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知らない人から誉められるということ

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先日、所沢航空公園に行ってきました。知る人ぞ知る、ゴム動力飛行機で遊べる公園です。到着すると年配の男性が何人か飛行機を飛ばしていました。

「初めて来たのですがルールはありますか?」

と聞くと「危ないことしなければなんでもいいよ。わかんないことあったら聞いてね」という温かいお言葉をいただきました。

「ありがとうございます。」とゴムをまこうとすると最初に私が声をかけた男性が手取り足取りチューニングを手伝ってくれます。

主翼はもっと前、ゴムの巻き数はこれくらい、反トルク対策ができていない、等々アドバイスをもらったり直してもらったりとしてもらう中で、自分としてはがんばって作ったのになぁ、と少し恥ずかしい思いをしていました。

ところが。

「いやー、それにしてもよくできてるね。」と誉められました。「竹ひごの飛行機でね、最近ここまでつくりこむ人ね、私らはもちろんしっかりやるけども、なかなかいないよ。紙もよく貼れてる」とのこと。おじさん方は遠巻きに見て相当やりこんでいる風に見えましたので、そんな方から誉められるとはまさか思わずとても嬉しく思いました。

魚釣りのリールのように回す、ギア内蔵でとても簡単にゴム巻きができる道具も貸していただき、30分ほどでしたがとても楽しく遊べました。

そもそもその日に持ち込んだ飛行機は完成してしばらく家の近所で飛ばしていたものでした。しかし飛びすぎるようになって場所がなく、久しぶりに所沢に持ち込んだものです。そのせいか、当日はすぐにゴムが切れてしまい、また、フリーマケットとかち合ったせいで駐車場待ちに想像以上の時間を費やしたこともあって30分での帰宅となりました。

帰り際、お世話になった男性にお礼を告げたところ「ゴムならそこの売店に売ってるよ。ゴムは消耗品だけど半年くらいは持つし、機体を大事にね。またいつでもおいで。」とまた温かい言葉をかけていただきました。うーん。はまってしまいそうです。

考えてみれば仕事でお客様や先輩・同僚から褒められるのはどうしても仕事という対価を伴う関係を意識せざるを得ない部分があります。一方でお互いの素性も知らない間柄で「ゴム動力飛行機」というおもちゃだけを間に置いて誉めてもらうというのは素直に自分の能力を誉めてもらうことでもあり、素朴で力強いうれしさでした。匿名で書いたブログに寄せられた「おもしろい!」のコメントにも通じるものがあるかもしれません。

身の回りのほとんどの物には「投げたら落ちる」という当たり前すぎる性質が備わっていますが、時に形を工夫したり、時にゴム動力のようにエネルギーを与えることで重力に逆らうことができます。今、福島で行われている試みもまた、様々な自然現象と、物理法則と、人間の技術、技能のぶつかり合いの最前線と言えます。ゴム動力飛行機はとても簡単なものですが、翼やプロペラという「技術」と、竹ひごを曲げたり紙を貼ったりという「技能」を通じて人の営みを自分の手で感じられる機会ともなります。

エントロピーに負けず、人の秩序が勝利を収めますように。

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