THE SHOW MUST GO ON:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) THE SHOW MUST GO ON

通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

例のプリウスの件をツラツラと眺めつつ、ふと思い出したのは自分がかつて所有していたシトロエンBXの愛すべき油圧系統、そして摩訶不思議なブレーキの構造の事。半分泣く泣く手放したのですが、今でも良く覚えています。

 

サスペンション、パワーステアリング、そしてブレーキまで一発の油圧系統でやっつけるという豪快さ(笑

そもそもフランスはジャベル河畔に工場を構えていたシトロエン。2馬力とか15馬力といった呼び方をそのまま車名(2CVとか15CVですね)にしてた歴史のあるメーカーですが、1955年のDS以降ずっと手がけているのがハイドロニューマチックという空気と液体(油ですが)で浮かぶサスペンションと、その油圧でパワーステアリングやブレーキまでやっつけちゃうというシステム。もちろん時代に合わせて色々と進化していますが、私が持っていたのは1993年製のBXというクルマの最終輸入車。もともと色々と楽しい事が起きる車だったのですが、私の買った個体は日本向けの最終輸入のうちの一つだった事もあり、数回程度楽しい故障があったくらいで、7年ほど一緒に楽しく過ごしました。

 

良くも悪くも、まぁ普通じゃないクルマでした(笑

構造的にブレーキは油圧のパイプについたバルブのスイッチ、と言うのが基本形。そう。スイッチなんですよ、基本が。もちろん踏めば圧力がかかるんで強く踏めば強く効くし、弱く踏めば弱く効く。基本はパスカルの原理。でもペダルの後ろの油圧のボタン(本当にボタンだったんです)を通じてタイヤが路面を噛んで回転が遅くなってゆく感覚すら解った。

私自身クルマが好きだとは言え、それほど何台も乗ったわけではありません。が、この感覚ってのは他では体験した事が無い種類のものでしたし、未だに他では味わった事が無いですね。あ、もちろん世の中にはあるんでしょうけどね。

 

何しろ空気と液体で宙に浮いてるクルマでしたし(笑

因みに同じ油圧系統で作動しているサスペンションにはバネなんか無い。緑のボールがサスペンションの上にくっついてて、ゴムで仕切られた上に空気、下に液体・・・というか油が入ってるというのがハイドロニューマチックの基本形。

最近のシトロエンのこの系統のサスペンションはもっと進化していて、ハイドラクティブ云々と言ってますが、基本構造は同じです。

因みに私が乗っていたBXは、エンジンを止めると油圧のポンプが止まり、当然全体の油圧が下がるのでサスペンションにかかっていた油圧も下がり、車体が下限・・・ そう、タバコの箱が横では入らなくなるくらいまで下がりきっちゃうという時代のものでした。

エンジンを止め、ドアを開けて降りると、まずかかってる油圧の力で一旦ピョコンと車体が上に持ち上がり、その次にセルフレベライザーで乗っていたときの高さにスッと戻り、しばらく眺めているとまず車体の後ろがス~っと下がり始め、しばらくすると前もス~っと下がり、一番下がったところでサスペンションのところに付いてるゴムに車体が「ゴトン」と当たって終了。静かにうずくまります。

まるで生き物でした。

逆にエンジンをかけると地べたにうずくまっていた車体の、まず後ろがニョコニョコと上がり始め、直ぐに前もモコモコと上がり、1分から2分くらいで走れる状態になる。そう。エンジンをスタートしても直ぐには走り出せないという車だったんです。

ほんと、生き物みたいでした。

 

この感覚はハイドロの旧いシトロエンに乗った事がある人だと大抵共有できると思うんですけど

壊れるときには普通に壊れる。お陰でエンジンの音を聞きながら、ブレーキの聞き具合とかをずっと確認しながら・・・ そう。クルマと話をしながら乗っていたような感覚でした。でもそのうちにクルマ自身が何を言ってるのか、何か訴えてるのかってのがわかる様になった気分で一緒に生活できるようになったんですね。

因みに知人で数人BXに乗っていた事がある人がいます。中の一人は初期型だったのですが、急ブレーキを踏んだら前の方からガチャンと音がして、クルマを止めて前を見てみたらヘッドライトが両方とも外れてブラブラしてて大笑いしたなんて話がありました。

ワタシ自身も、サスペンションのところのスタビライザー(鉄の棒ですね)がズレて車体に当たってしまい、エンジンをかけても車体が上がらなくなってしまった程度のトラブルは2回だけありましたし、窓ガラスがドアの中にストン!と落っこちて出てこなくなったのが3回くらいあったとか、まぁその程度です(笑

と笑ってるのは多分そういう世界自体が楽しい変態なんですけど、ちょうど10年くらい前に日本のシトロエンの輸入権がゴチャゴチャになり、運の悪い事にその時期にちょうど車検を迎えてしまい、付き合っていたディーラーさんが廃業するとか重なったんで手放してしまいました。

でも、今でも好きですね。ハイドロのシトロエン。いまだとC5とかC6?

 

私の昔話が今の話題に直結するわけではありませんが

とりあえずワタシ的には、気に入ったクルマの癖を理解しながら家族の足として一緒に暮らすという位置づけのクルマという存在は欠かせないものだよな、と思います。

別に奇妙奇天烈な必要は無いし、電子制御が嫌だとか、逆にエコじゃないと嫌だとかそんなところでのこだわりって余り無くて、なんだか好きになっちゃった車と暮らすという位置づけ。なんて事を、ちょっと思いなおしてみたりしてます。

bibendum_iwa

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コメント
ooki 2010/02/10 18:43

大学時代に、エンストすると車体が持ち上がらなくて押し駆けも出来ない、1200GSパラスに乗っていたことを思い出しました。(苦笑

いわなが 2010/02/12 10:33

ookiさん、コメントありがとうございます。
 
GSはBX以上に変態でしたねぇ。そもそも空冷エンジンってのが凄かった。
そういえば車高調整できるお陰で逆に上に一杯に上げちゃうと前輪の後ろまで手が入るんで、チェーンをつけるのが凄く楽だった記憶がありますね。

中村昭典 2010/02/12 12:48

わたしが所有していたのはC3でしたので、ハイドロではありませんでしたが、岩永さんが仰る「良くも悪くも普通じゃないクルマ」というのは、少しはわかります。
デザインが好きで買ったクルマでしたが、走行中にハンドルが動かなくなる(!)トラブルが連発したことと、ディーラーが商売やめちゃったことで、これじゃ通勤じゃ使えないなぁと、1回目の車検前に手放してしまいました。でも好きなクルマだったなぁ。
フランス車はもう・・・その時はそう思ったのですが、今はまたプジョーが気になったりしています。

いわなが 2010/02/12 13:29

中村昭典さん、コメントありがとうございます。
 
おお。C3のオーナーだった事があるんですね。
因みにワタシの場合には1988年にフランスに出張に行ったことがあって、そのときの記憶で「フランス車なんか大っ嫌いだ!」と思いこんでいたのに数年後に生まれて初めて購入した車がシトロエンでした。自分で全く説明が付かないんですけど、でも、気に入っちゃったんです。
 
因みにその後ドイツの車に乗り換えて10年を経過しました。殆ど壊れないし、それはそれで気に入っているんですけれど、街中でたまにBXを見かけると「まだ走ってるんだ」と喜んだり、今更ながら2馬力の出物ってないかなぁとかDSってまだ手に入るのかなとか思ったりしてます。死ぬほど苦労するのは理解してるんですけどねぇ。


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岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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