高度IT人材育成とWeb2.0活用人材育成
IT職種の人気が伸び悩み、人材難が深刻化しつつある。高度IT人材が抱える人的資源の制約という問題等を踏まえ、7月20日、経済産業省は、産業構造審議会の情報経済分科会 情報サービス・ソフトウエア小委員会にて人材育成ワーキンググループ報告書「高度IT人材育成の育成を目指して」の報告書をとりまとめました。その内容を一部紹介しつつ人材育成のある方を少し考えてみたいと思います。
日本が目指すべき高度IT人材類型
日本において、ITと経営の融合、ITアーキテクチャーの変貌そしてグローバル標準化等の構造変化に対応し、変革をリードできる人材が必要とされています。また、技術革新の流れもすすみ、Web2.0、オープン・イノベーション、XML、JAVA、SOA、SaaS等に対応できるIT人材の育成も急務になってきています。そして高度IT人材の規模は10年後にはインド及び中国が世界を圧倒するという中で、日本も高度IT人材育成のあり方を考え、産業全体の競争力そして生産性をさらに高めていくことが重要になってきています。
高度人材育成に向けた具体的施策
高度IT人材が今後日本において自立的・安定的に供給される仕組みとして「高度IT人材育成プラットフォーム(仮称)」作りを行う必要があり、構成要素を以下のとおりとしています。
1.高度IT人材の具体像(キャリアとスキル)の可視化、共有化
2.実践的かつ先端的な人材育成手法の確立、実践
3.客観性の高い人材評価とメカニズムの構築
4.我が国初の人材育成・評価システムの国際展開
5.高度IT人材育成のための推進体制づくり
高度IT人材育成にWeb2.0の思想とスキルは必要か?
一方、ブログやSNS等によりコンシューマも情報をどんどん発信するようになり、またマッシュアップやAjax、RSS、Wiki等のWeb2.0型アプリケーションも導入が進んでいます。この動きは、コンシューマだけでなく企業にも導入の動きが出てきています。このような世の中の動きに対してどのようなIT人材育成をしていくことが必要なのでしょうか? 本報告書の中にも「IT技術者の知見も、IT要素技術そのものについての知見だけでなく、コモディティ化されたITパワーの発展動向を見通した上で、その上に展開されるビジネスフロンティアを先取りして提案(例:SNS、SaaS、オンラインゲーム、携帯関連ビジネス)する能力が重要になる」と書かれており、Web2.0の思想とスキルの必要性も述べられています。
高度IT人材のエントリーバリアを下げる
IT産業及びIT部門に働くことが何故これほど不人気で人材難が深刻化しているのでしょうか?考えられる理由の一つは、長時間労働等の勤務環境が厳しく、学生から見た場合に、新たなフロンティアを開拓する発展性のある機会が少ない、そして自分のキャリアビジョンが描けないと考えているからのようです。IT職種の人気回復とエントリーバリアを下げていくためには、今世の中で多くのコンシューマが自ら率先して利用しているWeb2.0を活用できる人材育成も同時に行い、ITを使うことに魅力を感じ、段階的にスキルをあげていくIT職種及び情報技術処理者の予備軍を作っておくことも必要ではないかと考えています。
最後に
高度IT人材育成はこれからの日本の産業全体の競争力・生産性をあげていくために必要不可欠です。一方、高度IT人材に続く人材も育てて裾野を広げていかなければなりません。そのためには今世の中でトレンドとなっているWeb2.0の技術等も駆使しながら人材育成を実施し、IT職種の人気復活をさせてからこそ、高度IT人材育成が成り立っていくと考えています。将来、「Web2.0検定」や「エンタープライズ2.0検定」等が出てくるとIT業界の人気も少しは良い方向に向かっていくのかもしれません。