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(仮定の話)お節事件で得られた収益が隠匿・散逸していたら取り戻せるだろうか

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先日近所の100円ショップに行ったのですが既にバレンタインデーのコーナーができていました。計量カップや泡だて器などの調理器具は普段からありますが、かわいらしいラッピングのグッズが大量に品揃えされていました。

と思い出していてグルーポン&バードカフェによるお節料理事件が頭をよぎりました。バードカフェの方がどのような意図だったのかはわかりませんが、少なくとも世の中の受け止められ方としてはまさしく「羊頭狗肉」のごとし、詐欺的な手法で金儲けをしようとしたんだろ!という見方が多いように感じます。一方でバレンタインデーの可愛らしい贈り物を100円に見えなそうな100円のラッピングでくるむことはというと、手作りしたいんだけれど時間がない、でも買ってきてそのままは悪いからラッピングだけ変えようとか、中身にお金かけるからラッピングは安くしようとか、本命のために非本命には我慢してもらおうとか、そういった相手への気遣いがあるんじゃないかと思います。100円であることが逆に「高けりゃいい」という安直さの対極に位置して真心を感じます。

お節を買ってしまった人を「ネットでお節買うなんて」という見方もあるようですが、私は買った側の人の気持ちがわかるような気がします。ごちそうという字は馳走と書きますが、おいしいものを集めるために走り回るから、と聞いたことがあります。少しでも安く、少しでもいいものを買うために色々と検索して半額お節を見つけたんだとすれば、そこにはもてなしの心があったんではないでしょうか。

さてクーポン系フラマサイトではお節料理事件以前に計画倒産か?といわれた事件がありました。

真相が明らかになったわけではありませんので直接のリンクは避けますが、クーポンを売りさばいた後に店側が廃業してしまったというものです。その際のクーポン業者と店側の入金のタイミングがわかりませんが、もし事前入金されたお金を持ち逃げしたのだとしたらひどい話ですね。その事件の影響があってか、クーポン業者の利用規約には「お客様が買ったクーポンがお店の倒産等の事情で使えなかったら返金します」ということを明記している業者さんもあるようです。実際に計画倒産疑惑のときには『クーポン業者』が全額の返金を行いました。

そういった世の中と関連してか、消費者庁にこのような動きがあります。

財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討チーム
http://www.caa.go.jp/planning/index6.html

お金を集めるだけ集めてドロンと消えてしまった場合、その集めたお金を回収出来れば被害者に分配できますが、フェラーリやクルーザーやら外国の別荘に変わってしまっているとなかなか難しいですね。ましてや被害者が「あいつは私のお金でロマネ・コンティ飲んでるんです」なんて訴え出て差し押さえをしてもらうということは非常に難しいことと思います。そういったことをどげんかせんといかんというための集まりのようです。

上で紹介した計画倒産疑惑の際はクーポン業者が返金に応じてくれたから良いものの、もし自力で取り戻さなくてはならないということであれば非常に苦労しそうです。また、1000円相当の●●を100円で、というような少額で10万人に販売、といったようなケースが発生したとしたら、各自の債権は100円ですのでもういいやと諦める人が続出するでしょう。

といった問題の他にも、twitterのタイムラインを見ていたところでは公取がクーポン系フラマサイトの二重価格問題についてウォームアップを始めたという情報もあり、しばらくは気になる存在になりそうです。資金決済法的に気になるところもありますがそれはまたの機会で。

他、二重価格の問題以外にひとつ気になっていることもあります。独占禁止法では地域的なダンピングが禁止されています。

公正取引委員会:よくある質問コーナー(独占禁止法関係)
http://www.jftc.go.jp/dk/qa/index.html

Q. 有力な事業者が競争相手を排除する目的で,競争相手の取引先に対してのみ廉売をして顧客を奪ったり,競争相手と競合する地域でのみ過剰なダンピングを行うことは,独占禁止法に違反しますか。

A.御質問のような,取引先や販売地域によって,商品のサービスの対価に不当に著しい差をつけたり,その他の取引条件で不当に差別することは,不公正な取引方法(差別対価・取引条件等の差別取扱い)として禁止されています。「不当」にというのは,価格などに差を設けて積極的に競争者を市場から排除したり,取引の相手方を不利な立場に追いやったりする目的あるいは効果を伴うような場合をいいます。

いくつかのクーポン系フラマサイトでは「地域」というのが大きなキーワードになっているようで、全国で使えるギフト券のようなものまで「●●にお住まいの方限定です」のような形で順次販売されていることがあります。(多くの場合は何日かかけて順次限定が移っていき、結局は全国津々浦々販売されているようです。限定感を煽るのが目的?)もともと栃木県限定の居酒屋さんが栃木県限定でクーポンを出すことは問題なさそうですが、仮に全国チェーンの居酒屋さんが特定の県でのみクーポンの展開を続けると、まさしく上のQAのようなケースのように見えてしまうかもしれません。

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