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EHRで医療情報を共有する

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皆さんは風邪を引いたり骨を折ったりするたびに
色々な病院に行く事かと思います。

ある日、体調を崩したとします。
まずは近所の小さな病院に行きます
そしてそこで診断を受けて、必要に応じ検査などを行います。

よくならなかった場合、市民病院や総合病院と言われる
大きな病院に行きます。そこに行く際には
「紹介状」と言われる書類を持っていきます。
しかし現状では大きな病院で最初から検査をやり直すことになり、
なんだか無駄があるような思いをすることが多いです。

もちろん、紹介を受けてから時間が経っている場合には
病状が変わっている可能性もあります。また、違う施設で検査したら
なんともなかったという場合もありますので、一概に再検査が無駄とは言えません。

しかし、特にシステム業界にいるような人間には
これが非効率であるように感じがちです。
病院が医療情報を保存するのではなく、
生まれたときから病院にかかったすべての記録は
自分自身が持っていたほうが効率的なのではないか?という考えがあります。

またはせめて必要に応じて他の病院から
情報を取ってこれるといいのに、という考え方もあります。

さすがに個人で重要な情報を管理するのには
問題がありますので、健康保険組合や公的な機関などが
その情報を一元的に保管してもらうことが良さそうです。
病院はこの情報を取り入れることもできますし、
各病院の受信結果はその情報に統合して保存できます。

このような仕組みを実現するために用いられるデータのことを
EHR(エレクトリックヘルスレコード)と言います。

健康に関わるデータは病院の受診結果だけではありません。
企業に勤めている方は毎年健康診断を受診していることと思います。
小さな子供は予防接種を受けている事だと思います。
そのような結果も同じく保持されることが望ましいです。
そうすることで、同じような検査を色々な病院で実施するという不合理なことを
しなくてすみますし、5年や10年といった過去に遡っての
病歴などを調べる事ができます。データの内容が内容だけに
セキュリティや信頼性などにかけるコストは相当なものになると思われますが、
そのメリットも大きなものになることでしょう。

わが国では2001年に「保健医療分野の情報化に向けてのグランド・デザイン」
が策定されました。これはいくつかの取り組みからなるのですが、
その中に電子カルテシステムの普及というテーマがあります。
電子カルテシステムそのものは普及しつつあるものの、
そのデータ仕様がベンダーごとにバラバラであることも珍しくありません。
このことにより、仮に国家レベルでデータベースを構築しても、
それを共有するためにはいくつかの障害を乗り越える必要があるでしょう。

また電子カルテを一斉導入し、データを共有できるような取り組みを
既に実施した自治体もあります。しかし「維持費用の割に活用されていない」
という理由からデータ共有を休止してしまっているところも出ています。

医療技術というのはこれまでの積み上げの上に成り立っているものです。
これまでの医療で、1人の人間の半生に渡る受診歴を判断して
投薬や処置を決定するということが行われた事は極めて稀だと思います。
そのため、活用事例が豊富になってくるまではその真の力が発揮されないかもしれません。

また、検査費用の圧縮が目論まれていますが、
再検査の費用はEHRシステム構築の費用よりも少ないかもしれません。

しかし長い将来を見据えた場合、EHRを導入して日本中の医療データを
蓄積していく事はきっと医療の進歩に役立つでしょう。
発生割合が極めて低いような病気の症例を集約する事や、
オーダーメイド医療への応用などが考えられます。

大人にとっては明日この取り組みが始まったとしても、
既にこれまで生きてきた分のデータは失われてしまっています。
しかし次の世代のことを考えるととても希望のある話だと思います。
自分達の老後を支えてくれるはずの次世代の人たちが
一生を健康に過ごしながらバリバリ働いてくれるためには
EHRの整備が推進されるといいな、と思いました。

Comment(4)

コメント

にゃーす

こんばんは。にゃーすです。
医療情報の統合は良い医療の為に必要だとは思うけれど、どこの医療機関や保険者からも情報に接触できるようだと個人情報の漏れが怖いです。
大きな企業だと自前の健康保険組合がありますが、新規採用の社員を取るときに、病歴を調べることができるっていうのは…どうでしょ?
民間の医療機関や保険者が利用できるようなシステムは怖すぎだなぁ、と思いました。

にゃーすさん、コメントありがとうございます。
情報に接触しやすくすることと、必要ない人には接触できないようにするという2つの機能を両立させるのは大変難しい事です。今でも同じ病院内で、内科には見せたいけど外科には見せない。しかし急に容態が変わって緊急オペになったら外科の執刀担当者には見せる、などという頭を抱えたくなるような問題もあります。
相手が医師だけの場合は守秘義務を信じるということもできますが、企業の採用情報と健康情報が結びつくとなると不安が大きいですね。普段のインフルエンザや骨折などでは過去の病歴をすべて見る必要は無いでしょうから、軽い通院の場合は一方通行で登録だけするようにする等、乗り越えるべき課題は多いと思われます。中途半端に実現されて、巨額の資金でデータベースを構築したけど誰も使っていないというような状態にならないことを祈ります。

日本版PHRはこれが現存するモデルでは一番ですね。

http://atkarada.jp/content/sitemap

既に、経済産業省や日経産業新聞・日刊工業新聞・MOREなどに取り上げられ注目度No.1

電子カルテを一斉導入し、データを共有できるような取り組みって、これはもし、個人のプライドに邪魔しないだったら、すごく良い事だと思っています.

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