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聞き慣れない外交表現に遺憾の意

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首相官邸ホームページから日本と外国との共同声明を読む機会がありました。なんとなく言っていることはわかるのですが、細かなニュアンスを把握するのがとても難しいですね。

例えば最近ですと日本・バングラデシュ共同声明が出ていますのでその語尾を並べてみます。

  • 建設的な対話を行った。
  • 更に協力することで一致した。
  • 満足の意を表明するとともに
  • 更に努力していくことを決定した。
  • 着実に経済発展を遂げていることを歓迎し、
  • 満足の意を持って留意した。
  • 必要性を強調し、
  • 投資インセンティブに言及するとともに、
  • あらゆる支援と協力を行うことを表明した。
  • 行動計画を策定し、実施する用意があることを表明した。
  • 日本の意思を表明した。
  • 高級事務レベルで開始することを決定した。
  • 貢献してきていることを歓迎した。
  • 重要であることを認識した。
  • 改めて心からの感謝の意を表明した。
  • 供与する意向を表明し、
  • 深甚なる謝意を表明した。
  • 大きく貢献するとの強い期待を表明した。
  • 原産地規則の緩和を提案した。
  • 提案を積極的に検討し、可能な限り早期に結論を出すことを約束した。
  • 両国間の協力の円滑な進展を期待した。
  • 必要不可欠であるという考えを共有した。

などなど。これまでの人生で外交とか国際政治にはあまり興味を持たずに生きてきたせいか、あらためて見てみると何を行っているのかよくわからないところがたくさんあります。

一般企業ならば後輩がこんな議事録書いてきたらちょっと待てと言いたくなるところですが、思い返してみればニュースや新聞などどこかで聞いたことがありますね。昔からそういうものなのだと思います。でも聞いたことはあっても、やはりよくわかりません。

個人的によくわからないナンバーワンでありこのエントリを書くと思い立つきっかけとなったのが

満足の意を持って留意した。

です。満足しているのに留意するだけなのかよ、という感じがもうなんともぞわぞわします。後ろ向きなのか前向きなのかも自身が持てません。反対じゃないけど先送りさせて、ということでいいんでしょうか。

あとは実施する用意がある」です。やりゃいいじゃんと感じるのですが、どうやらこのあとに「ではお願いします」と相手に言わせる手順なのでしょうか。

「歓迎した」というのもおもしろいと思います。これ相手方の行動だけでなくて両国間で共同して進めているような取り組みについても歓迎しています。どうやら「このまま放置」という意味くらいのようです。

「可能な限り早期に結論を出すことを約束」というのは巷の世界でもまれに使われるような気がします。とくに情報漏洩とかの謝罪の場面なんかで「補償はどのようにされますか?」という記者からの厳しい質問に対して「お客様の声に誠心誠意耳を傾けつつ、また関連当局とも十分に相談させていただきまして、諸所の事情を勘案した上で可能な限り早急に結論を出す方向で検討いたしておるところでございます」というようなこともありますね。

最後に、「期待」というのもおもしろい使われ方であると思います。二国間での共同の取り組みなど、自分の行動や意思決定も影響を及ぼすであろうところにも「うまくいくように期待します」なんて言ってしまうんですね。自分の間隔だとそこは「うまくいくように頑張ります」だと思うのですが。

こういうのがひとつひとつわかって、例えば「必要不可欠であるという考えを共有した。」というのと「重要であることを認識した。」というのでどっちが上かというのがわかればきっとおもしろいだろうなぁと思います。

ちなみにWikileaksに出てしまった公電はストレートな表現になっており、我々の眼に触れる華やかな感じの外交のイメージとのギャップがまたおもしろいそうです。英語に通じていなくて残念です。

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