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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

アニメ作品の稼ぎどころ

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知っている人は知っている話だとは思うのですが、アニメ作品の多くが放送自体を制作費の回収手段としてすら考えていないことが多いのだそうです。アニメの世界で、いわゆるコンテンツビジネスに直接携わる方とのお話です。では、利益の源泉はどこにある?



直接投資を回収するには自分で売ること

放送は権利が大変です。時間枠や裏番組の組み合わせも大変です。しかも、とてもではないですが放送にまつわる収入ではとてもではないですが、制作費すら回収できない。でも、なぜ放送するのか?
私自身は放送業界でもアニメ業界でも、もちろん映画業界でもない、いわゆるコンテンツビジネスの素人ですが、最近前述のコンテンツビジネス業界の方とお話していてはっと気が付いたことがありました。

ということで、以下は素人なりの発見記だと思ってください。



放送すること、それは広告、という考え方

放送にまつわる広告収入はコンテンツ自身にとってそれほど大きな直接利益を生まないようです。でも、放送が終わった後の、たとえばDVDの売り上げ。これは超強力な売り上げの源泉。たとえば「24」。この番組の本放送を見た人は日本には殆ど居ないと思います。しかし、アメリカで評判の番組がDVDになって日本に上陸!となると別の話です。それがシーズン1、2、3・・・と続くワケですが、このようなパターンはテレビを最初に軸にした作品・・・のように見せて、実は放送自体はその後に売り出すDVDや関連商品の広告という位置づけになっていると言うことのようです。もちろん全部が全部そうではないでしょうし、実際にきちんと儲かるところまで行くのは本当に大変でしょうから、売り上げに占める割合は当然変わるのでしょうけど、とりあえずそのような意志を持った作品制作のやり方というのは存在しているようです。


そういえば戦隊モノは立派なビジネスモデルを持ってる

いわゆる戦隊モノは、大抵回が進むごとに登場人物が微妙に増えたり、武器が増えたり、合体のバリエーションが増えたり、新しいキャラクターを含めて大合体したりするわけです。たとえば日曜日の朝に放送があり、ある朝に新しい合体のバリエーションが出てきたりするワケですが、その日に買い物に出かけると、既におもちゃ売場にはその新しい合体マシーンのおもちゃが、場合によってはいくつかのバリエーションで並んでいたりします。放送前に売るわけには行きません。最新の、その時点で最強のマシーンを子供にねだられてすぐに買う親は少ないとは思いますが、少なからず売れるのだろうなとは思います。夏ぐらいにはテレビとは別に映画も製作されたりします。もちろんノート、鞄、パジャマやTシャツ、鉛筆、靴、その他諸々も常にてんこ盛りですが、こう言ったモノ、特に文房具系が一番大量に売れるのは新入園や、新入学シーズン。その時点で認知を取るためには、数ヶ月は先行して放送をしていないといけない。



あ、もちろん通年商品のフリカケやソーセージとかも外せません(笑)

そしてそれらをクリスマスや正月に向けて一気に売り上げて、最終的に殆ど無くなった頃に次の戦隊モノに放送をバトンタッチ。このパターン、正に放送自体に広告の意味を持たせていて、間違いなく作品にまつわる利益のある一定部分が放送以外の所から生まれるわけです。しかも、クリスマスや正月という、そして新学期前など比較的子供向けの商品が売れる時期を外せないとなると、放送自体は必ず1年間でなくてはいけない。
そういう側面があるから、戦隊モノは4月より前に始まるんだ。

なるほど。



売るのは夢は夢ですが、売り上げるのはDVDやグッズ

そもそもビジネス的に成功していないと何も維持できないわけですが、最終的に利益の源泉をどこに求めるのか、それをどのようにドライブするのか。
そして、そんな背景を背負っておもちゃ売場で大きな場所を押さえている、テレビで放送されている戦隊モノ作品のキャラクター。

なるほど、なるほど。

薄々そんな気はしていましたが、素人だからこそ、なんだか素直に感心してしまいました。

※2008年8月11日: 余計な文字(不要な"「"など)が削除漏れで残っていたのを消しました。

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