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表意文字しかない中国語で、固有名詞の表記をコントロールする難しさ:オバマ大統領ですら・・・

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日本語は便利だ。表意文字である漢字もあれば表音文字であるひらがなもカタカナもある。その漢字の産みの親である中国は表意文字しかない。何が困るって、外来語、特に固有名詞の表記を所有者である本人ですらコントロールすることが難しいことだ。

例えばアメリカのObama大統領。日本語では「オバマ」だ。一番現音に近いカタカナを組み合わせて、書くのが日本流の外国語の固有名詞の表記方法だ。

さて、中国語ではどうするかと言うと、原音に似ている漢字を組合わせて書く。問題は、中国語には同音異義語がたくさんあるので、どの漢字を選ぶかだ。漢字の意味も考慮しながら、音が少々離れていても表記を決めていくこともある。

さて、中国での表記は「(ao)(ba)(ma)」が市民権を取ったように思える。
中国政府もこの表記をサポートしている。

しかしながら、当初アメリカは台湾や香港で使われていた表記である「(ou)(ba)(ma)」を使いたかったようだ。こちらのほうが私は原音にはより近いと思う。

本人(正確にはアメリカ大使館)がそれを使いたいというのだから、そうしてあげればよさそうな気もするが、既に市民権をとっている「奥巴馬」を中国政府は変更する気は一切ないようだ。(欧州の欧の字をアメリカの大統領に使うのが好ましくないのもわからないでもない。オバサンのことを欧巴桑と書くからイメージもよくなさそう)

ところで、中国政府が「奥巴馬」と表記するからと言って、それに中国人が皆おとなしく従うわけでもない。ブロガーなどは「毛巴馬」、「奥巴毛」と毛沢東の毛の字を使って表現したりもしているそうだ。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2664510/4921526

アメリカの大統領の名前をして、所有者側の主張は通らないし、中国政府が決めたからって、中国国民が皆その通り表記をしてくれるわけでもないのだ。

これは企業の広報担当にとってはかなり頭の痛い問題だ。
だから、アメリカの大統領の名前よりもっと影響力の低い固有名詞(会社名、ブランド名、製品名、社長の名前など)の表記を中国でコントロールしようとあまり思い詰めすぎないほうが、心安らかになれると思う。

ちょっとふてくされて言うと、漢字圏に住んでいない人々が羨ましい。
大多数のアメリカ人は、オバマ大統領が「奥巴馬」と表記されようが「欧巴馬」と表記されようが気にしていないであろう。

でも、漢字の意味がわかる日本人にとっては、自分の思い入れのある固有名詞にどの漢字表記が中国で市民権をとってしまうのかは、かなり気になるところである。(続く)

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