オルタナティブ・ブログ > ヨロズIT善問答 >

30年に渡って関わってきた米国のITの出来事、人物、技術について語る。

データセンターを仮想化して廃統合した次はクラウドかな

»

仮に筆者が中堅から大手の企業のCIOだとしよう。あちこちのデータを基に、稼働率が平均5%だったサーバを仮想化して廃統合し(稼働率は今60%)、更に10あったデータセンターを3ヶ所に統合したとしょう。これで運営費が大いに減少して電力消費も低下したとしょう。それでもCEOがやって来て、「巷にはクラウドというものがあるらしい。それを利用して更にITに掛かる経費を削減してくれ」と言ったとしよう。さてどんなオプションがあるのだろうか。

まず、パブリックかプライベートかを考える。パブリックだとSaaSPaaSまたはIaaSだ。手っ取り早いのはSaaSだ。最近メールのトラフィックが増加しているので、ストレッジやサーバを増加しなけばならない。経費が掛かるし、スケールするのが苦しい。そういえば、メールなどのコモディティはSaaSに向いているらしい。と言う訳で、MSExchangeを引っ剥がしてGoogleGmailにしたとしよう。もちろん、変更のための経費やその他面倒なことを全部精査してこの決定をしたとする。ここまでは簡単だ。ストレッジやサーバの問題から開放されて万々歳だ。更に数年で、変更に掛けた経費も回収できる。サポートはGoogleに行くのでサポート要員も削減した。

そう言えば、薬業界のイーライリリーがIaaSを使って面倒くさい数値演算をアマゾンのウェブでやったら何十分の一の経費と時間でできたと聞いている。それに、ウェブ系のアプリを展開するスタートアップがこのIaaSを使って必要に応じてスケール アウトしているらしい。待てよ、うちはそんな複雑な数値計算は無いぞ。しかもうちはスタートアップでもないし、ウェブ系でもないしなあ。あ、そう言えば、開発チームが何時も「テスト環境をセットアップするのに時間が掛かるがテストが終わったらまたその環境をバラさないといけない。あちこちに無理を言ってサーバなんかを借りてくるのも大変だ」と言っていた。しょっちゅう使うわけではないからサーバなんかをテスト用に購入しておくわけにもいかない。そうだ、IaaSがぴったりだ。

ところで、パブリック クラウドの問題点はSLAとセキュリティらしい。どこかの専門家が言っていたが、クラウド屋さんのセキュリティは高く、むしろ安心だとか。まあ信じるとしよう。うちの場合、IaaSを使うのはテスト環境だからSLAはまあよいか。

ところで、IaaSはプライベート クラウドとパブリック クラウドを組み合わせてハイブリッド クラウドとして使えるそうだ。最低限のコンピュータ環境を会社内部でクラウド化しておき、負荷が増加して内部のクラウドだけで対処できなくなったらクラウド バーストしてパブリックのクラウドも利用できるんだって。今のデータセンターは仮想化して統合したのだけれど、これってプライベート クラウドって呼べるのかな。つまり、オンプレミスのプライベート クラウドだ。もし違うのなら、それはソフトとハードのコンフィギュレーションの問題なのだろうか。それとも、新たにソフトやハードを購入しなけばならないのかなあ。ところでプライベート クラウドってやはりSaaSPaaSIaaSなんてあるのかな。良く分からない。

クラウド バーストに戻るが、うちの仮想化はVMWareを使ったぞ。だけどパブリックのクラウドって大体Xenベースだとどこかに書いてあった。そうするとプライベートで走らせているVMはパブリックのクラウドに移動できないぞ。それって、余剰の負荷をアウトソースできないということではないのか。なんだか分からない。

大体データセンターを統廃合したひとつの理由は必要な電力の確保が困難だからだ。できれば内部のデータセンターの電力消費も減らしたい。じゃあ、プライベート クラウドをホストするオプションを考えてみよう。これってデータセンターのインフラの一部をホスト屋さんのセンターに移動することだな。そうしたら、電力や冷却の心配が減る。センターの1フロア全部を借り切るので、物理的なセキュリティはあまり心配しなくてよい。極端な話、データセンター全部をホスト屋さんに移してしまえば、話は簡単だ。待てよ、しかしそうしたら困ることはあるのだろうか。

あれっ、クラウド、クラウドと騒いでいるけれど、上で見たような根本の質問に答えてくれる人がないぞ。どうすればよいのだろう。

実は上に挙げた話は、今度筆者がモデレータとして参加するパネルセッションの内容だ。クラウド、クラウドと騒ぐわりには根本的なところが明らかでない。クラウドの専門家2人に上の質問をする。その回答はパネルの後またこのブログで発表しよう

Comment(0)