CEOに学位は必要か
以前IT技術者に学位は必要かという題目でブログを書いた。自分の経験した範囲に限っての持論だったが、最近NetworkworldでCEOに学位はいるのかと言う記事を読んだ。CEOと技術者は違うので、どういう結論になるか興味があったので、思わず読んでしまった。この記事のため、成功している50のテック系の会社のCEOとその学位の状況を調べたものだ。話としては、アイビー・リーグの有名校に行った若者が寮で始めたビジネスが大成功して、大学を中退して会社を大きくしてというストーリーが面白い。では、この50人のCEOのうち(50がどこか記事には書いていないので分からないが)
何人が、このケースに当たるのか。この記事の結論は50名中5人だけだったということで、CEOに学位はいるのではないかと結論づけている。そして、学位なしでCEOになったのは自分でビジネスを始めた人だけだとして、5名をあげている。
その5名とは
Michael Dell, Dell Computer
Larry Ellison, Oracle
Bill Gates, Microsoft
Steve Jobs, Apple
Mark Zuckerberg, Facebook
そして、 Zuckerbergなどは自分でやっていなければ、CEOの候補にあげられることさえもないだろうとしている。
天邪鬼の筆者がこの結論にイチャモンをつける前に、この記事のその他のデータを上げて見よう。
50名中17名がComputer science、Computer Engineering またはElectrical Engineerの学士を持っている。その他、3名が数学、3名が物理の学士を持っている。
50名中27名が学士の他、修士の学位を持っている。専門はComputer Science、Engineeringまたはbusinessだ。
50名中15名が文化系の学位を持っている。例えば、経済、金融、会計やビジネスだ。
50名中19名がMBAを持っている。
3名が博士を持っており、1人は法律の学位を持っている。一般的にテック系の会社は博士を嫌う。
さて、イチャモンのタイムだ。確かに、学位を持った人の方がCEOになったのは多かろう。それは、ある一定以上大きくなった会社で内部からでも外部からでも役員会で誰をCEOにしようかと考えるときは、経験と同様学位は大きなウエイトを占めるからだろう。それは間違いない。しかし、上の例外の5名は創業者で半端でない成功を修めているので、雇われCEOと自分自らCEOとしてずっとやって来た人を同列に議論をするのは納得できない。もちろん、成功を修めていた会社のCEOに選ばれて、更に会社を大きくする才能は類稀なるもので決して過少評価されるものではない。しかし、この2種類のCEOはかなりタイプが違うだろう。この記事の結論を正しく書き直すのであれば、ある程度大きくなりそれなりの成功を修めた会社のCEOに選ばれるのであれば、学位はいる。それも、せいぜい修士までで、博士はやり過ぎである。また、良く言われるのは、技術系の会社であれば、まずは技術系の学士を取ってそれからMBAを取るのが成功の秘訣だ。
では、上の5名が学位を取っていたらもっと成功しただろうか。それとも、余計な時間を取られて素早く動けなかったために今ほど成功していないだろうか。それは、誰にも分からない。人生の目的は個人個人が自分で決めるものだ。5名は与えられて時点で、学位よりもやりたいことに挑戦した訳だ。シリコンバレーでもどこでも、多くのスタートアップが作られては潰れたり買収されたりして消えて行く。GoogleやMSやOracleやAppleやFBのように大成功しなくても、そこそこ行く会社は数少ない。それでも夢を目指して進む人は後を絶たない。成功していない筆者が言ってもあまり説得力がないのは良く分かっているが、この記事は大企業からの視点で書かれているように思う。