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データセンターの自律はリバーリュージュ工場を思わせる

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Microsoftのコンテナ型データセンターが一歩前進するようです。

『Microsoft コンテナ DC 第4世代 ITPAC を Silverlight で! « Agile Cat — Azure & Hadoop — Talking Book』
http://agilecat.wordpress.com/2010/03/31/microsoft-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A-dc-%E7%AC%AC4%E4%B8%96%E4%BB%A3-itpac-%E3%82%92-silverlight-%E3%81%A7%EF%BC%81-cloud-cloudcomputing-azure-silverlight/

リンク先によれば、現在のコンテナは水と冷却設備を必要とするとのこと。そのため簡単な建物を有することが前提になるようです。また、コンテナ自体に補助電源がないため、外部に緊急発電装置を有した電源設備を必要とします。そのため電源のキャパシティがデータセンターの限界になります。

それが少量の水で冷却を行い、コンテナ自身に補助電源を有するようになればどうでしょうか。冷却設備は必要でなく、電源も一系統のありふれた電源を供給すればよくなります。建物も不要となり、立地条件は大幅に緩くすることができますし、世界のいずれかの工場で製造されてから世界のいずれかの地で稼動するまでの期間も短くなることでしょう。この考え方と構造は「ITPAC」と呼ばれるそうです。

「自律」を求めるのはアメリカのお国柄なのかもしれません。今から90年ほど前の1918年に創業を開始したフォード車のリバーリュージュ工場は東京ドーム173個分に相当する土地に発電所から溶鉱炉、ガラス工場に港までを供えていたそうです。この工場で作られていたのはあの有名な「T型フォード」です。T型フォードはそのような工場で大量生産されることによりコストダウンされ、初めて大衆の手に届く自動車となりました。が、後に高性能な自動車が現れたことでT型フォードは時代遅れとなり、フォード社は危機に陥ることになります。

ではコンテナ型データセンターも同じ過ちを繰り返すでしょうか。すなわち、大量に製造したサーバ入りコンテナが古くなり、googleなどが新造した強力なデータセンターに打ち負かされるでしょうか。私はそのような心配はないと思っています。なぜならばITの世界は自動車と異なり、ハードウェアとソフトウェアが別々だからです。工場の製造ラインで大量生産と多品種生産を両立することは大変です。しかしITの世界ではハードウェアを大量生産してコストを下げ、多種多様なソフトウェアを走らせることができます。もちろん、GPUコンピューティングが主流になるような大きな転換があれば事態は変わるかもしれません。

さてそのように自律したデータセンターが世界の主流となったとしても、それを日本に誘致して得られるものは土地代と電気代くらいしか思い浮かびません。運用も高度に自動化されるでしょうから、わざわざ現地の人を雇う必要もなく、警備や清掃など誰にでもできる雇用しかもたらなさないのではないかと思います。法人税はというと、Amazonジャパンの追徴課税の件もあり判断は難しいと思われます。が、恒久的施設とみなされれば法人税が高いので逃げて生きますし、恒久的施設でないならば利益は本国からの委託手数料のようなものに限られるでしょうから税収も見込めないと思われます。

また、日本の港は振るっていません。東京港ですらコンテナ取り扱い個数の多い港のTOP20に入れていません。コンテナ輸送のコストは取り扱い個数の多さに反比例して安くなりますので、世界的に見れば取り扱い個数が多いとはいえない日本の港は高コストな港と認識されています。陸送コストも高いです。個人的には北九州のひびきコンテナターミナルか北海道のどこかをデータセンター特区にしてしまうのがいいと思っています。

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