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「これゼロックスして」は死語でしょうか

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富士ゼロックスが企業ロゴを一新するそうです。

富士ゼロックスが企業ロゴを一新 13年ぶり - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/18/news122.html

古いxeroxのロゴ(旧ロゴ)

xeroxの新しいロゴ(新ロゴ)

子供の頃に父の仕事を手伝いに行く事がありました。小学生くらいの時は何かコピーを取るものがあると「これゼロックスしておいて」と頼まれたものです。10年くらい前から「ゼロックスする」と言わずに「コピーする」と言うようになったみたいですが、なぜ父の頭の中ではコピーがゼロックスだったのでしょうか。

1つ目の理由は昔はコピーと言えばゼロックスと言えるほど有名な商品だっため一般名詞化してしまったという事によります。オンラインの英和辞典でxeroxを引くと他動詞としての用法も載っていますので、日本だけの話ではないようです。

【他動】
〔書類{しょるい}を〕コピーする、〔人や物を〕拡大{かくだい}[縮小{しゅくしょう}]する◆xerox とも表記。
・In this movie, a child is Xeroxed to huge size.

“xerox”の検索結果(16 件):英辞郎 on the Web:スペースアルク
http://eow.alc.co.jp/xerox

これは父と同じく団塊世代くらいの人なら使ってしまう言い回しなのではないでしょうか。同じように一般名詞化した商標と言えばホッチキス、テトラポッド、宅急便などがあります。

2つ目の理由は父が建築現場で働いていたから。建築現場ではA0やらA1の図面が使われますが、それらをコピーできるようなゼロックスコピー機は各事務所に行き渡らせるほど安いものでありません。となると青写真と言われる湿式のコピー機が使用されます。いわゆる青焼(あおやき)です。青焼より古くは青写真と言われる機械を使っていたそうで、「青写真を書いてくれ」なんていう使い方に今もその名残がありますね。父の手伝いに行った時は子供でしたので青焼の機械を触ることはありませんでしたが、インクが臭いので近寄るのが嫌でした。

なお、xeroxのxeroは英語で「乾燥」という意味だそうです。青焼や青写真などの湿式コピー機に対抗する「乾式コピー機」であることをアピールしてxeroxという名称だと聞いたことがあります。

青焼 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E7%84%BC

青写真 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%86%99%E7%9C%9F

つまり湿式コピーを取る時は「青焼きして」普通紙のコピーをしたい時は「ゼロックスして」という父なりの使い分けがあったのでした。建設の世界でもCAD化が進み、青焼が使われる場面も少なくなっているのではないでしょうか。少なくとも父が定年前には事務所にプロッターはありましたが青焼の機械はありませんでした。

おまけの話ですが、JIS Z 8311 「製図-製図用紙のサイズ及び図面の様式」にはA0やA1などの大きな図面をA4サイズに折りたたむ方法が載っています。ロープワークと一緒で知っていると便利そうな豆知識なのですが、普段の仕事でそんなに大きな紙を扱う事がないので記憶が定着しません。

図面の折りたたみ方(基本折り/ファイル折り/図面袋折り)
http://www.ys2000.net/mamechishiki/seihon/seihon.html

ペーパーレス化が進めば「コピー取って」という言葉や図面の折り方というのも廃れるものなのかもしれませんね。

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