アンコンファレンス(Unconference)とはなんだろう
今回は最近参加したグリーン・ソフトの集まりについて述べる。会の内容よりもその集まりの運営の仕方に重きを置いて述べる。
この集まりの趣旨はグリーンを達成するためのソフトの役割について話合うためであった。普通この手の集まりは、プログラムを決めて、スピーカを集めてパネルであればモデレーターを中心にパネリストを探し、その日が来ればそのプログラムに沿って粛々と会が運営される。これでは、参加者の考えと主催者側との考えが必ずしも一致せず、参加者の不満が溜まることが多い。これを解決すべくアンコンファレンス(Unconference)という方式が考えだされた。この形式せいぜいここ1年くらいの間にはやりだしたと思う。
つまり予めプログラムを決めずに、その日になってからプログラムを決めてその場に応じて会を進行しようというものだ。もちろん、何も決めずに単に集まっても仕方がない。どころか、それでは人が集まらない。この形式はやり方を間違うと全くの混乱と時間の無駄となってしまう。このグリーン・ソフトのアンコンファレンスは非常にうまく企画され実行されたと言える。
アンコンファレンスの形式は個々多少は異なるが以下のような流れで行われる。
1. テーマの設定:テーマが決まらなければ話にならない。こういった主題に興味を持っている会社や人々を開拓するところから始まる。筆者は2つのセッションを提案してチェアーをしたが、協業するAltaTerra社へ主催者側から打診があった。一般的にチェアーを出すところはスポンサーになるところも多い。ではどうやって関係ありそうな会社や人を探すのだろうか。これはまさに、口コミやコネやLinkedinのようなSNSを介して興味を持つ人を集める。それなりに業界で顔が売れてないと厳しいだろう。AltaTerra社のマーケティングから筆者に打診が来た時は、どうもアンコンファレンスが胡散臭くてすぐには動かなかったが、後日AltaTerraがスポンサーになり、参加費も免除となったので参加することとした。
2. 参加者にテーマに沿った題目を提案させる。参加者の中には、実際に具体的な考えがありセッションを仕切る気のある人もいれば、単にもっとこの分野を学びたいと思う人もいる。この段階で、主催者側はどれだけのセッションを作れるか概算できる。もしあまり、数が少なければ「興味を持っているが自分からは」という人を説得してセッションの提案を考えてもらう事も必要だ。このアンコンファレンスでは、筆者は「ソフトウエアそのものをエコにする」と「ソフトでデータセンターでの電力消費をモニターする」を提案すると登録の際書いた。こういった一連の登録情報はウエブで公開されているので、それを見て新たなセッションを考える人もいれば、参加そのものを決定する人もいる。つまり、従来のコンファレンスが静的であるのに比べてアンコンファレンスは動的なのである。
3. その日。その日は思ったより早くやって来る。まずは主催者による開会宣言とプロセスの説明。最近のコンファレンス(この場合はアンコンファレンス)がそうである様にネットへのアクセスがある。主催者側は、写真、ビデオ、Twitterなどでガンガンやってくれという感じで話は進む。
4. その後、少しの休憩の後、セッションの提案のある人はその題目を書いて主催者側に提出する。(場合によっては提案者が1-2分自分の提案を説明することもある。今回はそれはなかった。)ここからが主催者の腕の見せ所だ。十分な量のセッションが必要だが、重複は避けたい。結局この時は25のセッションのが提案され、最終的に24に絞られて、6つの平行セッションを4つの時間帯で行った。
5. 筆者のセッションはどちらかというと、専門家が好むような内容であまり人が集まらない。こりゃだめだと思ってキャンセルするのかと思ったが、主催者側は集まる人の数に最低限はないということでそのまま続けて、ようやく10名程度集まった。このブログではエコの話はしないつもりだが、米国の環境庁のEPAは色々なものに電力消費の効率の目安となるEnergy Starのロゴは発行している。このロゴのある洗濯機やモニターは電力効率が良いというわけだ。最近はこれをサーバーにも適用している。それで、「Energy Star for Software」としたのだが、ともかくソフトは難しい。この話はまた別に書くとして、集まった皆は色々と適当に話をする。それをノートに取る。もう1つのセッションも同じようなものだ。これも、将来書いて、見たい。
6. そして、セッションが終わる毎にWikipadにセッションのまとめを発表することになっている。全てがオープンで参加者でなくても誰でもアクセスできるのだ。もちろん、TwitterやFacebook(主催者はFacebookやTwitterもガンガン使っていた)で宣伝する訳だが。これだと終わってからも、写真やビデオも追加されるし、このサイトへのリンクはOKだし、まさに開かれたコンファレンスで、従来のように閉ざされたコンファレンスでないので、アンコンファレンスだ。
ざっととまとめて見た。この形式はうまく運営されれば良いがそうでなけば、単なる混乱となる。今回は本当にうまく運営された。日本でやったらどうなるかは分からない。でもなんかあまり向いてないような気もする。
ところで、最後まで人を引き付けておくために、景品が当たるクジがある。筆者はクジに当たったことがない。だが、一緒に参加していたAltaTerraの社長と友人はどちらも景品を仕留めた。AltaTerraの社長に至っては3本のワインを獲得した。友人は3人いるのだから、自分と筆者に1本づつよこせと要求したが、社長は笑って3本のワインも持ち帰路に着いた。クジ運の悪いころを再認識した筆者であった。