Webサービスまとめ編集中記「みんなの就活日記?なにそれ?」
はてな界隈で話題になっている『Webサービスを分類してみた』はご覧になりましたでしょうか。まだ最終バージョンに達していないので編集後記ならぬ編集中記をお送りします。
はてなブックマークによると今現在で600名弱の方にブクマしていただいているようです。男3人が各自の時間を捧げて作った甲斐がありました。男3人といっても私は就職氷河期の申し子であるロストジェネレーションの真っ只中であり、もう1人の若いのは就職氷河期に終わりが見えた頃に就職した若手、残る1人はその真逆の時期、広末涼子が洗濯機に乗ってタイムトラベルしていった頃に就職したという顔ぶれです。
この3人でなんとか広大なインターネットから日本のソーシャルなウェブサービスを探そうということになったのですが、これがなかなか大変でした。もし同じ年代の3人でやっていたらうまくいかなかったかもしれません。しかしそれはそれ、たまたま(と私は思っていますが)この3人が集まって頭をひねったわけですが、それぞれに異なるsocietyに所属している事もあって互いに知らないsocial系サイトを知っているなど便利なところもありました。欠けるところを補い合うことができたと思っています。
ここまでの作業の中でもっとも思い出に残った言葉がタイトルの一言です。みんなの就職活動日記というサイトについて検討しようかというときに
「みんなの就職活動日記?知らない?」
という声があがりました。このメンバーではもっともソーシャル系サイトに造形の深い最年長メンバー(メンバーというかリーダ)からあがったものです。知らないサイトがあったことに妙に嬉しくなった20代2名で調子に乗って「えー。みんなの就職活動日記知らないんですかー。」という自慢たらしい言葉と共にサイトの概略を説明すると
「へー。ま、俺らの頃はそんなサイト必要なかったし。」
と。確かに私が就職活動した頃は株価が1万円を切ったとか回復したとかいう話をしていた頃ですから3万円超えたぜという時代とは違いますね。もし今バブルの絶頂期を迎えていたとしたらみんなの就職活動日記は何次選考で内定が出たとか圧迫面接の有無なんかは話題にならずに「A社は焼肉」とか「B社はタヒチ」なんていうバブリーな話題で埋め尽くされていた事でしょう。
ともあれ悔しいという言葉をぐっと飲み込み、軽く制作風景を紹介したいと思います。
素材出し
まずはブレスト的に関連しそうなサイトをだーっと列挙しました。
本家の日本語訳
本家であるPR 2.0:Introducing The Conversation Prismにあるカテゴリを直訳しました。直訳を最初にやってから素材出しをすると思考の幅が狭くなりそうな感じがしたのでこの作業は2番目です。本家にはない匿名サイトやQ&Aなどのサイトを網羅できたのはこの工夫のお陰かなと思っています。
直訳カテゴリに関連するサイトの列挙
直訳カテゴリに対応するサイトを列挙しました。と書くと簡単ですがこの作業が実は大変なのです。自分が知らない、使わないサイトがあるからです。3人ともよく知らない世界ではどのように検索したらよいのでしょうか。
まず「はてな」で手がかりを
はてなのタグはhttp://b.hatena.ne.jp/t/webサービスのようになっていますので、「ミニブログ」とか「クチコミ」で検索するとそのようなサイトがざくざくと見つかります。
見つからないサイトはgoogleで
適度なタグが想像つかず手がかりすら見つからない場合がありました。「ビデオ評価」などがそうです。そんな場合は関連する話題を入力してgoogle検索してみます。web検索してみて、ニュース検索してみて、見つかれば良しです。
それでも見つからない時は
見つからない場合はひとまずそのカテゴリのサイトは日本で普及していないのではないか?と宙ぶらりんにします。
手がかりがあったら横に掘る
