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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

ネットで触れる事ができる情報が事実であり真実であり潮流である、などと盲信してはいけない

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例のチュニジアの政変の話が正にそういう流れになりつつあります。当初のインターネット上でのコミュニケーションが政変を起こした論から、ちょっと待てよそんな単純な話じゃないだろ論への流れ。これ、とても大事だと思うんです。

もちろん、どこかしらの勢力においてある一定の効力を発揮したのは事実だとは思うんです。何かしら役に立ったというのは事実だと思うんです。でも、それは単にある部分のある一面を見てるだけで、実際にソコに到るまでには長い歴史があり、多くの経緯やいろんな人の思惑が錯綜してきているわけです。その流れを何かコトが起きたときに流れる情報だけで理解する事は不可能なわけです。

そこは外しちゃいけない。

 

常々言う話ですが、誰かから聞いた話は、必ずその人の思考と言うフィルターを通っているという事実

ココが一番大事なところ。たとえばアフリカで言うと今回のチュニジアの政変だってそうですし、コートジボアールのどうしようもない混乱や、スーダンの分離独立の話とかもあるわけですが、それぞれの現体制に対する対抗勢力が一枚岩であるわけが無い。いろんな人たちが自分の、あるいは自分の所属する何かしらの集団の利益を代表して動いているわけです。もしくはそういう利益とは全く切り離された状況に置かれていたりするわけで、それらの相対的な動きの一番大きなところが出てくると初めて日本で報道されたりするわけです。

例えばアフリカから中東にかけての話で言うとですね、たとえば・・・ チュニジアは単なる地中海に面したエキゾチックな観光地、というだけではないわけです。”アラブの王様”という支配階級の存在と立場については中世以降実は根本的に変化しているわけではないと言うところを理解しないとよく判らないわけです。あるいはスーダンの南北対立や部族対立がどれほど長い歴史を持ち、どれほど悲惨だったのかっていうのを知らないとようやく分離独立を内戦ではなく投票で決める所まで来たのかを理解できないし、ドバイの見上げるばかりのビル群をドバイの金持ちが自分でクレーンやダンプカーを運転して建設してココまで大きくなったわけではない。イラク政権が何ヶ月も国防大臣を決める事が出来ないのはそこに強烈な綱引きがあるわけですが、誰も譲る事は出来ない事情がそこにあるわけです。

 

別に斜に構えてモノゴトを見ろという話ではありませんが

ただ、何かを伝えたい人、伝える人それぞれに立場があり、それぞれの役割を経由した情報が流れるわけです。あるひとつのメディアが突然何かしらの力を持ち、何かしらの行動を起こすことってのは普通は無い。必ず何かしらの流れがあって、その場その状況に誰かが「便利だ」「役に立つぜ」と思ったものを利用する。それがたまたま有る一定のところに集約する事があるわけで、以前はそれが放送局であったりしたわけですが、今はインターネット上の、たとえばFacebookなのかTwitterなのかUStreamなのかYouTubeなのか、はたまたWikileaksなのか。でも、そこに出る情報は必ず誰かが何かの意図を持って出してくるということを忘れちゃいけない。

そしてそれの善し悪しは別の話。

なんてコトを考えている私の場合、実はメディアが流れを変える事ってのは滅多に無いと思っていて、逆に流れを変える場に合うメディアが選択されるだけであるんじゃないかと言う考えをボンヤリと持っています。

もちろん、それこそ湾岸戦争のときのCNNのように、結果的にひとつの流れを作るメディアっていう位置づけを持つモノが存在する事はあると思います。イラク紛争の前後だとアルジャジーラかもしれません。でも、これらは基本的にテレビであるわけです。良い悪い別にして、当時はそれしかなかったんですから。

そして何かしら正式にステートメントを出す場合にも、テレビやラジオというのは世界中のどこでも比較的広く普及していますから、何か政変などがあると必ず放送局が占拠されてきたわけです。

そしてその前は、多分ラジオや、新聞。ひょっとしたら空からばら撒く宣伝用のビラなんてのも非常に効果があった時期もあるかもしれません。そのあたりは時の流れに合わせて変わってゆくわけですが。

 

斜に構えるという話ではない積りですが、でも物事は単純ではないし、自分が見えているモノ、自分が聞いたコト、自分が理解しているコトは、自分自身が当事者でない限りは伝聞である、という視点は忘れちゃいけないと思うんです。

多分に自戒を込めた話なんですけどね。

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