教育CIOと学校CIO
学校裏サイトやネットいじめなど、学校教育のネット活用においてネガティブなイメージが先行しているような気がしています。私は時々学校の現場に足を運ぶケースがあり、ブログやSNS等のネットの活用を説明すると、「それは学校裏サイトとどう違うのか?」という説明に時間を費やすこともありました。
文部科学省は、7月22日、「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」が作成した「学校のICT化のサポート体制の在り方について-教育の情報化の計画的かつ組織的な推進のために」の報告書を発表しました。その概要の一部をご紹介しましょう。
学校のICT環境は平成19年3月時点で56.2%と先進国と比べても大幅に遅れており。また、ICTを活用して指導できる教員の割合も平成19年3月時点で6割となっております。
また、学校のICT環境の整備計画の未策定が6割(H18.1)、授業でのICT活用についての研修が不十分、ICT活用のサポート人材の不足等も7割を超えているのが現状です。
そこで、学校のICT化について統括的な責任をもち、ビジョンを構築し実行するため、教育委員会及び学校に、それぞれ「教育CIO」「学校CIO」を置くことを提言しています。
教育CIO
・教育長や教育次長などが「教育CIO」として、学校のICT化について地域レベルで統括する。教育CIOは、自治体CIOの兼任や外部人材の登用によることも考えられる。
・教育CIOの機能を十分発揮するため、これを補佐する人材(教育CIO補佐官)や組織(「教育情報化推進本部」など)を置く。
学校CIO
・校長、副校長又は教頭が「学校CIO」として、地域レベルのビジョン等に基づき、各学校レベルでICT化をマネジメント・実行する。
・各学校の情報主任(又は情報化担当教員)が学校CIOを補佐する。
その他、外部人材の登用などのICT支援員などの配置なども考えているようです。
7月30日が締め切りとなりますが、教育の情報化を進める「教育情報化総合支援モデル事業」の調査研究も募集しています。
ビジネスの世界では、企業にCIOを設置することは一般的になってきました。また地方公共団体においてもCIO設置が進んでいます。
学校教育において、CIOというコンセプトがどの程度浸透していくか興味深いところです。ICT国際競争力の低下が懸念されている日本。ICTの力を高めていくためには、まず原点にあるのは教育であると考えています。学校裏サイトなど、教育現場におけるICTの活用は必ずしもポジティブな意見ばかりではないように見受けられますが、教育現場のICT利活用において世界からも注目される日本になってほしいと感じているところです。