英訳:ネイティブ vs 日本人による翻訳
「翻訳会社で働いているので、たまには翻訳の話題でブログを書きたいと思います。」と言っているスタッフがいるので、私も^^;
翻訳会社に英訳(日=>英)を頼む時、実際どのような人がどのようなプロセスで英訳をしているかご存じだろうか?
業界にいるものとして、主流と思われる順番を類推したみた。
1.日本人が英訳=>ネイティブによる素読み
2.日本人が英訳=>日本人による原文つきあわせチェック
3.日本人が英訳=>日本人による素読み等の簡易チェック
4.ネイティブが英訳=>日本人による原文つきあわせチェック
5.日本人が英訳=>ネイティブによる原文つきあわせチェック
6.ネイティブが英訳=>日本人による素読み等の簡易チェック
7.日本人でもネイティブでもない人が英訳=>日本人による素読み等の簡易チェック
※ここで言うネイティブとは、英語を母国語とする人々のことである
翻訳の品質はサービス業にはありがちだが、個々の翻訳者の技量によるところが大きい。
しかし、翻訳会社が、英訳のプロセスや人選をどうしているのかで、その会社が提供するサービスの想像がつく。
上記7つを見てわかるように主な違いは
・翻訳をする人がネイティブか日本人か
・翻訳の後工程で何をするのか(後工程に何もしない翻訳会社もあるらしいが)
である。
ちなみにアークコミュニケーションズは4が主流。5を時々。2も場合によって。
4(ネイティブが英訳=>日本人による原文つきあわせチェック)のメリットは、自然な英語を原文に沿って生み出せることである。
一般論として、日本人(外国人)が英訳すると意味を正確に伝えようとして、冗長で、固い文章になりやすい。特に英語は日本語とは主語の選び方が違うなど、文の構造が異なるので、日本人特有の英語になりやすい。よって、いったん翻訳したものを、ネイティブが修正しようとしても、なかなか文の構造まで変更して、自然な文章にするのは難しい。
マーケティングマテリアルなど文章表現に気を配りたい翻訳は、原文(この場合日本語)を母国語とする人より、ターゲット言語(この場合英語)を母国語とする人が訳すほうが適切であるとアークコミュニケーションズは考えている。
さて、それではこの方式がなぜ主流ではないのだろう?
それは翻訳者のAvailabilityの問題が大きい。
日本語がわかる英語ネイティブの翻訳者と、英語がわかる日本語ネイティブの翻訳者の数は、圧倒的に前者が少ない。
翻訳会社にとっては日本語がわかる英語ネイティブ翻訳者を開拓・育成するのは大変だし、Availabilityが少ない分価格も高めになるので、この方式によるメリットをクライアントにしっかり伝える必要がある。
よって、英語としての自然さより価格重視の顧客には、弊社も5や2をお薦めすることがある。
1~7の方式には当たり前のことながらどれにもメリットとデメリットがあり、どの方式を採用して翻訳サービスを提供するかのは、その会社のフィロソフィーが反映されるとつくづく感じる。
<過去の関連エントリー>
2008.2.24 翻訳品質を上げる7つのルール
2009.3.5 英語サイト評価サービスを開始
2011.5.25 Plain Englishは簡単で難しい