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「エンガワ=縁側」は、完全な「家の中」でも「外」でも無い「宙ぶらりん」な空間。そこには誰でも気楽にぶらりと立ち寄れて、しゃべったりお菓子を食べたり。情報交換や一休みに飽きたら、すいと立ってまた自分の仕事に戻って行ける。そんな風にゆるくて、ちょっと元気をもらえる所。そんな皆が好きな「縁側」で、いつも空を見上げながら何故か「背泳ぎ」をしている…そういう雰囲気のあるブログを綴っていきます。

漫画「オーバーハング!」最終話一般無料公開のお知らせ

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大変ご無沙汰してます。本橋ユウコです。

三年半の間、連載を続けて参りました拙作クライミング漫画「オーバーハング!」がいよいよ最終回の一般無料公開を迎えました。

これまで連載にお付き合い下さった読者の方々、執筆・取材等の様々な場面でご協力頂いた皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

本当に有り難うございました!!!(拝)

思えば311震災の後、日本中の人がもっと山登りやアウトドアの知識に親しんでいれば、次に来る同じような災害を少しでも減らせるのではないか?その入り口として、この漫画で日本にクライミングを普及させよう!という熱い志から始まった連載でした。

連載開始当時、漫画のことを話した人ことごとくに「クライミング?何それ?」と真顔で問い返されていたのが今では懐かしく感じるほどに、五輪正式種目化以降、テレビやネット、多くのメディアで日本人クライマーの活躍が紹介され、街のオシャレスポットとしてのボルダリング施設も続々とオープンしているという報に接し、じつに感慨深いものがあります。

今日、我が国にもすっかり定着しつつあるクライミングの風景に、自分の漫画がほんの少しでも何か貢献出来たのかどうかは、まだ自分にはわかりません。そうであったら嬉しいな...と一人密かに思うくらいです。

ただ、そうした喜びとは別に、自分が初めに志した目標からは、微妙に隔たっている距離を感じないわけにも行かないと思いました。

それは例えば、全国で登山の強豪と言われる学校の部活動の最中に、信じがたい状況でたくさんの学生が亡くなったニュースなどです。山登りやアウトドアの知識を皆が持てれば、悲惨な遭難事故を減らせると思って漫画を描き始めたのに...自分にはかなりショックでした。

このことは、津波に襲われた小学校の唯一の生存教諭が山登りのベテランで、裏山への避難を進言したにも関わらず、現場で受け入れられなかったというニュースともどこかで通じる気がします。

例えどれほど専門的な知識や、訓練された優秀な組織を持てたとしても。肝心なのはそれらを運用する「人」であり、現場で合理的に活用されなければ意味がないのではないか...?今度はそんな疑問を持つに至りました。

三年半掛けて、当初の目標であった「クライミングを含む、"登る"というアクティビティを一通り紹介する」ことは出来たと思いますし、主人公の将来を希望のある形で暗示するラストで終われたのは個人的によかったと思っています。

なのでこの次は、特定のジャンル以上に、もっと「人間そのもの」をじっくりと漫画で描いてみたい、という気持ちに今はなっています。

まだ次回作についてはすぐに語れることはありませんが、作ること自体を辞めることは、たぶんこの先も無いと思いますので、もしご期待頂いている読者の方が一人でもいらっしゃいましたら、どうぞ気長に次のお知らせをお待ちください、とお伝えしておきます。有り難うございます(拝)

本当に、まったくの新人から始めたこの連載が、ここまで続くことが出来たのは、いつも連載を読んで応援して下さった読者の皆様のお陰だと思っています。本当に、本当に有り難うございました!(伏)

一日でも早く、また読者の皆様の前に戻って来られるように、しばらくは色んな可能性を摸索しつつ、頑張ってみようと思います。

自分の漫画の連載は終わってしまいますが、これからも日本のクライマーたちを応援する気持ちに変わりはありませんし、ますます進化して行くクライミングシーンも興味を持って追い続けたいです。オリンピックもまさにこれからですし!期待するしか!(奮)

それでは皆様、たくさんの応援とともに走り切った作品はこれからもずっと同じネット上で見られますので、時々立ち寄っては主人公たちとの日々を懐かしんだり、勝負の回を読み返してまた熱い気持ちになったりして頂ければ、作者としてもこの上ない幸せです。

またお会いできる日まで。三年半の間、本当に有り難うございました!!!(拝)

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