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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

Turbo関連まとめます

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Turboの発表から一週間経ちましたが、いろいろとご質問もいただいておりますので、現時点で決まっていることをまとめてみたいと思います。

まず、発表概要から。

プレスリリースレベルでは、2006年第3四半期中にTurbo DelphiTurbo Delphi .NETTurbo C++Turbo C#の4製品、それぞれ無償のExplorer、有償で500ドル未満のProfessionalを提供します。これはあくまでも英語版のアナウンスですが、日本語版の計画もあります。

ExplorerとProfessionalの違いですが、一番大きいのは、Explorerは、自作のカスタムコンポーネントや他社製コンポーネント、他のフリーコンポーネントなどをインストールできないこと、プラグインを追加できないこと、です。商用開発はどちらもできます。

Turboの製品としての位置づけですが、Explorerは特にエントリーレベルの製品という考えです。Delphiの大きな特徴に、コンポーネントを拡張していけることがあります。これをExplorerで制限することには、異論もあるかと思いますが、少なくとも今回は、コンポーネントの拡張まで進みたい方は、Professionalをご購入ください、というスタンスです。

TurboとBorland Developer Studioの関係ですが、単一言語のみを使用する方はTurbo、マルチ言語を使用する方はDeveloper Studioという区分になります。もちろん、Turboから始めて、マルチ言語に進みたいという方のためのライセンスプランも用意する予定です。そして、リモートデータベースアクセスやサーバサイドの開発も、という方は、Developer Studioの上位エディションへ、ということで、Developer StudioがTurboに置き換わるということではありません(製品体系がこんがらないように、エディションマップみたいな図がほしいですね)。

細かい機能スペックなどは、現在機能一覧のようなかたちでまとめています。まだ英語版のドラフトが出てきて、ここが違う、これが抜けてる、とかやっている状態です。いちおうドラフトレベルで日本語にしてしまいましたが、これは、原版が確定してから、透かして違いを見て修正を加えてすばやく対応しようという算段です。現時点で、あわてて不正確な情報をお伝えして混乱させても悪いので、正式なものが出てくるまでしばらくお待ちください。

「回顧ムード中心では…」といいながら、BDNにも回顧記事を掲載しております(写真は本日16時に公開予定の記事)。夏休みで技術記事はひと休みという事情もあるのですが。

さて、Turboの発表以降「復活」とか「カムバック」とか、回顧ムードが中心になってしまっているようですが、本当に復活しなければならないのは、ブランド(=名前)ではなく、その精神だと思っています。いいかえれば、Turboによって何をしようとしているのかをもっと明確にしなくてはいけませんね。

では、「何をしようとしているのか」ですが、ひとことで言えば、プログラマのよりどころとなる企業の復活です。正直ここ数年のボーランドは、開発プロセス全体にフォーカスすることにより、個々人の開発者、特にその予備軍、業界を下支えしている学生や個人の開発者に必要な手を差し伸べてきませんでした。Turboによって、まず製品ラインを学生や個人開発者の皆さんに手の届くところにも広げること、また、これを契機にプログラミング初心者の方の支援に力を入れていくことを考えています。

こうした努力は、ひいては既存ユーザーの方の利益にもなると考えています。情報の充実はもちろん、ユーザー数の拡大、市場認知の拡大にもつながります。そしてなにより、企業として何を成し遂げようとしているのかを明確に伝えること(これまで決定的に欠けていたことだと思います)が、顔の見える企業、すなわち将来性につながっていくのだと思います。

ということで、現状、製品を出す以外にやらなければならない課題はいっぱいあります。どうか、期待とともに厳しい目で見守ってください。

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