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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

最近の出来レース、不正疑惑、解散商法

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アイドル業界で、ファン参加型のオーディションが増えていることは前に書いた(Web 2.1「強制CGM」~サバイバルオーディションの増えるわけ)。安価に大きな宣伝効果が得られるためだろう。しかし、ファンは簡単にコントロールできないというリスクもある。

最近見かけた炎上事件をいくつか紹介しよう。

 

SHOWROOMちゃん事件

SHOWROOM株式会社から100円の振込があった。一般的な振込手数料は最低108円だから、なんだか大変ばかばかしい振込である。

背景は、以前書いた「視聴者参加型イベントの変化」を読んで欲しい。要約すると以下の通りである。

  • SHOWROOMが「SHOWROOMちゃん」というキャラクターを使った参加型オーディションを主催
  • 一部のファンは、推しているモデルを合格させようと、多くの有料アイテムを購入
  • 採用されたのはオーディション4位の人と、オーディションに参加していない人

これを受けて、「これではオーディションの意味がないのではないか、せめて有料アイテム分の返金をして欲しい」との要望があり、最終的に「オーディション期間中に発生したオーディション参加者に対する課金は全額返金」となった。私は100円だけ出していたので、きちんと100円返金された次第である。

面白いのは、ファンの怒る理由である。オーディションで1位を取ったのに落選したときは落胆しただけで収まった。この時点でも課金に対する返金を求める人もいたが、単なる愚痴のレベルだった。ところがその後、オーディションに参加していない人が採用されたことが発覚してから不満が爆発し、最終的に返金が実現した。

 

「がいな音楽祭」オープニングアクト出演枠事件

そういえば「Chelip(チェリップ)」が、「がいな音楽祭」のオープニングアクト枠をかけてのファン投票で1位を獲得しながら、落選したときもそうだった。ファンが怒りだしたのはTwitterで以下の発言が出たあとである。

まるでChelip、またはChelipのファンが不正をしたかのようである。これを受けての運営スタッフのコメントは前向きである(全文はリンク先を読んで欲しい)。

皆様、「がいな音楽祭」オープニングアクト出演枠投票に最後の最後までご協力戴きありがとうございました。 皆様のおかげでChelipは3257票もの投票を戴き、2位と約200票の差をつけ1位を獲得する事ができました。 しかしながら、...

Posted by Chelip(チェリップ) on 2015年9月18日

ファン参加型のオーディションは一種のお祭りであり、結果が不本意であってもあきらめることはできる。しかし、主催者が公正でなかったり、ファンの不正を疑われたことに対しては納得できない。

誰でもそういう面を持っているだろう。万全の体制で臨んだ試験に落ちたらショックを受けるだろうが、それはやむを得ない。しかし、してもいないカンニングを疑われたら怒るだろう。

ちなみに、この「がいな音楽祭」は、運営の不備から不参加表明を出すアーティストもいたようで、結局実施直前に延期が発表された。「不正疑惑」疑惑事件と関係あるかどうかは分からない。

 

解散商法事件

投票ではないが、結果的にファンを巻き込んでいる事件に「解散商法」がある。

「解散商法」というのは、もともと、70年代を代表するアイドル「キャンディーズ」が突然解散を発表、周囲の説得で解散時期を本人たちの希望よりも半年遅らせることで、かえって人気が上がったことから名付けられたように思う。

キャンディーズよりも少し遅くにデビューした「ピンク・レディー」が77年から78年にミリオンセラーを連発したが、キャンディーズは大ヒットとされる「春一番」ですら36万枚、「年下の男の子」が26万枚でしかなかった。ところが解散宣言をしたあと、その直前からのシングルの売り上げは全て30万枚近くになり、実質的な最終シングル「微笑みがえし」は83万枚となった。

当時、1人が複数のレコードを買う習慣はあまりなかった。せいぜい、貸し出し用に予備を買うくらいである。アナログレコードは再生するたびにわずかに劣化するし、不注意で傷を付けてしまい部分的に再生できなくなることがあったためだ。「微笑みがえし」だけが突出して売り上げ枚数が多いのは「最後くらいオリコンチャート1位を飾ろう」と、複数枚購入を呼びかけたためとも言われている(実際、解散直前に1位を達成した)。

このように、解散に向けて市場を盛り上げて行くのが、もともとの「解散商法」である。

ところが最近、別の「解散商法」が話題になっている。「期日までに○○できなければ解散」というものだ。「これでは解散商法ではなく人質商法だ」と言った人もいる。

いくつかあるらしいが、特に「バニラビーンズ」の情報をよく聞くので紹介しておく。

告知なしに、事務所内で「○○枚売れなければ解散」と密かに決まるよりマシという意見もあるのだが、ファンの足下を見ている感じはする。

SHOWROOMちゃんにしても、がいな音楽祭オープニングアクト枠にしても、成功報酬は仕事を1つ増やすことである。しかし、「解散商法(人質商法)」は失敗したらすべてを奪われてしまう。成功したときの報酬と、失敗したときの罰と、モチベーションが上がるのはどっちだろう。

死ぬ気で頑張る」時期があってもいいだろう。「死ぬ気でがんばれ」という指導者は最近流行しないが許容範囲だろう。しかし、「できなければ殺す」というのは許容できない人が多いのではないか。

そして、ファンは「そうは言っても、解散は残念だから、買い支えるしかない」という気持ちの人が多いらしい。どこまでもけなげである。

 

【告知】猫写真展

本文とは何の関係もありませんが、縁あってグループ写真展に参加します。

横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展  ~今を生きる猫たちのキロク・キオク~

横浜にある赤レンガ倉庫を借りての猫写真展で、私は「猫のチカラ」というグループのメンバーとして5点出展する予定です。入場料が必要ですが、プロの写真家の出展も多いので、猫写真に興味のある方はぜひお越しください。

  • 会場: 横浜赤レンガ倉庫 1号館2階
  • 会期: 2015年11月17日~23日
  • 時間: 10:00~20:00 (最終日23日は~18:00迄) ※入場受付は終了の30分前迄※
  • 入場料: 500円(小学生以下無料、当日に限り再入場可能)

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