皆さんは、自分の子どもの頃の夢を覚えていますか? ちょうど季節は七夕。笹飾りと手作りの短冊を見ると、昔を思い出してほほえましくなりますね。メーカーに入社するエンジニアには、子どもの頃の夢をかなえた人が多いのだと思います。今年の新人研修で、技術職の新入社員たちに入社動機をスピーチしてもらったところ、「子どもの頃から機械いじりが好きで、学校も電気系で、学校推薦で電機メーカーを選んで入りました」と話す受講生が何人もいました。

 それを聞いて最初、「入社動機で子どもの頃の話なんて。自己分析やキャリアプランについて、どうやって教えていけばいいんだろう?」と面食らってしまいました。その話を、たくさんの部下を育成してきた管理職の方に話したところ、「子どもの頃から機械いじり? 最高じゃないですか! それこそが、この仕事をしたいと思う気持ちの本質じゃないですか!」と。人材育成の現場では、複線化するキャリアパスの中から自分に合ったものを選び取り、早いうちから目標を決めること、たとえ職種別採用の制度がなくても、自分の適性を自分で認識できることが奨励されるようになっています。でも、きれいなキャリアパスが描けることより、子どもの頃からの夢のほうが強いモチベーション、エネルギーに変わるのかもしれませんね。

 社歴の浅い社会人や学生たちから、「英語を使った仕事がしたいんだけど、どうすればいいでしょう?」という相談を受けることがよくあります。そんな時、私がアドバイスするのはこうでした。
「通訳や翻訳のように、英語だけで食べていける人はほんの一握りです。英語プラス、もう1つか2つ、特技を持っていると強みになりますね。学校では何を専攻して、どんなスキルを身につけましたか? 英語以外にやりたいことはないですか? 英語は手段であって目的ではないはず。まずは今の仕事で、あるいは今受けられる職種で能力を発揮して、ビジネスで成功したら活躍の場は海外に広がるはずだから。回り道のように見えても、目の前の仕事に打ち込むことが、結果的に英語を使う仕事につながると思いますよ。」
 一見、正論のように思えますが、「子どもの頃からずっと英語が大好き? 最高じゃないですか!」と、それぞれの人の夢に寄り添うことを忘れていたように思います。

 まず、「英語を使う」という発想から自己分析をするなら、英語をどのように使っているときが自分が一番生き生きしていると感じるか、今までの経験を振り返ってみたり、夢をもっと具体的に描いてみるのがよいと思います。日本語の思考から頭を切り替えて、英語でモノを考えることが好きなら、ドキュメントを書く職種が向いているでしょうし、英語でさまざまな国の人と話すのが好きなら、多国籍の人が働く企業をめざすのがいいでしょう。やっぱり外国に行くことが一番のロマンだ、と直感したら、インターンシップ制度などを利用して、思い切って行きたい国に行くのが最良の選択かもしれません。

 私の場合は、中学校から英語が好きだったので、いつか留学してみたい、だけどせっかくの日本での仕事を辞めたくない、という時に、インターネットで受講できるアメリカの大学のdistance learningを知りました。まだダイヤルアップ接続だった時代のことです。家にいながらにして、レポートを送って添削してもらって、掲示板で毎日のようにクラスの人と意見交換ができる。クラスメイトはいろんな州から来ていて、担任の先生はメキシコ人で・・・、という環境がものすごく不思議な体験でした。昼間は普通に仕事をしているのに、家に帰ったら先生から英語のメールが来てて、レポートを英語で出して、なんですよ。しかも時差のおかげでレポートの提出期限がみんなより1日遅く見えたり。家に居ながらにして留学をするという、この不思議な二重生活は、ひょっとしたら、海外へ留学に行くよりおもしろいんじゃないか。そうだ、海外と日本をインターネットで結んだ英語の勉強法を広めることを仕事にしよう! そう決めたのが私のキャリアの本質。仕事の方向性がずれそうになったら、必ずこの原点に立ち戻っていくから、夢のおかげで一貫したキャリアパスが築けているようなものかな、と思います。

 七夕の夜、就職・転職をお考えの皆さんはぜひ、子どもの頃の夢を思い出してみてください。仕事の動機が「子どもの頃から好きで・・・」になったとき、ゆるぎないモチベーションがきっとわいてくるはずです。

Kyoko S.

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コメント
shunsuk 2007/07/11 09:10

何故かトラックバックが削除されてるようです。届いていないのかな?

「まず、「英語を使う」という発想から自己分析をするなら、~」のところが参考になりました。手段も目的になり得るのですね。

K.Kato 2007/07/11 09:43

shunsukさん、コメントありがとうございます。
トラックバック、せっかく頂いたところ、正常に登録されていなかったようです。お手数でなければ、再登録いただけましたら幸いです。
コメントをいただいたように、英語学習者の中には手段が目的化する傾向が多く見られます。
「海外のビジネスで活躍できるように(留学できるように/外国人の友人ができるように・・・)英語を勉強する」という考え方ではなく、「英語を使うために海外で働く(留学する/外国人の友人を作る・・・)」という発想なのです。
研修の現場で思うことは、TOEICで高得点が取れたり、英会話を身につけたりしても、一般企業の国内部門に所属していると、人事部が啓発するほどには職場がグローバル化されていないので、研修で身につけた英語を使う場所は本当に少ないということです。
資格だけ取ったペーパースピーカー(?)みたいな人が国内企業にはあふれています。そこで、最初の研修で身につけてもらった事を使うというシミュレーションの場も、実践に代えて研修で用意するということになったりします。そうして「ビジネス英語実践」のような科目が増えていくことに。。。


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杉本 京子

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企業研修講師。Eビジネス研究所の研究員として ITおよびネットビジネスに関する研究、業界支援活動を行う。

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