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大震災、普通のアメリカ人にはどう見えているか

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以下は、決して今回の震災による被害を矮小化する意図で書いたものではなく、あまり日本で報道されない事実(筆者の感想)を述べたものである。こちらで受け止めている災害の規模は本当の姿と違う。そのことが莫大な影響を日本全体に及ぼす可能性について述べたい。

会う人会う人に聞かれるので、もう説明するのが嫌になったが、アメリカでの報道だけを見ていると、小さな国の日本では今、大地震と津波と放射能で、人々は食べ物も飲み水も無く避難所で寒さに震えながらばたばたと死んでいる、と思えてくる。ともかくあの津波の映像は人々の心に張り付いている。確かに東北の被災地はこの通りなのだろう。しかし日本といえば東京しか知らない彼らから見ると、日本の被災すなわち東京の被災なのだ。大都会の東京で毎日震災の影響で人がばたばたと死んでいると思っている。確かに、これから何年も続くであろう電力不足で東京の生活は混乱している。また次々と出ては変更される政府発表に市民が困惑していることも間違いない。しかし東京のインフラは壊れておらず、街は買占めなどを除けば平穏だ。東京にいない筆者に何が分かるかという反論もあろう。しかし何人もの友人や家族・親戚からの情報を総合すれば、例外はあるかもしれないがこれでほぼ妥当だと思う。

アメリカ人のこの思い込みはすべてこちらのメディアの報道による。そしてメディアは日本政府の発表を信じていない。人々は東電の隠蔽体質(これは何回も詳しく報道されている)や日本政府の発表の頼りなさを見て、やはり今回の原発の問題は発表されているよりもかなり悪い状況だと信じてしまっている。これは、あちこちの会合などで話をする機会の多い、教育および知的水準の高い人の間でさえも起きている。

事態を軽く見せようとした発表を繰り返すのではなく、すべての情報を公開すべきだろう。東電や政府機関の原発についての状況説明は、誰かが書いた原稿を現場が分かっていない人が棒読みしているように見える。質疑応答での答えを聞いていると、この分野に素人の筆者にも分かる。どうでもよい式典で意味のないスピーチを聞かされるのは迷惑だがあまり実害はない。しかし今回は敗戦後最大の国難だ。日本人であればある程度この「うにゃうにゃ」を受け止めることができよう。しかし「うにゃうにゃ」に対する抵抗力のないアメリカ人には「うにゃうにゃ」は理解できない。アメリカ人は(多分日本人でも同じ)理解できない事象に遭遇して、自分の知識と経験からその事象を勝手に理解しようとしているようだ。その結果は大抵の場合、間違っているのだが。日本人ははっきり言いたくない時に便利なので「うにゃうにゃ」を使う。そうすると聞いている方も相手を慮ってそれ以上は突っ込まない。事実、東電や政府の記者会見で、「うにゃうにゃ」発表にはっきり突っ込む記者はいない。

このままでは、日本の中心である東京がアメリカ人の心の中で滅んでしまう。これがどういうことにつながっていくのか、考えるだけでも空恐ろしい。ビジネスや政治だけでなく、同盟関係にもひびが入る。今後東京だけでなく日本全体にこの震災の影響がじわじわと出てくる。日本は一国でも一人でも余計に世界を味方につける必要がある。滅んでもいないのに、世界から滅んだと思われては自滅だ。筆者は日本の様子を個人的に会う人やブログ等で説明している。しかし残念ながら微力だ。英語で現在の状況をfacebooktwitterで発信する人はいないのか。誰かhttp://www.facebook.com/prayforjapan.jpの英語版を作ってくれませんか。英語で発信しなければ。今、リビア情勢が風雲急を告げていて、日本の震災のニュースは色褪せ始めている。IT屋の皆さんの協力を求む!!

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