はてなではURL検索ができますので、見つかったサイトをブックマークしているユーザを検索します。幸運にもそのユーザが似たようなサイトを収集していた場合、多くの場合はタグで分類しています。よってそのユーザのタグクラウドから関連しそうなタグを探して拝見し、サイトを見つけていきます。ほとんどの場合この作業で1カテゴリにつき2つ以上のサイトが見つかりました。
2つ以上のサイトが見つかったら
2つ以上のサイトが見つかったらgoogleでその2つのサイト名を検索します。するとサービスを比較したブログや記事が見つかってきます。わかりやすい例をあげるならばニコ動とyoutubeを機能別に比較する、といった内容のページになります。最初はメディアによる比較記事を発見したら「わーい。きっと充実してるぞ。」とクリックしていたのですが、『紹介されたサービスが終了していてデッドリンクを踏んでしまう確率』が個人ブログと比較して高いように感じて読まなくなりました。確かにメディアの記事は取り上げるサイト数も多く、調査内容も細かくてよいのですがサービスが終了してしまっているのです。『ソーシャル系ウェブサイトはメディアに取り上げられると死亡するの法則』について1年後くらいに検証してみたいところです。(web系メディアは個人ブログの隆盛より前から比較記事を作成している上、過去記事をそのまま残して公開しているところがあるのが目立つだけかもしれません)
そしてサイトを見る
作業に時間がかかればかかるほど、新しいサービスが発生してきます。「お絵かき」というカテゴリがありますが、1年前だったらカテゴリとして取り上げていなかったでしょう。もしこういったレベルでどーんと新しいトレンドが出てきたらちゃぶ台をひっくり返すような作業が発生しますので、とっととやりこんで素早くリリースしたほうが良いと思います。今回は図のセンターにあるように「ソーシャル」を軸にしています。ただのwebサービス一覧だったらサイトをひとつひとつ見ることはありません。しかしながらソーシャルを売りにしていないのにソーシャルなサイト、はたまた隠れソーシャルサイトなどがあります。要するに「全部サイトを開いてみないとわからない」ということです。 これが時間がかかり焦りました。
「あなたはコミュニストか、あるいは、かつてそうであったか?」ではありませんが、 数あるサイトを覗いて「これはソーシャルか、あるいは、かつてソーシャルであったか」と自問自答するという作業が続きました。
カテゴリ毎にサイトが列挙できたら
あとはメンバーでカテゴリをどうするか、このサイトは載せるかどうか、などの編集方針を話し合うだけです。これはやろうと言い出した当事者がやり方を自由に決めることであり、正解があるとか無いという話ではないと思います。もしそのやり方がまずければ「こいつらあほか」で済まされwebの藻屑、webサーバのストレージの肥やしと消えるでしょうし、そのやり方が正しければ色々な人の心に留まることになります。
頭の構造の違う人が集まって作業するって素晴らしい
我々メンバー3人も、もし2人でやっていたら違う図になったでしょうし、それが4人であっても違う図になったことでしょう。3人は納得いくまで考えた図ですが、はてブのコメントやエントリへのコメントでは「なるほど!忘れてた(笑)」という指摘があったり、このサイトは不要と合意したサイトが「○○はないの?」と疑問を呈されたりしています。もし多くの人から賛同を得るための王道があるとすれば、メンバー同士が年齢や立場の差を忘れて胸襟を開き、しっかりと意見を主張し合える雰囲気作りであると思います。
そしてweb経由で得られるコメントの多くはポジショントークも何もない率直な意見で、本当に勉強になります。頭の構造の違う人が意見を出し合うという意味ではwebからのフィードバックは非常に強い力を持っていると思います。メンバーでソーシャル系ウェブサイトのまとめを作ろうとしたわけですが、その過程でwebの中でもソーシャルなところから支援を得たというのはまたおもしろいところでした。まだまだ図は発展途上ですのでいろいろなところから力を借りなければならないでしょうが、今日の時点でお礼を申し上げます。