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怖い話はインターネットと相性が良い

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最近「くねくね」と「ヒトガタ」と「コトリバコ」という怖い話を立て続けに読みました。

民俗系のしっとりした怖さがストライクゾーンでして、○○様が祟るとか先祖代々△△を信仰というような設定は本気で怖いです。そういうジャンルは勘弁してもらいたいところなのですが、怖いもの見たさでつい読んでしまいます。あー怖い。

怖い話というと昔はよくテレビで心霊写真を扱った番組を見かけました。ところが最近デジタルカメラの登場で心霊写真の人気は落ち目だそうです。フィルムカメラの場合は現像をプロにお任せしますので、ちょっと不思議な模様が出てくると何かの意味があるのではないかと勘ぐってしまいます。対してデジタルカメラでは自分で調整が効くので不思議さが足りないようです。不気味な模様の部分をフォトショで明るさ調整したら被写体が何かわかってしまった、となると盛り上がりようもありません。

それとは反対に怖い話はインターネットの登場で盛り上がりやすくなっています。怖い話というと口裂け女や人面犬が思い出されます。口裂け女が近所に現れたという噂を聞いたことはありませんが、人面犬はきちんと私の家の近所にもやってきていたようです。これら怖い話に共通する特徴は「似たような話が広がる」ことです。

怖い話の怖さは実在するかどうかという確からしさに影響を受けます。例えば人面犬であれば目撃証言が1件よりも10件のほうが、また10件もどこかに集中しているよりも様々なところで発見されるほうが恐ろしく感じます。そのため、ひとつの怖い話がほぼ同じ形でわずかな改変だけ加えられて広がっていくと現実味のある噂であるように感じやすくなります。

ここで普通のコピペやシリーズ物と比較してみます。先日のエントリで紹介をしたやる夫シリーズでは同じような枠組みを使って自分なりの物語を作るということが行われます。しかしながらまったく同じジャンルが2つあることはありません。同様に、コピペと言われるものも古くは吉野家コピペから最近ではヨハネスブルクやイチローのコピペなども枠組みを守りつつ、大きく内容を変えたコピペが標準的でように思います。改変されて広がっていくところはインターネットが普及するより前に怖い話が広まる様子と似ていますが、元ネタが引き継がれる割合が低い点が異なります。

怖い話もひとつのシリーズ物ですので、元ネタを維持しつつ自分なりの物語を加えたものが公開されます。例えばくねくねであれば日本各地で色々なタイプのくねくねの報告があるわけですが、「くねくねしたもの」を「見る」と「発狂する」という点は変わりません。後は見たのが弟だったり近所の人だったり、くねくねが歌っていたりしゃべっていたり、白かったり黒かったり、山にいたり海の沖合いにいたり、というバリエーションがあります。

確かにやる夫シリーズの要約は「やる夫」が「何かに挑戦」して「成功する/しない」となります。肝心なところが「何かに挑戦」となっていて拡散しやすい性質を持っています。また、こういったシリーズは同じジャンルが複数投稿されることは稀です。マクドナルドのバイトが投稿されたら、よほどおもしろいネタが無ければロッテリアのバイトが高評価を受けることは少ないでしょう。中途半端な完成度で投稿しても剽窃とみなされてしまいます。

一方で怖い話では基本系が固く守られます。くねくねでは「くねくねしたもの」を「見る」と「発狂する」というパターンがありますし、コトリバコでも「謎の箱」を「見つけた人」が「大変な目に遭う」というパターンが出来上がっています。怖い話ではなぜか剽窃であるとは考えられません。基本は「実体験」ということになっていますので、「超常現象的がここでもそこでもあそこでも起きているんだよ!」という様に前向きに受け止められます。そしてブログサービスやwikiを使用することで同じような怖い話を集約してしまうこともできます。一覧をまとめて考察をすると本当にあったことのように感じられますので一層怖くなります。

目撃証言はクチコミと同様に、互いに関係のない多数の人から寄せられたほうが信憑性が高まります。その点ではインターネットにより日本各地から目撃や遭遇の証言が集まる事は怖い話に真実味を与えてより怖さを増大させることに寄与していると言えます。

また、○○県で落ち武者の霊が出るという完全な作り話が投稿されたところ、たまたまgoogleやwikipediaなどで裏づけが発見されることもあります。権威あるところから裏づけが出ると真実味が一気に増して怖さがアップします。

バリエーションを投稿しやすく、同じような話を集約しやすく、バックボーンを調べやすいという点でインターネットは怖い話の最高のパートナーであると言えます。

ということで目下の課題は1人かくれんぼシリーズを読むかどうか。迷っています。

# 一応書いておきたいと思います。大学3年生まで幽霊・宇宙人・未来人・超能力者は一切信じていませんでした。それがある日、身をもって金縛りと幽体離脱を体験しました。それらは生理現象であり、脳の覚醒レベルがどうたらが原因であるという話は聞いていました。しかしながら自分が実際に体験してみるとあまりにもリアリティがありすぎて、しばらく幽霊の存在を50%くらい信じていました。(というか脳の暴走により実際に目で見たのと同じような神経の興奮が発生しているとすればリアルで当たり前なのかもしれませんが)具体的には夜寝ていたところ金縛り状態で目が覚めます。大変息苦しく、身動きができません。あまりに呼吸が苦しいので意識が途切れてしまうのですが、すぐに目を覚ますとと自分がベランダに立っており、布団に眠る自分の体を窓ガラスの外から見つめています。しばらくして自分の部屋のドアが黄砂の竜巻のようなものに覆われたと思ったら、その砂嵐がなんとなく人間のような形を取って布団に寝ているほうの自分の体の周囲をぐるぐる回ります。それを見ていたら苦しくなって意識を失い、目が覚めると金縛り状態で布団に寝ています。そして布団とベランダの金縛りを20回くらい繰り返したと思います。朝4時くらいに完全に目が覚めたときは疲労困憊でした。その事を近所に1人暮らししていた友人にメールしたところ、夜遅くにパトカーと救急車の音がしてたからそれで中途半端に目が覚めて悪い夢を見たんちゃうか、と言われました。ほんまかいなと思いつつ外に出てみると、うちのすぐ近所の横断歩道に真新しい花束がお供えしてありました。横断歩道を横断中に対向車のヘッドライトの逆行で見えにくくなった老人をはねるという事故があったそうです。果たして悪夢の原因はサイレンの騒音なのか、それとも……。

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