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リムスキー・コルサコフのキム・ヨナとサン・サーンスのミキティと

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昨日、一昨日の世界フィギュア女子は、キム・ヨナの圧巻の演技で終わった。スポーツながらも卓越した演技力が要求されるこの競技、全身で感情を表現する彼女にはやはり圧倒的な説得力があった。

ところで、本ブログ的には、フィギュアの選曲が気になるところ。金曜日ではないけれど、そろそろ期末ということで、月曜日ながら音楽ネタで切り込んでみようと思う。

キム・ヨナのフリーは、リムスキー・コルサコフの「シェヘラザード」。ヴァイオリンのソロが印象的なフルオーケストラの交響組曲。叙情的で息の長い旋律の中にも、弦楽器が早いリズムを刻む。一般的にフィギュアの音楽は、なんとなく合わせるようなイメージがあるが、この演目では、6拍子のアタマにちゃんとジャンプの着地を合わせてきていた。弦楽器は、この6拍子を細かく3連符のリズムで伴奏しているので、この着地の精度はごまかせないはずだ。音楽と完全に一致する着地が、ジャンプのパワーを増して見せるから不思議だ。

一方、3位に食い込んだ安藤美姫は、サン・サーンスの交響曲第3番「オルガン」という異色の選曲。この作品は、意外なところでは、牧羊豚が活躍する「ベイブ」で使われている。この曲がなぜ異色かというと、冒頭のリズムにある。

選曲は、2楽章の冒頭からのアレンジだったが、その冒頭は次のようになっている。

Organ01

こちらも6拍子だが、テンポは速い。しかも、強拍にあたる8分音符での4拍目が休符になっており、(ん)ダカダカダ・ダカダカダ・ダカダカダー、となるのだ。最初の(ん)を意識すると、このリズムきつくないか、と思うのが自然で、なぜこの選曲か?と思ってしまうゆえんである。

音楽的には力強さ、盛り上がり、など申し分ないが、フィギュア的なジャンプの間を考えると、伸び伸びとした3拍子のほうが効果的な気がする。スピードと大きな間を両立させるなら、小さい3拍子と大きい3拍子が合わさっていると完璧なわけで、そういう意味でもキム・ヨナは一歩リードしていたのだと思う。

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