日経ソリューションビジネスの2007年11月15日号にIT資格に関する調査が載っていました。主要ソリューションプロバイダ150社にアンケートを送付し、人事部門や教育部門などの担当者を中心に89社の解答を得た結果で有効回答率は59%だったそうです。

記事のタイトルは「PMPとITCが評価を落とす」でした。記事中の数字を引用させていただくと、2007年度技術職に取らせたい資格の1位はプロジェクトマネージャ、2位はテクニカルエンジニア(ネットワーク)、3位がPMPで4位がシステムアナリストとテクニカルエンジニア(データベース)とテクニカルエンジニア(情報セキュリティ)の3つでした。同時に行われた「営業効果の高い上位20資格」では1位がプロジェクトマネージャ、2位がシステムアナリスト、3位がシステム監査技術者となっていました。PMPは4位につけているものの、ランキングを作るに当たってのスコアが前年と比較して下落しています。反対にプロマネアナリスト監査はそれぞれスコアが前年比で上昇していました。

情報処理技術者試験プロジェクトマネージャは資格取得者に対する一時金の平均支給額も上昇したとのことです。なんと20万2600円。それよりも高いのは技術士(情報工学部門)で27万7600円、中小企業診断士で23万3800円、システムアナリストで21万5500円でした。プロマネとほぼ同額だったシステム監査の20万2500円も加えて5つの資格だけが20万円の大台を超えてきました。続くはITCの17万4600円で、以降テクニカルエンジニア系などは15万円以下です。この金額の多寡は、そのまま試験の難易度と連動しているように見えます。PMPは12万3400円でした。資格の取得と維持に対するコストが大きい事という事も手伝って、PMPはどうしても情報処理技術者試験などの公的資格よりも合格一時金が安く抑えられてしまう傾向にならざるを得ません。このアンケートの一時金、営業効果、技術者に取らせたい資格、という3指標でプロマネのほうが評価が高いという結果でした。営業職に取らせたい資格ではPMP>プロマネでした。

別の角度からプロマネとPMPの違いを見てみると、試験制度の特徴に違いがあることに気付きます。情報処理技術者試験のプロジェクトマネージャは毎年600から700人しか誕生しません。合格率は1割を切ります。また、(賛否両論あるところですが)年に1回しか試験がありません。このこともあって、プロジェクトマネージャを取るにはそれなりの覚悟と努力が必要です。現時点で情報処理推進機構発表のプロジェクトマネージャ取得者数は通算で6386人です。対してPMPは2003年に4000人ほどであったのが今は2万人に達する勢いです。PMPは年に何度も受験機会がありますし、合格率は60%程度(PMI東京支部調べ)と言われます。ただし、このPMPの60%という数字にはセミナー受講費用や受験料(555ドル)が高額であるという背景から来る『必死さ』を考慮する必要があります。対する情報処理技術者試験の受験料は5100円で、出願者が受験する割合は60%程度です。

これらのことから、PMPよりもプロマネの一時金が高い理由が2点思い浮かびます。1点は社内の資格取得支援制度の仕組からくるものです。例えば社内でのPMP取得率を5%にしようと思い立ったら、社内で模試による選別をかけた上で1割の社員を研修に出せば6割以上の確率で合格していってくれるでしょう。結果、当初目標であった取得率を達成できたことによりインセンティブを落としたという会社が増えたのではないでしょうか。情報処理技術者試験は年に1回しか試験がない上に合格率も低いですので、社内の取得率をコントロールするためにインセンティブが高い状態が維持される傾向にあるように思います。

もう1点の理由は、希少性によるものです。営業上の効果を狙って名刺などに資格を書くことがありますが、PMP取得者はここ4年に限っても1万6000人もいます。こうなるとあまり珍しいものとは言えません。お客様向けにもアピールがいまいち弱くなるのではないか、というように考えられる事も不思議ではありません。確かにPMPは上で引用した日経ソリューションビジネスのアンケートで「営業効果の高い資格」に関するスコアを前年比で落としていました。

私はプロマネは持っていますがPMPを持っていません。受験経験もありません。しかし私としてはプロマネがあるからPMPはいらないとは考えていません。プロマネ試験は原理・原則的な部分の出題が多いため、細かな知識があまり必要とされていないように思います。ソフトウェア開発技術者の午前試験よりも多少難しいかな、というレベルの午前試験さえ突破すれば、あとは業務経験がものを言う午後問題での勝負となります。それに対してPMPではPMBOKについて幅広く学ぶ必要があります。この点については自分の知識に不足を感じているところです。そういうわけでPMPは勉強したい資格リスト入りしています。

資格と言えば身近なものは自動車の運転免許です。こちらは同時に受けた人達のレベルが高かったからと言って落ちやすくなるものではありません。車を運転するに足る技術水準と知識水準を認定するタイプの試験だからです。反対に、大学入試では周りのレベルによって合否のラインが変わります。その人の優秀度を相対的に測るタイプの試験だからです。乱暴なわけ方をすると、PMPは前者に近い性質の試験であり、情報処理技術者の試験は後者に近い性質のものであると言えます。自分に必要なのはどちらのタイプの試験なのかを見極めることが大切だと思いました。

# 毎年恒例となったITproの「2008年版いる資格,いらない資格」は2007/11/26公開予定だそうです。

⇒公開されました!2008年版「いる資格、いらない資格」(ITpro)

yohei

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国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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