IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

良い社名、悪い社名~「グローバルナレッジネットワーク」と「トレノケート」

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勤務先が「グローバルナレッジネットワーク株式会社」から「トレノケート株式会社」に変わりました。人材育成のコアである "Training"と、先導者、提唱者を意味する "Advocate" を合わせた「カバン語」です。「カバン語(portmanteau)」は、ルイス・キャロルが紹介した言葉で、旅行カバン(portmanteau)が、ふたつにパカッと分かれることから名付けられたそうです(スーツケースを思い出してください)。

ちょうどいい機会なので、社名の流行について考えてみたいと思います。

トレノケートの前身はDigital Equipment Corporation社(DEC)の教育部門です。DECは1990年代になって、経営不振から次々と部門売却を行ないました。教育部門もそのひとつで、投資家に売却されて「Global Knowledge Network」と名付けられ、独立系のIT教育会社となりました。ちなみに、身軽になったDECは最終的にCompaqに買収され、CompaqはHPに買収されました。

DECの創業は1957年です。当時は普通名詞を社名にすることが望ましいとされていました。日常的な単語の方が覚えやすいからです。たとえばIBMは、1924年(カナダでは1917年)から「International Business Machines」を使っています。DECからスピンオフしてできた会社は「Data General」でした。

1976年創業のApple Computer(当時)も普通名詞ですが、1975年創業のMicrosoftは「Micro」と「Soft(Software)」の造語です。もっとも初期のマイクロソフトは「Micro Soft」と表記することもあったようで、完全な造語にはなっていません。

1982年創業のCompaqは完全な造語ですが、こうした名前はどちらかというと少数派で、普通名詞でなければ地名や人名が良く使われました。

Global Knowledge Networkの創業は1995年です。この頃でも社名は「一般的な単語」が良いとされていましたが、独自性を示すため、社名も「独自の名前の方がいい」という意見が徐々に増えてきました。

独自名が良いという意見が多数派になったのは検索エンジンが出てからでしょう。

初期の検索システムは「ディレクトリ型」と呼ばれ、人力で分類をしていました。グローバルナレッジネットワーク株式会社が創業したとき、Yahoo!に連絡をして登録してもらったことを覚えています。登録には確か数日を要しました。

ディレクトリ型の検索では、分類項目を先に選ぶため、同名の会社の衝突はあまりありません。わざわざ競合会社と同じ名前を付ける人はいませんし、そもそも商標違反の可能性が出てきます。

ディレクトリ型ではない全文検索エンジンは、DECのAltaVistaなどがあったものの、検索結果の絞り込みがあまり賢くなく、実用的ではありませんでした。状況が変わったのはGoogleが登場してからです。

全文検索が一般化するとともに、社名や製品名に一般的な単語使うことを避けるようになってきました。検索エンジンで無関係な単語が表示されたり、異業種の別会社が検索されたりしないようにするためです。たとえば「グローバル」「ナレッジ」「ネットワーク」の単語を組み合わせた会社は日本にいくつかありますが、造語である「トレノケート」はまだ見つけていません。

検索エンジンが前提の現在、会社を発見してもらうには独自の単語を作った方がいいようです。

造語を使う場合の問題点は、「そもそも覚えられない」ということです。特に「advocate」のような、あまり親しまれていない単語の、それも後ろの方を取った名前というのはなかなか記憶できません。

そういうわけで、こんな写真を用意しました。

trainocat

「トレイの毛糸」と覚えてください。でも、仮名書きするときは「トレノケート」、「トレイ」ではなく「トレ」「けいと」ではなく「ケート」です。何でも、アジア訛りの英語発音だということです。

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