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食品不安とクラウド障害

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昨年に比べれば今年はまだ食品不安に関するニュースが少ないように感じていましたが、立て続けに食中毒のニュースと健康への懸念から販売中止を行うというニュースがありました。

自給自足の生活をしていればこういった問題はなかなか起きないと思われます。安くておいしい食品を提供するためとはいえ、集約的に大量の食品を調理することでいざ問題が発生した際に非常に大きな影響を起こしてしまうという問題があるように思います。

情報システムも同じで、大量の処理を自動的に連続的に行うという特性があります。そのため人間が手動で行うよりもはるかに多い仕事を行うことができますので、いざ障害が発生してシステムがストップすると大きな影響が出ます。また、バグがあれば大量のデータに誤りが発生します。

食品では例えばHACCPのような規格を作って「肉は中心部が何度以上を何秒間維持する」というようなルールを守ることで食中毒を防止しますし、入荷情報を記録したり、作った食品の一部を抜き取ってサンプルとして保存することで追跡調査を可能にしています。

システムでもセキュリティに関するガイドラインがありますし、品質保証の仕組みとして設計書の変更履歴であったりレビュー実施記録を作成したりします。

中国で作られた食品にメラミンが混入していたときは世界中の食品からメラミンが検出され、大きな騒ぎとなりました。上で考えたような食品と情報システムの類似性から考えると、メラミン騒動に相当するのはクラウドコンピューティング上の広域障害であると言えるかもしれません。

今月の初めにはgmailで障害が発生しました。現実世界に目立った影響はありませんでしたが、メールが滞ることで現実世界のビジネスが滞り、gmailを使っていない会社にまで影響を与えるということは十分に考えられます。

例えばある食品工場では、連続して運転すれば10箇所の工場ですべての製品が生産できるところを20箇所の工場を使って生産するというような話を聞いたことがあります。それは万一食中毒が発生した際に大規模化してしまうことを防ぐためだそうで、1回の生産が終わるごとに完全にラインを分解清掃しているそうです。そうすれば最悪、食中毒が発生してしまっても被害を極小化できるからだと聞きました。

クラウドコンピューティングにおいてもマルチベンダー化を進めるなどしてリスクを分散することを検討する必要があるかもしれません。

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