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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウド普及の課題(6) 既存システムとの連携

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クラウド化が今後進むことが予想されますが、すべての企業がクラウドサービスを導入し、すべてのシステムがクラウドに移行するとは考えにくいでしょう。仮に実現するとしても相当の年月が必要となるでしょう。クラウド化の流れは、まず、オフィス系のツールやグループウエア等の情報共有系のツールから始まり、次第に勘定系や人事系等の企業固有のシステムへの領域に移行が進んでいくと考えられます。

当面の期間は、クラウドサービスと企業内の情報システムの併用が続くことが想定され、どのようにクラウドと非クラウドと連携させていくかというのが重要な検討事項になっていくでしょう。クラウドサービスと企業内のシステムとが連携することにより、インターネットと接続する経路ができてしまうため、システム全体の情報漏洩等のセキュリティリスクが高まることも考えられます。また、システム連携の構造が複雑になり、対応すべき工数が増え、逆に運用コストがかかってしまう可能性もあるでしょう。 

セールスフォース・ドットコムの「Force.com」やグーグルの「Google App Engine」等に代表されるアプリケーション構築基盤となるPaaS(Platform as a Service)上で短期間・低コストでアプリケーションを連携し、複数のプロセスをつなぐという仕組みが、将来的には一般的になっていくかもしれませんが、まだまだそのレベルまで移行するには多くの時間が必要となるでしょう。

当面は、クラウドサービスと企業内情報システムの連携するニーズが高まり、連携を支援するサービスやソリューションが増えてくることが予想されます。実際に、セールスフォース・ドットコムが提供する「Salesforce」と企業内の情報システムと短期間・低コストで連携が実現できるサービスも提供されています。また、「Salesforce for Google Apps」のようにパッケージ化されたクラウドサービスを最初から利用するという選択肢も増えてくることでしょう。

当面は、クラウドサービスと既存のシステムとの連携需要が高まり、ITベンダーもシステム連携させるためのソリューションサービスを提供する機会も増えていくのではないかと考えられます。


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