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「GはGoogleのG」──Googleの2人がやりたいことをやるために作った「Alphabet」

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いきなりのAlphabet+Googleの発表には驚きました。もちろん、中の人たちにとっては準備万端整えた上での発表ですが。

ラリー・ペイジCEOの公式ブログでの発表文は、なんかもう、うきうきわくわくって感じで楽しそうです。おちゃめないたずらまでして、よほど嬉しいんでしょう。

持株会社ってなんだかよくわからなくて、ソフトバンクホールディングスができたときも(系列会社にいたくせに)、なんでー?とか思ってました。

でも、今回なんでラリー&サーゲイが嬉しそうなのかは分かります。

Googleは株式公開してからずっと、2人で何かおもしろいことをしようとするたびに、「そんなリスクの大きいことにわれわれの金を使うな!」と投資家から文句を言われ続けてきました。Googleの事業が安定してからは特に、です。

ラリーがまだ業績発表を自分でやっていたころは、毎回のように「自動運転車とかに使ってるお金はそんなにたくさんじゃないんだよ、だいじょぶだよー」と小さな声で言ってました(Calicoの発表のときも)。

主力事業(検索、広告、マップ、Google Play Store、YouTube、Android)をすべて堅実を絵に描いたようなスンダー・ピチャイさんに任せて、自分たちはGoogle XとかNestとかまだナイショのいろんなクレイジープロジェクトで遊べるようにするのが持株会社制にする目的でした。

だから嬉しそうなんです。うまいこと考えましたね。

2人のいいところは、自分たちでやりたいことを実現するためにどうしたらいいかを相談できる相手がたくさんいること。もちろんシュミット会長にも相談したんだろうけど、昨年7月にソフトバンクにニケシュ・アローラCBO(最高事業責任者)を引きぬかれちゃった後、CBOになってもらったベテランのオミド・コーデスタニさん(52)もその1人。omid.jpg

コーデスタニさんは1999年にGoogle入りしてビジネス関係の幹部を歴任していましたが、お金持ちになっちゃったからか途中から"CEOのアドバイザー"というよくわからない、まあ、助言者としての立場になっていました。アローラさんがいなくなっちゃったときも「ねーこまったよー、助けてよ~」と2人に頼まれて役職についたんじゃないかなぁ。

そのころから、2人はコーデスタニさんと、どうしたら投資家に文句言われずに好きなことをできるのか相談していたのかも。

というのは、ラリーは今日、自身のGoogle+で、「ぼくたちは昨年夏にオミッドにもう一度戻ってきてもらえてほんとにラッキーだった。(中略)彼はGoogleの将来の成功のためになすべきことについて考えることを助けてくれた」と言っているので。

しかも、今日のAlphabet設立発表と同時に、オミッドさんはまた"アドバイザー"に戻るんだそうです。まるでAlphabetのために役職についてたみたい。オミッドさん、これからもGoogleとAlphabetのアドバイザーでいるんだそうです。

オタクで天才肌の起業家はたくさんいますが、Googleの2人の強みは、2人の仲の良さと、こういう優れたアドバイザーを(お金抜きで)引き止めておける不思議な魅力なんじゃないかなと思いました。

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