炎上が減って増えたもの
Webの炎上が減ったように思います。すべてが減ったというよりは、有名人の失言が炎上しにくくなったという感じでしょうか。
これまでは有名人が失言すると批判のコメントが殺到して炎上することが多くありました。ところが最近は失言を目にする頻度そのものは変わっていないかむしろ増えたものの、炎上する頻度は少なく、炎上したとしてもその度合が和らいでいるように思います。その理由はなんでしょうか?以下のように推測してみました。
(1)まとめサイトを見てすっきりする
まとめサイトは2chやtwitterでの発言をまとめたものです。一般的に炎上は自分が失言にイラッとして、その思いを失言の主にぶつける(書き込む)という流れであるといえるでしょう。それが自分がイラッとした時に他人の書き込みを見ると、自分と同じような意見の人がたくさんいて「もういいか」というように思うのかもしれません。もしくは、他人の醜い姿を目の当たりにして冷静になるのかもしれません。実際に炎上しているコメント欄に出向くと自分もやってやれという気持ちになりますので、まとめサイトがダムやクッションのような効果を果たしているんでしょうか。
(2)ひどいやり口をみて冷める
twitterでの炎上に多いパターンですが、顔出しアイコンで炎上の主を口汚く罵っているような光景を見ると自分はそうはなるまいというブレーキがかかります。炎上させようとしている人がさしておもしろいと思えないようなパクツイをしていたりとか、センスのないRTをしていたりとか、社会的政治的ポリシーを示すハッシュタグを発言内容と関係ない場合も常につけているとか、そういった見苦しさがある場合には頭がぐっと冷えることでしょう。自分がそこに飛び込んでいくことは同レベルに見られることだと認識させられますので、強力なストッパーとなります。
(3)あえて認めたほうがかっこいい
その失言に至った背景や事情を自分なりに斟酌して、認めたり許したりすることで寛大さや冷静さ思慮深さを演出することもできます。失言の質にもよりますが、世の中から大きく反発されているときほどうまく認めた場合にかっこいいでしょう。もちろん同類だと思われる危険もありますし、擁護したことで自分が炎上する可能性もありますのでハイレベルな技です。
(4)Webに防火帯ができている
twitter界隈、はてな界隈、LINE界隈、FB界隈、実名ブロガー界隈、2ch界隈、というような区切りが明確にあるとは言い切れませんが、色々なところがコミュニティ化というかソーシャル化して横のつながりが薄くなり、特定のところでは反発されるけれども特定のところでは支持される、というような多様性が生まれてきているように思います。twitterでは炎上しているのに、その炎上勢力の必死さを馬鹿にして楽しむ2chがあり、まとめサイトではサイトごとの味付けがあり、というような感じでしょうか。そのように色々なスタンスがあると、炎上しているから炎上させるといった二次的な炎上拡大がぐっと少なくなるのではないでしょうか。
(5)炎上した本人を打ち負かせない
以前は炎上した本人はしばらくブログを休筆したり、過去ログを全て消したり、少なくとも謝罪記事を載せるといったことが一般的であり、それが「勝利条件」でもあり胸がスカッとするポイントでもありました。本当に炎上した本人に反発があるか否かは別として、炎上に参加することで有名人に頭を下げさせてやったという達成感からコメントを書き込んだことがあるという人も中にはいることでしょう。ところが、炎上しても擁護してくれる人がいてくれたり、twitterで炎上したらブログで背景や思いを説明したり、というように炎上への対応策が練られてくることでこっぴどくやっつけられるようなことが少なくなっているように思います。炎上しても平然としていると、燃やす側は何のためにやっているのかという感じになって鎮火に向かってしまうのかもしれません。
そういうわけで大雪の予報と東京都知事選が近づいていますが、いかにも炎上を期待して組織的に盛り上げようとして打ち込んだ炎上ネタがすべっているような光景を見て選挙は怖いなーと思ったので炎上関係のエントリを書いてみました。風邪と足元にお気をつけください。