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求人情報からは想像以上のことがわかる

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求人をする際に、その仕事内容は応募者側に伝わってしまいます。広く募集をしようと思ってインターネット上に求人広告を出せば、世界中の知るところとなります。

たとえその業務内容を秘密にしようと思っていたとしても。

第一に、「こういう事業をしようと思っているので力を貸してください」とお願いをするところ、すなわち募集をかけるところでの情報を明らかにしなくてはなりません。労働者が自分の能力一覧をエージェントに登録し、エージェントはクライアントから求める能力を聞くという形をとれば互いに情報を交換せずともマッチングさせることができますが、労働というのはなかなかそうシンプルには行きません。あるサイトが抜け駆けをして「勤務先は六本木ヒルズの高層階です」と書けばより多くの派遣労働者を集めることができるでしょう。おそらく多くの労働者は、職場についてより多くの情報を得たがっていると思われます。

第二に、応募者自身はいつか事業内容を知る時点があるということです。上のように条件だけで折り合えることはまずありません。登録型派遣の場合には派遣先による事前面接は禁止されていますが、事前面接の代わりにエージェントが応募者に仕事内容を説明し、また応募者がその仕事に適正があるかどうかを判断します。そして条件が折り合わなかった場合、応募者は募集要項を知った上で「利害関係が消失する」というやや危険な状態になります。その会社で自分が働くわけではありません。むしろ落とされてしまったか、何かブラックな雰囲気などがあって辞退したか、というような状態です。応募者は秘密をばらしても痛くもかゆくもありません。

この2点が危ういということになります。こういうことを考えるとき、しばしば「机上」と「実際」が異なるところですが、実際に派遣労働者の募集サイトを見てみるとどうでしょうか。実は思ったよりも多くの秘密っぽい業務が明らかにされています。すなわち上で挙げた1点目の問題が現実のものとなっています。もちろんほとんどの場合、派遣先の企業の名称はネットに公開されていません。しかし

  • 立地
  • 仕事内容
  • 求められるスキル

あたりに注目すると、いろいろなことがわかります。今日、ある新規ビジネスへの参入を発表した2社について調べていて、派遣募集広告に記載された「立地」「仕事内容」「スキル」の情報をもとにして相乗以上のことを知りました。具体的には立地と仕事内容から「その2社である」ことがほぼ確定し、求められるスキルから詳細なビジネスモデルがわかりました。付け加えると募集予定人員と、派遣先組織の構成(派遣先では○○人くらいで働いていただく予定です、という旨の記載)がありました。これにより、どれくらいの作業負荷を想定しているのか=ビジネスの規模も見当がつけられました。

派遣労働者の仲介企業はできるだけ多くの応募者を集めることでクライアントに供給できる人材の質を高めようとしているのかもしれません。そのため仕事内容がイメージしやすいよう募集の文面にいろいろと具体的に書いてしまうのだと思います。もしクライアントの企業が自ら募集をかけるとしたら、もう少し競合他社の視線を意識してぼやかした表現をすることが増えるのではないかと思います。

これはまた、募集元の企業が「募集の文面」と「公開場所・対象」をチェックできていないことを意味しているのかもしれません。とすればその裏側にはビジネスモデルが悟られてしまうよりも大きな問題が隠れているかもしれません。(もっとも、真に機密性の高いプロジェクトでは正社員で固めるでしょうから、そこまでの重要性を求められていないものだけがそういう扱いになっていると思われます)

本当は改善策を出して建設的に終えたいのですが、なかなか難しいものがあります。会員サイトにしたところで会員資格を得ることはそう難しいものではありません。それに加えて、何気なくネットをしていてふと求人広告が目に止まるようなやり方のほうが広く優秀な人を集めることができるかもしれません。そうであればライバルに業務内容を悟られるというリスクを取ることで優秀な人を採用できるというリターンを得ているとも言えます。

もし機密性の高いプロジェクトで派遣労働者を募集しているという方がおられましたら、どういった文面で募集が出ているかをチェックされてはどうかと思います。

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