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東京オリンピックを電子マネーでおもてなし

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東京オリンピックが2020年に開催されます。海外からの旅行者も多く来ることでしょう。海外旅行といえば面倒なのがお金の問題です。両替時の手数料もさることながら扱い慣れない紙幣、硬貨での買い物は旅行気分を盛り上げもしますが煩わしいものです。では外国人旅行者に向けた電子マネーがあったらどのような楽しみがあるでしょうか?ここでの前提はICカード型で非接触での決済機能を搭載しつつ、IDカードとしての機能も持つイメージです。国内の主要な読み書きの規格に対応しているものを想定しましょう。

まずは入国前。インターネット上でオリンピックのチケットを買う際に電子マネーを使うか否かを聞いてしまいましょう。嫌だという人には無理に使わせないとしてチケット機能に限定したICカードを発行します。使いたいという人にはチケット機能に加えて電子マネー機能をもたせたICカードをカードを発行しましょう。チケットの購入手続きを終えた人には何桁かのトークンを発行しておきます。このトークンは最終的にICカードと引き換えるものです。ついでにパスワード(4桁の数字程度)も設定しておきましょう。

ICカードのトークンに紐づけてWeb上にマイページを作ってあげましょう。そこで予約したホテルや航空券、観覧予定の試合等の情報を管理します。行きたい観光スポットやおみやげ屋さんも追加できるといいですね。ソーシャルメディアのIDと連携させておき、投稿の権限も与えてしまいましょう。

そして渡航時。チェックインカウンターでICカードの予約をしていた人にはICカードを引き渡してしまいます。その後なくしたりすることがあるかもしれません。しかしICカード型の電子マネーには「失効」という仕組みがあります。ある人は1枚の電子マネーだけを使えるよう、失くしたと自己申告のある場合には失効し再発行するようにすれば利便性が高まります。もしJAL/ANA便であれば機内サービスのうちの有償なものを電子マネーで提供して使い方に慣れてもらいましょう。

入国審査を終えて空港を出ます。行き先に迷った人にボランティアのガイドが話しかけます。タブレット端末でICカードを読み取ると「ホテル」「会場」「観光」等のアイコンが表示されます。例えばホテルをタップしてもらい、パスワードを入力してもらうことで案内に「同意」してもらうとボランティアがホテルへの案内をします。特急券はその場で予約して電子マネーに書き込んであげましょう。駅では改札機にスムーズに入ることができます。複雑な乗り換えがありますが、無人の案内端末にICカードをかざすと、いくつかの目的地がサジェストされますので自分が予約したホテルをタップしましょう。難しいことは言わず「右」か「左」かを教えてくれますので何も考えずに歩きましょう。そして最寄り駅まで到着です。タクシーではICカードをかざして「ホテル」をタップしましょう。

ホテルに到着したらICカードをかざします。氏名等で本人確認を終えてチェックインが終わります。部屋の「鍵」は受け取らずにドアノブにICカードをかざせばロックを解除できます。隣のコンビニや自動販売機も電子マネーでほとんどのものを購入することができます。

フリーな日には観光に行きましょう。観光先でおもしろいとかおいしいとか思った時にはソーシャルメディアでチェックインしたいものです。が、過密な東京でチェックイン対象の店舗を見つけるのは実は日本人でも難しいのですね。それならば「いいね」端末を入り口に置いておいてICカードをかざしたときにチェックインが行われ、そこにスマートフォンからコメントを付け足すほうがおもしろいでしょう。

さて試合に行くとすれば道案内は無人端末またはタブレットを持ったボランティアのガイドさんに聞くことができます。そして試合の入り口はICカードで入場です。(セキュリティチェックを除けば)おそらくかつてないスループットでほとんど混雑をすることなく会場に入ることができるでしょう。

公共交通機関ではバス、タクシー、電車に乗ることができます。パスワード等と組み合わせることで行き先を記録しておくこともできるでしょう。行き先を決めないよいうな乗り方もできれば、特急券のような座席指定の乗り方もできます。

試合観戦やホテルの部屋の鍵のようなIDとしても処理することができます。

そしてこれらの用途でICカードを使った情報をマイページに統合できるとすればどうでしょうか。観戦した試合のスコア、おなじ試合を見た人のソーシャルメディアの感想、試合以外の行動の履歴、例えば豊洲のららぽーとで食べた謎のフードは「団子」というらしいというようなログを思い出にする人がいるかもしれません。

もちろんやろうと思えば鬱陶しいくらいにスマホにメールを送り付けて観光地へ誘導したり食い物を薦めたりもできるはずです。が、それは「おもてなし」ではないですね。今の日本のICカード技術というか電子マネー技術というか、そのあたりを活用すれば上のような話は夢ではありません。むしろほとんど今あるものを拡張した話を中心に組み立ててみたつもりです。そう考えてみると日本の電子マネーはとても裏方的で「おもてなし」的な発展を遂げてきたのだなと思います。日本に来た観光客の人に10年は先を行っているな、と思ってもらえるようなインフラを作りたいものですね。

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