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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

中止にしないという選択

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本日、3月30日に開催を予定しているデベロッパーキャンプについて、開催形態を変更して実施するというアナウンスをしました。

続く余震、電力不足など、不確定な状況が続く中で、当初計画していたイベントをどうするかというのは、どの会社のマーケティング担当の方も頭を悩ましていることと思います。先週より、だれも経験したことのない計画停電が実施され、交通をはじめ各種インフラへの懸念が一気に広まり、当初高まった「がんばって開催しよう」という気持ちだけではなんともしがたい状況になってきました。

こうした状況では、中止という選択もやむなし、ではありました。

しかし、それが必要とされているのであれば、ぜひ可能な方法を探るべきかな、と思います。そこで、悩めるマーケティング担当の皆さんのために、今回の開催決定、つまり、中止するのを中止した流れをまとめてみたいと思います。

第1段階:状況の把握
ライブのイベントを行う場合、会場の確保は通常でも高い優先順位です。まず、早い段階で確保している会場に被害がないか、また、開催が可能かどうかを確認しました。ネガティブな選択として、キャンセルした場合はどうか、ということも含めてです。

講師の皆さんの状況はTwitterですぐ把握できましたので問題なかったのですが、外国人講師の来日については、この時点では不透明でした。空港は機能しているものの、成田エクスプレスは未だ運休ですし、この時点ではスカイライナーも走っていませんでした。

第2段階:代替オプションの作成
会場が利用できるとして、どのような開催が可能なのか、オリジナルのままも含めて、いくつか案を作り、それぞれのリスクを検討しました。会場で実施する場合、やはりアクセスと安全の確保が課題になります。これについては、以前行った会場下見では不十分なので、実際に現地に足を運んで、非常口の状況とか、周辺設備の状況などを視察しました。

ちなみに、この時点での雰囲気は、「中止やむなし」だったと思います。中止にする理由を探すのは簡単だけど、どうしたら実現できるのか、日々変わる状況の中で考えていました。状況がとにかく頻繁に変わるので、代替オプションも、凝り固まったものではなく、広く柔軟な選択肢であるべきです。

第3段階:優先するものとしないものの振り分け
しかし、これまでの常識ですべてを計っていくと、おそらく開催は難しいであろうということが容易に想像できました。例えば、外国人講師の講演を行う場合、同通ブースを設営して、それなりに電力を使ってレシーバーを使う。でも、ひょっとすると余震の影響などで交通が一時的にストップするリスクもあり、などなど、万全を期す、という考え方では、やらない方がいいという結論しか出ません。

そこで、発想を転換し、何が重要なのか、何がごめんなさいなのかをこれまでの常識にとらわれず振り分け、必要なものをできる形態でやる、というイベントに作り変えることにしました。

例えば、今回、配布資料はありません。資料の準備には、歩留まり管理が不可欠であり、かつ、不足するという事態を避けるために、多めの用意しなければなりません。用紙の消費やコピーの電力に対する懸念もちろんですが、搬入、搬出の手間、リスクなどを考えると、もっとスマートなやり方があるかなと思います。

もちろん、批判やお叱りを受けることに対する覚悟もいるかと思います。これまで日本におけるある意味でのゆとりは、万全を期すための無駄でもあったのかと思います。そうしたことに多くの日本人が気づきはじめたと思いませんか。

第4段階:結局どうする外国人講師
実は、会場への移動が難しい方もいらっしゃる状況と、万が一会場開催が困難になって、即中止といった混乱に至らないために、かなり早い時期からオンライン参加のバーチャル開催を検討していました。

ただ、会場をどうするかについては、今週まで結論が出ませんでした。それに併せて、外国人講師を来日させるかどうか。先に書いた空港へのアクセスが限定されている状況で、詰め込みスケジュールは危険すぎます。来日する場合、通常他のアジア圏の国とツアーを組み、効率よく周るようにしていますが、それにもリスクがあります。

最終的にここが大きなリスクとなってしまうのを避けるため、彼らには本国からリモート参加してもらうことにしました。残念ですが、現状ここは仕方がなかったですね。

震災からまもなく2週間、まだまださまざまな不安要素がありますが、一元的な自粛モードから、限られた状況下で工夫してやりくりしていくようになってきているように思います。

そういえば計画停電が実施された当初は、鉄道の本数が減らされているのに、駅は明々と電気がついていて変だなと思っていました。オフィスのある飯田橋駅でも、「節電のためエレベーター使用を中止しています」という張り紙があるのに、その先のエレベーターに通じる通路は消灯してないとか。

現在では、蛍光灯を間引いたり、バリアフリーのために必要なエレベーターは運行するものの、一般の利用を控えるように促したりと、試行錯誤してやってるなぁ、と感じさせます。

先ほども触れましたが、あの震災の日以降、日本人は何かが変わったのだと思います。それを感じて、自分のすべき仕事を今のやり方でやっていくことが務めなのかなと感じています。

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