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阿里巴巴(アリババ)その2(その成り立ち)

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阿里巴巴(アリババ)の創業者は馬雲という42歳の浙江省出身の人である。もともとは英語教師だった馬雲のインターネットとの出会いは1995年のシアトル出張時だったらしい。帰国して早速、杭州地元企業のWebサイト構築及びWeb上にイエローページを作成する企業を設立した。これが私は前述した中国黄頁という会社である(もっとも私が杭州でこの会社に会ったときには、既に馬雲は会社を去っていたが)。当時彼の会社はシアトルでWenページなどを作成していたらしいが、杭州にはまだインターネットがきていなかったため、顧客は自分の町では自社のホームページを見ることはできなかったようだ。私事になるが、自分がモザイクではじめてインターネットにアクセスしたのが1994年の春である。

その後、馬雲は中国黄頁を去ることになる。政府の外貿管理部門がEDIに関する企業を立ち上げるので、その社長に馬雲がヘッドハントされたのだった。しばらくの間、その政府資本の会社で社長として勤務したようだが、やはりどこの国も同じことだが、政府資本の会社がこの類まれなる起業家を満足させることはなかった。2年後に再度杭州に戻り、(当時、中国国内ではBtoC企業が全盛の中で)彼はBtoB企業を設立したのあった。

彼は、中国人の商人は儲かりさえすれば、その対価としてお金を払うことは厭わない、という性質を知っていた。これは、便利であろうとお金は払いたくない、という中国人の消費者とは正反対の特徴であった。馬雲のこの見方は、私個人としては、まさしく中国マーケットの特徴を言い当てていると思う。日本のモバイルコンテンツ企業が、何度のなく中国のコンシューマ向けにモバイルコンテンツ配信企業を中国に設立している、あるいは買収をしているが、ほとんど全ての企業があえなく敗退している。こうした中、最近は中国の企業向けマーケットとして、広告収入を目当てに中国進出を狙っている日本企業が増えている。成功するかどうかは分からないが、方向感としては正しいのではないだろうか?
話を戻すと、中国マーケットはさらにBtoBプラットホームが適している、と考えた。米国には大企業が多く、自社で製品販売、原材料仕入れに関するWebネットワーク網を構築することが可能である。これに対して、中国国内には大企業は少なく、無尽蔵ともいえる中小企業が存在する。中国国内の中小企業は当然のことながら、自社でWebを使って仕入れ、販売などを行う資金もノウハウもない。彼らに有用なBtoBプラットホームを運用すれば、まさしく彼らは優良ユーザになってくれるだろう、と考えたのである。

こうして馬雲が設立した企業のビジネス内容は決まった。後は名前だけである。彼は、BtoBサイトのバイヤーには外国人も多いだろうから、国際的な知名度の高い名前を望んで、外国人何人かに聞いたところ、みな「開けゴマ」で有名なアリババの話は知っていたので、会社名を阿里巴巴(アリババ)にした、というウソのようでホントな話が残っている。
ついに、阿里巴巴(アリババ)の誕生である。

以下、続く!

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