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以下は、2007年7月6日(金)に白河桃子氏が「“70歳現役時代”に生き残るには男性こそワークライフバランスが必要」という題名で、アパショナータ代表のパク・ジョアン・スックチャさんの意見をまとめた記事の転載です。私には版権がない記事であり、もし問題があるようでしたら削除します。ただ、自分が相当程度、共感した意見でしたので、本日は手抜きをして、ここに転載したいと思います。

---------- 以下は転載 ----------
企業が力を入れているのに、日本のワークライフバランスの推進が進まないのはなぜか。これに対してパクさんは、「ワークライフバランスは子供のいる女性だけでなく、働く人すべての問題です」と指摘する。「日本は今『働き方の革新』をしていかないと、IT(情報技術)化、グローバル化の時代に取り残されてしまいます」

2000年に日本で最初のワークライフバランスのコンサルタントとして独立したパクさんは、誰もワークライフバランスという言葉を知らない時代から、ずっと「日本人の働き方を変えよう」と主張し続けた。今ではこの言葉があまりに取り上げられすぎ、様々な解釈も出てきて戸惑うこともあるというが、ワークライフバランスの最初の提唱者とも言うべき彼女の主張は、一貫して明快である。

「日本人の働き方は、世界でも、特にアジアの中でも特殊です。日本のサラリーマンは、群を抜いて長時間労働を課されています。米国などのエリートはもっと働いていると言われていますが、彼らには責任と高給が保証されていますし、懸命に働いた分、リタイアする時期も早いのです」とパクさんは言う。

「しかし日本では、多くの一般社員が長時間労働をし、それが定年まで続きます。それにもかかわらず、労働生産性は先進国の中でも最低レベルです(社会経済生産性本部「労働生産性の国際比較2006年版より)」

「家と職場の往復で休日は寝ているという状態では、そもそも出会いがなく、結婚できない。男性の場合、仕事で疲れ果てて家事や子育てを手伝うこともできず、妻の不満はたまる…。長時間労働で家庭生活が犠牲になるだけでなく、運動、勉強、社交や趣味など、自分を磨く時間もない。これは、誰も得しない働き方だと気づくべきです」

変化に対応するために、ワークライフバランスが必要
そもそもワークライフバランスという概念は、「変化に対応する働き方の革新」として米国で広まった、とパクさんは言う。革新を促したのは、ITの普及により「従来の成功のルール」が変化したからだと分析している。組織でのワークライフバランスの取り組みに関するパクさんの定義は、「働きながら自分たちの責任を果たし、要望を実現できる環境づくり」だ。

「肉体労働中心の時代は、1時間で10個の製品を作れる人が10時間働けば、100個の製品を作れました。しかしIT化による頭脳労働の時代に、1時間で10個のアイデアを出せる人が10時間考えても、100のアイデアを生み出せるわけではありません。それなのに昔の感覚で働き続けてしまうから、体を壊したりメンタル面で悩んだりする人が増えているのです」

パクさんが提唱するワークライフバランスは、単に「仕事と家庭生活の両方をバランスよくこなす」というだけではない。目の前の仕事以外のことに、時間を使う必要性も指摘する。

例えばグローバル化やコスト削減のため、人件費の高い日本からアジアの様々な国に仕事がシフトしていく。日本に残るのは難易度の高い仕事だけとなれば、それに対応できるよう常に自分を磨き、高めて付加価値をつけていかないといけない時代なのだ。

「目の前の仕事を毎日12時間続けていても、この先10年、20年勤め続けられるかどうか分かりません。スキルアップをしたり、芸術に接して感性を磨いたりするなど、自分をステップアップさせなければいけない。しかし日本の多くの会社員はあまりに長時間労働なので、身の回りのことで精いっぱいなのが現状です」とパクさんは警鐘を鳴らす。「今後、急激に変化する時代に対応していくには、ワークライフバランスを推進していかなければいけないのです」

「いくら企業が『ノー残業デー』などを作っても、空いた時間で何をしていいか分からない人が多いのです。『働き方の革新』のためには、企業と社員の両面からアプローチしなくてはいけません。特に付加価値を高めなくては生き残れない時代、男性の意識改革が急務なのです。」

海外では、雇用は流動的である。ビジネスパーソンは、常に今の仕事以外のスキルアップ、キャリアアップの道を考えるのが当たり前だ。このためパクさんは、最初はなぜ日本でワークライフバランスの概念が広がらないのか分からなかったと言う。

「日本型の終身雇用は、『ものづくりの時代』に最も適した制度です。しかし、現在では終身雇用制度を維持することは難しい。環境が変わっているのに、なかなか昔の態勢から抜け出せないのです。まだ多くの人が、会社に自分の時間のすべてを捧げないといけないと思い、“目の前の仕事”ばかりしています」

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