オルタナティブ・ブログ > Allegro Barbaro >

開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

甘美な持続音とピアノ的リズム感の狭間で

»

ラフマニノフの交響曲第3番を練習している。交響曲も第2番のほうが有名だったりするが、ポピュラーなのはピアノ協奏曲のほうだろう。特にピアノ協奏曲の第2番は、アマチュアでもしばしば演奏する(自分も2回ほど演奏経験がある)。

ピアノに対して甘美な旋律や伴奏音型を奏でるピアノ協奏曲と違い、交響曲の場合、同じラフマニノフ的な旋律をオーケストラだけで作らなくてはならない。ラフマニノフ的は、大きく分けると甘く息の長い旋律を奏でる箇所と、細かい音符の動きでリズミカルながらも湿度を感じる箇所の2つがあるが、アレグロ楽章では、息の長い旋律にも、確固たるリズムがあり、これを無視して歌いまくると下手なカラオケ状態になる。

恐らくピアノ的感覚で曲想を練っていただろうラフマニノフの音楽は、甘美な旋律を誘導するピアノ的リズムの伴奏が伴っていることが多く、これと調和しながら伸縮しなければならない。ピアノ奏者がひとりで演奏するのとは違い、オーケストラではなかなか困難な共同作業である。

こちらは、交響曲第3番の1楽章の第2主題の箇所をピアノ譜としてMIDI化したもの。これを聞くと、なんともピアノ曲である。伴奏音型は、旋律の抑揚に応じて伸縮させている。

Rach03

オーケストラで演奏する場合も、このへんのニュアンスを感じて、旋律のヴァイオリンと、伴奏のチェロ、ヴィオラが呼吸を合わせなければならない。否、ラフマニノフの場合、息ではなく腰かな。微妙な伸びに呼応しようとすると、インテンポより弓を返す時間が遅延するので、その分腰が浮く。いわゆる半ケツ状態が生じるのである。

管弦楽版は、手元にある楽譜入力ソフトのMIDI出力のつたない表現力では手に負えないので、CDを聞いてください。あしからず。

Comment(0)