志向:過剰品質な製品・サービス、ビジネスモデル改革の遅れ(アマゾンのキンドルなど)    
    (サムスンは地域専門家制度や足し算・引き算の設計手法を駆使し、徹底したマーケティングを実施)

現在、世界のエレクトロニクス・IT市場において競争力を有する主体として以下の3種類をあげています。

  • 「コモディティ化圧力をかわす対応」(インテル、シスコ)      
    自社技術をブラックボックス化した上で、インターフェイスをオープン化し、国際標準を獲得した者
  • 「ボリュームゾーンの覇者」(サムスン、デル、ヒューレットパッカード)      
    グローバルに効率的な調達・販売網を構築し、ボリュームゾーンに大量販売することができた者
  • 「薄い付加価値でも規模で勝負」(グーグル、アマゾン)      
    百万台を超えるサーバーからなる世界大のコンピューティングパワーにより、誰もが使わざるを得ないサービス基盤(プラットフォーム)として規模の利益を獲得可能な者

日本の強みと弱みも分類されています。

強み:「リアルな製品群と社会システム、そしてコンテンツ」

  • 信頼性の高いものづくり(擦り合わせ、アナログ領域:蓄電池、太陽電池)
  • 信頼性の高いインフラ・社会システム(電力、通信、新幹線等)、
  • 高感度な顧客・マーケットが育てたクールジャパン(アニメ等コンテンツ)
  • 高信頼なシステムから蓄積された膨大な情報(スイカ、電力等)の潜在的利用可能性

弱み:「デジタルとバーチャルなネットワーク」

  • 国際的視点の欠如(内向き)、ビジネスモデル、標準
  • ブラックボックス戦略の欠如、スピード感の欠如等

日本の強みを活かした展開として以下の「スマートコミュニティ」の展開があげられます。

街全体の課題解決型システム「スマートコミュニティ」

世界が抱える課題に街全体で対応した課題解決型システムを大胆にイメージした上で、実現に向けた技術開発、標準化、社会制度改革を進め、海外展開を支援していく展開イメージがあげられています。

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政策対応としては、産業・社会システムの高次化がもたらす将来像を大胆にイメージし、実現のための技術開発や標準化、社会制度改革を進め、システムの海外展開を支援するとし、以下の3つをあげています。

  • 革新的な省エネルギー、高信頼なデバイス・コンピューティング技術開発
  • 膨大なデータを大量に収集・活用するためのデータ形式・ルールの標準化・規格化
  • プライバシーに配慮したデータ利活用・流通ルールに関する整備・国際協調

そして、情報通信インフラコストの劇的低減を前提とした複合新産業の創出と社会システム構造の改革として政府の具体的対応策として以下の5つをあげています。

  • モジュラー化時代を勝ち抜ける「グローバルプレイヤー」の育成と支援    
    →再編を意識した基盤的な研究開発、世界No1事業セグメント開拓のための実証、FTA、法人税制の見直し、設備投資支援、産業革新機構を活用した業界再編の推進等
  •    
  • 裾野産業まで含めた国内ものづくり基盤の強化      
    →低炭素型産業の国内立地支援、グリーンIT技術開発支援等
  •    
  • 単なるコスト競争に陥らないためのイノベーションの推進      
    →国際標準化を見据えた技術開発支援等
  •    
  • ものづくり・サービス・コンテンツの複合化による新産業の育成と競争力強化      
    →ビジネスモデル構築のための制度・環境整備(権利処理・調整についてのルール策定)等
  •    
  • コンテンツの海外展開支援      
    →国際見本市の活用、コンテンツ海外展開ファンドの形成、著作権侵害コンテンツ対策等
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  • 産業構造改革を視野に入れたクラウド・コンピューティングの推進      
    →国内データセンタの立地支援、規制・制度改革によるプライバシーに配慮したデータ活用・外部保存促進、大量データ活用による産業高次化のためのデータ形式の標準化、実証等
  •    
  • 課題解決型システムの国際展開を通じたIT産業の振興      
    →制御システムの技術開発・実証、リスクファイナンスの供給(JBIC、NEXI等)、海外展開に係る体制整備

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最後に、スマートコミュニティアライアンスの推進の取り組みが記載されています。平成22年4月に「スマートコミュニティアライアンス」を設立し、日本におけるスマートグリッドの構築及び海外展開策について議論を推進。戦略的官民連携により、世界市場への展開に向けた方策を検討していくとしています。

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日本の強みを活かした展開として、やはりスマートグリッドの構築技術を活かした社会インフラの整備とそのノウハウの国際展開が重要となってくるでしょう。まだ市場は立ち上がったばかりで、複合新産業の創出と社会システム構造の改革として重要な位置づけとなっていくのではないでしょうか。

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