オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウド普及の課題(5) ネットワークの信頼性

»

クラウドサービスを利用するにあたって、インターネットなどのネットワークにアクセスすることが大前提となります。つまり、ネットワークの障害や外出先などでネットワークに接続できない環境に置かれたときには、何もすることができなくなってしまいます。

『日経マーケット・アクセス』が2008年8月にとりまとめた「SaaS/ASP利用実態調査2008」によると、SaaS/ASPを利用するデメリットとして、利用後の実感として、「ネットワークが使えないと業務が滞る」が最多となっており、ネットワークの信頼性への重要度が改めて浮き彫りになっています。 

また、様々な調査結果を見てもインターネット経由でアクセスをすることによるセキュリティリスクに抵抗を感じる企業が多いのも事実です。特に、社内で策定した情報セキュリティポリシーにおいて、インターネット経由で社内のデータにアクセスをすることをセキュリティの観点から禁止している企業も多いことでしょう。

インターネット経由でも、様々なセキュリティ対策をとることによって、寛容できる企業から導入が進むことが想定されますが、あるラインを超えると、成長に急ブレーキがかかってしまうことが考えられます。 

現在、インターネット以外の回線からでもクラウドサービスにアクセスする試みが始まっています。セールスフォース・ドットコムとNTTコミュニケーションズは、クローズドなネットワークであるVPN(Virtual Private Network)からセールスフォース・ドットコムが提供する「Force.com」にアクセスできるサービスを提供することを発表しました。NTTグループは「SaaS over NGN」構想を掲げ、将来的にはNGN(Next Generation Network)経由でもセールスフォース・ドットコムが提供するサービスにアクセスできるよう検討を進めています。

インターネット経由からのセキュリティ等の不安は一気に解消されることになり、セキュリティに不安を抱えていた企業の導入が進むことが期待されます。 

しかしながら、VPN経由で利用できるクラウドサービスはまだ限られています。NGN経由でアクセスできるサービスもVPN以上に拡大していくには時間を要すことが考えられます。VPNやNGN経由で利用できるクラウドサービスの提供と拡充が期待されるところです。

また、NGNは、回線品質を保証するQOS(Quolity of Service)の機能があり、固定電話なみの品質をもっており、インターネットと比べると格段に通信は安定します。インターネットの輻輳や遮断に不安を抱えているユーザにとってもメリットは大きいでしょう。

 

また、クラウド化が進めば、社内だけでなく、いつでもどこでも外からアクセスできることが増えてくるでしょう。つまり、モバイル・ブロードバンドの環境の充実も必要不可欠です。今後、各キャリアから高速のモバイルサービスが提供される予定ですが、速度だけでなく、モバイルサービスの品質、提供エリアの充実も今後重要になっていくことでしょう。

Comment(4)