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車を買おうと思ったら欲しい車が無かった

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つい先日ちょうど車のディーラーに新車を試乗しに行ったところでしたので「はてなブックマーク」で話題になっていたこちらの記事を思わずクリックしてしまいました。

知らなきゃ危険!プロ(車屋)から学ぶ「買わせる」7つの心理テクニック - ジャスウィル社員ブログ
http://www.jaswill.co.jp/member/2011/08/post-427.html

リンク先の記事では7つの心理テクニックが紹介されています。

  • 物をあげる(返報性の規範)
  • 選ぶグレードは決められている
  • 試乗させる(保有効果)
  • 複雑なキャンペーン(アンカリング効果)
  • 時間をかける(サンクコスト)
  • 店長に相談する
  • 「そんなに変わってないよ」と言う

ちなみに試乗前後を通じて得た私の感想を差し込んでまとめるとこんな感じです。愚痴っぽくてすみません。自分は車が好きなので、こんなところに書いても仕方ないかもしれませんが不満が伝わってくれればと思いまとめました。

●物をあげる(返報性の規範)

>ノベルティを良くくれるところとして新聞屋さん等と共に車屋さんもそうであると認識しています。ですのでよほど大きなものでしたら別ですが、おもちゃやティッシュ等をもらっても格別の恩や義理は感じません。逆に近所のスーパー等でビールの試供品をレジ渡しされたことがありましたが、意外性で普通の試食よりも恩を感じました。ちなみに-196度のチューハイです。まだ覚えています。(たまに買います)逆に車屋さんや新聞屋さんにはそういった恩をあまり感じません。乱発しすぎると効果が下がるものなのではないでしょうか?ちなみに世界の首都(またの名を大いなる田舎)である名古屋ではお店が新規開店したときに飾る花が早く無くなると店が繁盛すると言われます。一方でこれができない店は潰れるとも言われます。これも返報性なのかもしれません。

●選ぶグレードは決められている

>私はグレードは必ず営業さんに提案してもらいます。営業さんが私に聞いてくる質問内容、それを受けて薦めてくるグレードとその理由、このあたりで営業さんの技量がかなり明確に出てきます。私が「どれがいいと思いますか?」って正直に切り出しているのに、いきなり「これがオススメですよ。人気です。」と答えた営業さんには驚きました。「じゃそれひとつで。」と言って商談がまとまると思ったんでしょうか?店員さんがプッシュしてくる理由をよく聞いてそれが腑に落ちれば買えばいいですし、そうでないならたぶんメーカーとしての「落とし所」だからプッシュしてきているだけなので選択肢から外せます。一方で「これはお客様のニーズに合わないかもしれませんが」と不人気グレードや在庫過多からの値引きが引き出せることもあります。こだわりと違うところ(色など)で安くなっているならばそういうのを選ぶこともまたありだと思います。

●試乗させる(保有効果)

>最初から複数メーカーの車種を試乗しにいく気持ちで挑めばどれかを保有するという気持ちにはならないのではないかと思います。ちなみにこの理論はもっともらしい印象を受けますが、本当に試乗しただけで欲しくなるならばレンタカーで借りた車を「いいなぁ」と思って返したくなくなるような気がするんですが、実際にそのような気持ちになることはあるんでしょうか?日本人気質の影響で乗ってしまうとアラが見えるということも考えられます。売ることを考えた場合、走らせずにディーラー内で「乗って(座って)」買わせるほうがいいのかもしれません。某ハイブリッドカーのように待ちが極端に長い車は「今契約しても半年待ち」なんて言って買わせるというようなやり方もあるそうですね。バブル期みたいに公道にタマカズが出ちゃったからもう売る、みたいな時代じゃなくても先を競って買うという理論があることはおもしろいです。

●複雑なキャンペーン(アンカリング効果)

>これはもっともあてはまると思います。ただし買うことにアンカーされればいいですが、「現状の車に不安はあるか?」とか「今車がないけれども特段の不便がないね」等にアンカーされることのデメリットについて業界としてよく考えたほうがいいのではないかと思います。自分は前者にかなり強くアンカーされかかっています。(買い換えようと考え始めたのに心が折れるってどういうこと……)

●時間をかける(サンクコスト)

