先日、とある演奏会プログラムの譜例作成を手伝って、ピアノ協奏曲の楽譜を入力した。自分が使っている楽譜入力ソフトは、MIDI出力もいちおうついているので、入力した楽譜はPCで手軽に演奏できる。もっとも、残念ながらMIDI音質なので、フルオーケストラのスケールは手元では再現できない。
しかし、ピアノの音質については、ニュアンスはともかく、まあ聴けるものが再現できる。そこで、歌いまくる音楽というより、和音をバリバリ連打する、超絶技巧でなおかつ体力系の作品を入力して遊んでみることにした。
バルトークの「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」は、その名のとおり、2台のピアノに打楽器奏者が2名加わるアンサンブル曲で、バルトーク円熟期の頂点に位置する作品だ。捉えようによっては、「4名による打楽器のためのソナタ」と言ってもいいくらい、ピアノを打楽器のように扱い、打楽器にも対等に主題をたたかせる。
第1楽章は、速いテンポの8/9拍子。ただ、伝統的な3+3+3の拍子割りではなくて、1+2+2+2+2だったり、4+2+3だったり、1小節内で9拍を自在に分割する。しかも、それがパート間で、(ときに右手と左手でも!)別の分割法で演奏するので、縦軸を頑固に合わせながら、リズムを作るのは至難だ。
譜例1は、第1楽章の第1主題提示部で、盛り上がっていって頂点を作るところ。第1ピアノは、1+2+2+2+2だが、第2ピアノは、3+3+3をキープする。
譜例1
MIDIで聴くと、この辺のパート間の出入りの微妙なニュアンスを再現できず、逆に機械的に全部聴かせてくれるから面白い。こちらは、譜例の4小節前からと、譜例の後13小節を追加したもの。
ところで、1+2+2+2+2の旋律に対し、ベルトコンベアのようにあがっていく第2ピアノの和音が、どうも音楽の重心を感じさせないようだが、この曲のフルオーケストラ版にあたる「2台のピアノ、打楽器と管弦楽のための協奏曲」での編曲では、低弦がF#の音を補強している。
譜例2
こちらも同じ箇所をMIDIで再現してみた。木管楽器の音色がちょっと苦しいが、ピアノ版よりも若干意図が補強されているのが分かる。
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藤井 等
ボーランドの開発ツール事業分離発表を受け、数年ぶりにマーケティングに復帰し、2009年からは日本法人代表へ。
仕事に関連したソフトウェア開発やマーケティング、ビジネスに関する話題、週末には音楽の話題を。
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