海外記事、ブログ、記事にならない情報について、ITmedia エンタープライズ海外記事担当から一言

Facebookは悪い意味でイノセントなんだと思う(ユーザー=モルモット騒ぎより)

»

Facebookがユーザーに無断でニュースフィードを操作して実験していたという話、日曜日だというのに記事にしたんですが、さきほど論文執筆者がこの件について説明したのでそれも記事にまとめました。

Facebookがニュースフィードに表示するものを操作していることは周知の事実なので、問題はそこじゃないんです。これはサービス提供者の方針なんで、違法でもなんでもなく、(個人的には嫌だけど)しかたないです。Googleの検索結果だってアルゴリズムで操作されてるわけだし。

問題なのはそこじゃなくて、心理学の実験では常識になっているインフォームドコンセントの手順を踏まずに実験を行ったことです。こういう実験は予め実験だと分かったらピュアなデータをとれないので、被験者に内緒で実験したいのは分かりますが、ユーザーはモルモットじゃないのでそれは倫理的にアウトです。

少なくともFacebookが学会などに加盟していたら研究倫理審査でこの実験は駄目だしされてたでしょうが、Facebook内部では全然問題にならなかった。そこがすごい。

Facebookは過去に、プライバシー問題で欧州委員会やFTCからおとがめを受けて、そのたびに「改善しまーす」と言ってきました。

「なんでいけないの? その方がユーザーにとって便利になるのに」と心の底から考えてるんだと思う。つまり、英語のイノセント(innocent)なんでしょう。無邪気で悪気はない(innocentには“ばか”という意味もあります)。

Adam

論文筆者は、インフォームドコンセントなしに実験を行ったことについては直接の謝罪はしていません。今回の反応を今後の審査基準に反映させていくつもり、とは言ってますが。

この人、アダム・クレイマーさんはカーネギーメロン大学で計算論理学を学び、オレゴン大学で心理学の博士号を取得していて、いろいろおもしろい論文を発表しているんですが、研究者としての優秀さとイノセントさは同居できるようです。

クレイマーさんの説明を読むと「やり方はちょっとまずかったかもしれないけど、ユーザーに良かれと思ってやった実験なんだもん、悪いことはしてないもん」という気持ちが伝わってきます。「良かれと思って」っていうのは時々、悪意を持って行うことよりも怖いことがあるんですが。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する