>これもとても良くあてはまると思います。ただし車の話をしたいのにエコカー減税の説明を15分されたら普通は苛立つと思います。また、自動車各社がこれだけWebサイトによる情報発信に積極的になり、それに加えて2chやcarview、価格コムといったところで実際のオーナーが情報提供をしてくれると、ディーラーの営業さんが相対的な情報不足を起こします。結果、営業トークが途切れます。顧客側からは「それは知ってるので改めての説明は不要です。●●についてはどうですか?」で営業さんが「いやー存じ上げないです」で話題が途切れると気まずいです。特に他メーカーの車については営業さんごとの情報の多寡に激しく格差が生じています。わかる営業さんには商談が集中しますし、そうでない営業さんはトークが続かない、結果としてどちらに転んでも商談に時間をかけさせることはできません。詳しい営業さんを捕まえて時間をたっぷり使ってもらえれば嬉しいですが、詳しくない営業さんにムダにだらだら粘られたらもう店レベルでそこには行かない、となってしまいます。今後は「今日は商談に何分の時間を取るつもり」とこちらからお伝えしようと思います。

●店長に相談する

>営業さんが外してくれるとスマホで価格コムの最新の値引き情報を検索し直せますから、もし自分が営業だったならば余計な不在時間を作らずに生の商談で意思を固めさせるように持って行きたいと考えます。

●「そんなに変わってないよ」と言う

>新車販売直後ならわかりませんが、そうでないならばディーラーの営業さんより遥かに詳しいオーナーさんが自分でメンテナンスしたり、はたまたebayでユーロとかアメリカ仕様のオプションパーツを個人輸入して取り付けたりする人がせっせとcarviewの整備手帳を更新していますから、不用意な発言をすると「この営業さんは情報不足だな」ということで切られるだけだと思います。

 

という感じで、ディーラー巡りはもっと楽しいものと考えていましたので、ちょっとぐったりしています。

以前といっても10年以上前の話になりますが、父親の車選びに帯同していて話を聞いていると営業さんははっきりと車メーカーの側に立つ人でした。自信満々に良いところを語り、投入された新技術はともすればF1やラリー等の技術に由来を持つものだったりして、免許取得前ながらにわくわくするような話をしてくれました。

今でもどうやって燃費向上が実現されているかという話はメカメカしくておもしろいですが、エコカー減税が廃止されるとか、現行保有車は古いから車検をこのまま通すと金がかかるとか、そんな話題でどうやって車を買い替える気持ちになろうかと疑問に思いながら営業さんの話を聞いていました。

もちろん昔よりもわくわくする車が出てこないとすればそれはメーカーの責任であってディーラーはどうしようもありません。しかしながらそれであればドライバーやファミリーの側に立って、子どもが何歳ならシートは2列か3列か、男の子なら、女の子ならどうなのか、何年経つと習い事の送り迎えがあるからどういった車がいいのか、そのへんのアドバイスをなかなか聞けないのには残念な思いです。

その一方でメーカーのWebサイトでエコ以外の話題が各社それぞれに「家族の●●」に染まっているのはなんということなのでしょう……。あとローン周りの話題が「販社支援システムに頭金とかを入力したらその数字を私が読み上げて差し上げます」レベルなのは何とも。長期金利を予想しろとかそういうつもりは一切ないですが、FP的な視点からの家計アドバイスとかないもんでしょうか。ひょっとすると5年とかで発生する総コストを見せたら若者は引くと思ってるのかもしれません。しかしネットで検索したら車体価格にガソリン・オイルや車検や任意保険もコミコミで3年5年7年と割り返すようなサービスもありますし、Excelでも10分くらいで作れると思います。しかしそれらはあくまで素人的なシミュレーションですから、私の場合はプロの方にずばりと「●●万円です」という数字を出してもらったほうが安心してお金を出せます。

私は今年の春頃に古い車を身内からもらうという幸運がありました。どのように乗っていたかまでわかりますので、ワンオーナーよりも更に条件がいい中古車を買ったとも言い換えられます。しかし高年式ですので当然に買い替えを考えています。買い替えサイクルからも、子どもがこれから大きくなることも、自家に駐車場があることからも、非常に買い替えのモチベーションは高いのですが、こういった残念な営業さんにしか遭遇できないでいると、暗にメーカー&ディーラーから「うちは団塊世代しか相手にしてないから若造は後回し」と言われているようでなりません。そりゃディーラーに行ってもなかなか同年代に会わないという印象も気のせいじゃないという気がしてきます。

確かに少し前まで携帯電話店には「らくらくケータイ」なんて並んでいませんでした。同じように私もターゲットからズレたことでやりづらい思いを受けているのかもしれません。

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