THE SHOW MUST GO ON:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) THE SHOW MUST GO ON

通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

展示会のブースや運営については、やはり国情が反映されます。日本でのIT系イベント場合にはスペース効率を最大限高めようとする意識が強く働くことから、壁面と壁で基本的な構造を作ることが多いと思います。もちろん予算の問題もあって、結果的に床面一杯に展示スペースを設けることが多くあります。

でも、本当にそれでよいのだろうか?というキモチは常に持っています。



そもそも何のための場なのか?

もちろん製品やソリューションのデモンストレーション。これが最大の目的となる・・・と思うのはちょっと違うんじゃないかというのが私の持論です。もちろん見せるべきものは見せなくてはいけません。でも、その場で見せてその場で話が進むことというのは、IT系イベントではあまり無いのが実情ではないかと思います。

もちろん、普段お客様に見てもらえることが少ないものであればこそ、その場でとにかく見てほしいという意識がとても強く働くのは自然なことだと思います。100%同意です。でも、それだけではなんだか片手落ちのような気が、常々しています。



さすがにいろんな形のイベントや展示会をやってきましたが

その場で商談をキチンとできること。その場でお客様をキチンとお迎えできること。これがやっぱり大事なんじゃないかと思います。主催の立場、出展者の立場の違いがどこまで何を用意できるかの違いとなりますが、方法論はさておき、考え方としてこの部分、非常に乱暴にくくると「ホスピタリティ」に近い部分をキチンと考える必要があるんじゃないかと思っています。



主催だからできること

主催といっても、巨大な展示会だけではなく、自社主催の数十人程度のセミナーでも同じだとは思うのですが、一方的にお話を聞いていただき、あるいはモノを見ていただき、そのままさようならというのはやっぱりさびしい気がします。ホテルの宴会場に展示スペースがある場合、たとえばその部屋の中心部分がぽっかり空くようなレイアウトの場合、そこにテーブルと椅子、そして簡単なお茶のサービスがあるだけで、ちょっと違う形を作れるような気がします。

もちろん、そこにお客様に座っていただき、キチンとお話する人を用意できるか、あるいはたとえば営業さんがそういう風に自分のお客様をガイドできるかなど、いろんな要素があるのはわかっているのですが、たとえばそういう形をとることによって見て、聞いてもらうだけではなく理解を深めていただく、あるいは次の話につなげることができる状況を作れるのではないかと思っています。

以前のエントリーでも書いたことがあるのですが、私自身は「イベント・ロジスティックス」という考え方を持っています。これは、場を作る側の役割として、そこで見せるべきものを最大限効果的に見せられる場を用意し、そこで上手く立ち回るべき役員、営業、エンジニアなどの方が最大限効果的に活動できるための場を含めたすべての資源を供給するという考え方です。

もちろん、モノを見てもらうこと、あるいは一方的に話を聞いていただくことが目的であれば、別に四の五の自分の主義主張に基づいて暴れる必要は無いのですが、少しでもお客様と会話したい、あるいは会話する必要がある場合には、やはりそのための場を作ることが必要じゃないかと思っています。



出展者でもできること

コスト効率は確かに非常に優先度が高いものです。買ったスペース、得た時間は最大限有効に活用したいというのは正しい考え方です。でも、キチンとお話ができる場を見せるということと同じ優先度合いで考えているかどうかが問題じゃないかという気がしています。プロダクトアウトな考え方は良くないよ、とマーケティングの世界ではよく言います。ただ、これを展示会やセミナーといったイベントの場に置き換えた場合、送り手が伝えたいメッセージを一方的に伝えて、そこから先に進む会話をする場を用意していないのは、一種プロダクトアウト的な発想じゃないかという気がします。

もちろん、だからといって、狭い展示ブースの中で応接スペースが用意できるのか、あるいは会場全体として利用できるそういった場が用意されているのか、そもそもその機能に対してコストをかける気になれるか、このあたりのバランスは難しいものです。



でも、その部分にかける100万円が3年後に100億円のビジネスになるとしたら・・・?

これはちょっと極端な比喩ですが、多かれ少なかれ、イベントの場はその後のビジネスを生むための場であることは間違いありません。こんな極端な例は少ないとは思いますが、それでも考え方としてはアリだと思っています。

極端な話、ブースの中でその部分のスペースコストや装飾、什器やケータリングなど全部をひっくるめて、たとえば合計100万円かけて応接スペースを用意したとします。で、その場所が1日1回だけ利用され、3日間の会期で合計3回しか使われなかったとします。でも、その3件のお話からたとえば3年後には100億円のビジネスが生まれるとすると・・・ 最初にかかった100万円はタダの誤差でしかなくなったりします。

これは極端な話ですが、その場のコスト効率を強く意識しすぎて未来のビジネスの果実を取り損ね、取り損ねたことすら気がつかないとしたら、これはとても残念なことです。

もちろん、そんな余裕すら今は無いよといわれてしまうと実も蓋も無いですが、考え方の根っことしてそういう場の使い方や効率の考え方があっても良いんじゃないかと思います。



たまたまですが、バンコクでは、そこを少しだけ突っ張って実現することができました

高々60平米のブースです。でも、その半分近くを応接スペースに割り当てることに今回はかなり強くこだわりました。

Dsc_0141

こんな感じです。2メートル弱持ち上げて、特別な応接スペースを作り、ケータリングのスタッフを常駐させました。1日1回稼動すれば十分。その代わり企画した側からのお願いとして、ここではキチンと商談をしてくださいという風にブースの関係者の方にお話をして運用しました。そして、実際に今後足掛け数年に渡るプロジェクトの話のいくつかがここからスタートできました。もちろん結果が出るのが数年先ですからどうなるかわかりませんが、でもここの場がそういう風に利用されたことはとてもうれしいものでした。

結果的にそういう方法が受け入れられる場であったこと、そういう性格のイベントであったことなどいくつもの好条件が重なって実現できたのですが、カネガネ思っていた形をキチンと作れたな、と思った次第です。



もちろん、そんな好条件がそろうことはめったにありません

ということで、普段のイベントでは非常にきつい条件の下、何とか形を作るわけですが、とりあえず今回、いままで実現できなかった事、でも条件さえ揃えば上手く行くということを自分で確認できたことがひとつの大きな成果でした。

歳は食いましたが、やっぱり日々勉強です。

bibendum_iwa

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岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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