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翻訳者派遣のメリット:請負との違い

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前エントリーからの続き。翻訳サービスにおける請負と派遣の特長の違いは、翻訳者が働く場所と課金方法によるところが大きい。
当たり前ながら、どちらにもメリットデメリットがあるのだが、今回はあえて翻訳者派遣のメリットに注目して、その違いを述べてみる。

<翻訳の質>
継続して翻訳するのなら翻訳者派遣にメリットがある。
翻訳の質は語学力と内容に対する理解力によるところが大きい。内容に対する理解力というのは、学習効果が非常にききやすい。
よって、同じ内容の翻訳ばかりを行えば、もともと翻訳の素養が低いスタッフでも、特定分野においては高い能力を示すことが出来る。あえて翻訳者派遣に軍配を上げた一番の理由はここだ。

また依頼者と翻訳者が同じ場所にいるので、依頼者からのフィードバック(依頼者の要望、内容に関する情報提供)が翻訳者に返りやすく、そのことが翻訳の品質に反映されやすい。会社特有の用語への対応、依頼者の好みへの対応もしやすい。

請負翻訳の質におけるメリットは、膨大な翻訳者の中から適任者が選ばれ、かつ複数の人数で対応出来ることだ。
例えば弊社では必ず複数の翻訳者が目を通すようにしており、誤訳や訳漏れなどの防止のしくみとしている。
また派遣翻訳者は日本には数千人だが、請負の翻訳者は数十万人いると言われている。インターネットが発達した昨今では海外の翻訳者に依頼することも可能で、この翻訳者総数の違いは、分野への対応度、トップ翻訳者の層の厚さの違いにつながる。

<納期>
少ないボリューム手間をかけずに依頼したいのなら、翻訳者派遣にメリットがある。

翻訳にかかる時間は、「翻訳作業そのものにかかる時間」と「翻訳作業を行うための手配・前作業・後作業」のふたつが影響する。
翻訳者派遣のメリットは、その手配にかかる時間が少ないことである。請負の場合、小さい案件だと見積もりを作成するほうにより時間がかかってしまうようなことすらある。

また、社内コミュニケーションは社外のそれと比べて負荷が低いので、依頼者にとって柔軟性が高い。
翻訳者にとっては決してありがたいことではないが、少々アバウトな指示でも、コミュニケーションをとりながら、望ましいアウトプットに翻訳者と近づけていく共同作業が出来ないこともない。

もちろん、大量を短納期で翻訳する場合には請負に軍配があがる。
一時に複数の翻訳者を投入するなど、ワークロードの調整は請負ならではのメリットだ。

<コスト>
翻訳者の稼働率が高いのであれば、翻訳者派遣に軍配があがる。
例えば翻訳会社で働く翻訳者(翻訳会社にとってはオンサイト翻訳だ)の稼働率は70~80%くらいを目指している(ところが多いのではなかろうか?)
翻訳に関する仕事と言っても、「狭義の翻訳作業(言葉の置き換え)」と「翻訳作業を効率的・アウトプットしての質を高める作業」があり、後者の仕事(例えば、用語集を作る作業、翻訳というよりライティングに近い作業)もオンサイト翻訳者が担当するのなら、効率的だ。(派遣法で仕事の内容は決まっているので、時間給を払っているからと言って、なんでもさせていいわけではないので注意)

反面、翻訳にかかる時間が長ければ、コスト高になる。翻訳にかかる時間が長引くのは、もちろん翻訳者の翻訳の実力もあるのだが、それよりも作業環境によるところが大きい。
パソコンの性能、使っているソフトウェアの習熟度など。コストを厳密に管理するのなら、時間管理を行う必要がある。

請負翻訳は、その選択肢の多さに軍配があがる。つまり、ハイコストハイパフォーマンスの翻訳、ローコストそれなりパフォーマンスの翻訳。もちろん、いったんコストを取りきめたら、煩わされないのも気が楽だ。

と、このようにメリットデメリットがあるので、上手に使い分けている会社も多い。
普段は翻訳者派遣で対応していても、短納期大量の時、分野外の時は請負で依頼する。
フェーズ(開発時と運用時)によって使い分ける。

翻訳者も、どちらも対応している翻訳者のほうが少なく、オンサイト翻訳者、請負翻訳者と分かれることが多い。仕事の仕方、作業環境が異なるので、嗜好性や特技でわかれるのだ。

と今回は翻訳者派遣にどういうメリットがあるのかという観点から説明したが、もう少し、客観的に違いをまとめたものは、翻訳サービス:派遣と請負 どちらを選ぶか?にあるので、ご参考まで。

<関連エントリー>

2011.11.14翻訳で困った!請負と派遣で頼むのは何が違うの?

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