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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

メモ:クラウドコンピューティングはIT市場を崩壊させるのか!?

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クラウドコンピューティングに関して、様々な議論が起こり、ITベンダーもこぞってクラウドコンピューティングに関連する戦略を打ち出してきています。

では、クラウドコンピューティングが進めば、提供者側のITベンダー側にとってメリットのあるものなのでしょうか?   

NETWORKWORLD November 2008のページに「クラウドコンピューティングはIT市場を崩壊させるのか!?」という記事がありましたので、その一部を紹介したいと思います。

クラウドコンピューティングが普及すれば、ユーザ側にとって様々なメリットがもたらされると思いますが、ITベンダーの立場はどのように変化をしていくのでしょうか? 市場の縮小について要約すると以下のとおりです。

ITベンダーの収益源となっていたシステムインテグレーションのニーズがなくなり、中核ターゲットは、サービスプロバイダーとなる。サービスプロバイダーに、個別に販売した場合に比べて集約効果が得られるため、安値による販売競争が進む。ITベンダーも自らサービスプロバイダーの事業を展開するケースも出てくる。しかし、業界構造が崩れ、経営難に陥るITベンダーが続出する可能性がある。

現在、金融資産を保有する金融機関の破綻が相次いでいます。心配なのは、サービスプロバイダーが保有するIT資産が不良債権化してしまうのではないかという懸念です。今は市場の成長期でデータセンターを次々と建設し、サービスを提供していますが、いつか市場が鈍化し、曲がり角を迎える時期が来るはずです。その時にどう対応をしていくのか、注目すべきポイントではないかと考えています。   

もう一つ懸念されるのは、クラウドのIT資産の多くが海外に出て行ってしまうことです。日本のソフトウエアのシェアが世界的に見ると1%以下の状況、そして、GoogleやSalesForceやIBMなどのグローバル展開を見ると、日本のITベンダー及びサービスプロバイダーは地盤沈下し、日本におけるクラウドの空洞化が起きてしまう可能性も否定できません。

筆者は、クラウドコンピューティングの市場縮小の可能性を取り上げてはいますが、最後に異論を唱えています。既存の雇用を維持しながらクラウドコンピューティングの利用を広げていく展開が生まれるとしています。これまでのコンピューター/ネットワーク業界の歴史を見ると、その理由がわかるとしています。   

ガートナーやメリルリンチなどは、クラウドコンピューティングによる市場の拡大を予測しています。おそらくしばらくは市場は成長していくでしょう。しかし、一方でシステムインテグレーション事業は縮小していく可能性は十分に考えられます。クラウド型のサービスインテグレーションとシステムインテグレーション全体を捉えたIT業界の市場は成長するのかしないのか定かではありませんが、業界構造自体は大きく変化をしていくのは確かではないかと感じています。


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