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ウェブテクノロジさんのC++Builder開発事例がうれしいワケ

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先週、「エンバカデロのビジュアルC++開発環境C++Builder XE3がウェブテクノロジの著名なゲーム製作支援ツールの開発に採用」というプレスリリースを日米同時配信した。

グローバルリリースというのは、結構面倒で、日本発信の場合、まず、英語を想定した日本語でドラフトを起こしてレビューを行い、英語にして本社でレビューしたのち、再び日本語に反映する。当然、そのあと微調整が双方であるので、あとは並行して直すしかない。それを、限られた期限と時差の中やるのだ。

そういった苦労もさることながら、今回の事例は、いろいろうれしいことが多い。今日はそれについて触れたい。

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こちらは記者向け説明会の様子

まず、事例の概要を説明しよう。詳細は、こちらに記事があるが、従来Windows版だけであったアニメーションデータ作成ツールを、昨今のモバイル向けゲーム市場の拡大に伴うゲーム開発環境のMac化に対応するべく、Windows / Macの双方に対応するメジャー級のバージョンアップを行ったのだ。

その際、Windows / Macの双方の開発を効率よく行え、しかもやりたいことができる開発環境を選定し、最終的にC++Builderを選んでいただいた。C++Builderの場合、Windows / Mac OS Xのネイティブクロス開発ができるだけでなく、FireMonkeyというコンポーネントフレームワークが、効率的な開発と拡張性の両方をサポートしている。

簡単だけれども、複雑なこともできる。そこが重要だったわけだ。

今回の開発に携わった主な2名の方は、それぞれ役割が明確で、橋本さんはツールの機能を実装するのに必要な要素技術を作り、リーダーの遠藤さんが、ツールの設計思想をカタチにしていく。

このやり方は、C++BuilderやDelphiが提供するビジュアルRADを、最もうまく適用した分業のスタイルだと思う。実際、この最小のチーム構成で、ツールの主だった機能は、2ヶ月程度で実装し、あとはブラッシュアップに注力できたとのことだ。

開発ツールには、ツールの設計思想がある。遠藤さんが「OPTPiX SpriteStudio」に設計思想を持っているように、C++Builderにもそれがある。その思想を理解し、あるいは感じ、開発にうまく利用して成功している話を聞くことは、それを提供する側にとって、なんともうれしいことだ。

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OPTPiX SpriteStudioのデモ

C++Builderを選定するにあたり、当然いろいろなツールで試作を行ったわけだが、橋本さんがC++Builderを評価して、すぐに「これで行ける」と確信していただいたこと、そしてわずか2週間で画面を作成して社内プレゼンし、社長の小高さんを驚かせたことなど、大変面白いエピソードもある。

彼らが、C++Builderの生産性の高さに着目し、「Windows / Macのクロス開発以外でも使っていくことを考える」と言っていただいたのもうれしい。日本のソフトウェア開発には、劇的な工数削減を必ずしも歓迎しない、「人月」といったしがらみも存在する。「効率的なツールを使ったほうが絶対いいじゃないか」というあたりまえのことが、そのように判断されない事実を見てきただけに、これも大変うれしい。

そして、実は事例取材のときにリーダーの遠藤さんが、満面の笑みで「幸せです」と語っていたことがなによりうれしい。C++BuilderがWindows / Macのネイティブクロス開発の機能を、橋本さんがその上でアニメーションツールの機能を提供することで、遠藤さんが創造の翼を自由に広げられていることを感じることができて、いい事例だなぁ、と痛感した。

この事例については、今日の17時からオンライン放送するエンバカデロ・デベロッパーTVでも触れる予定。

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