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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

何故ホワイトペーパーを書くのを嫌がる人が多いんだろう

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私は就職して最初に染まった文化のせいか、とにかく成果なり何なりを何らかの形でドキュメントに残す習慣がついています。でも特に最近、凄く知識があったり経験があるのに、それを文字にする=ドキュメントを書くことにしり込みする人と接する機会が多くあります。もったいないなぁと思うのですが・・・


極論ですが、解説文章の無いパワポの企画資料しか作れない企画担当者は駄目だと思っています。

全ての作成した資料に解説文章を書けるかどうかは別として、ある程度一人歩きさせようとする企画書であれば、その解説を文章として付けるべきだというのが私の持論です。説明資料に説明原稿、状況によってはナレーション原稿を付けられないのも言語道断だと思っています。

そもそも、その資料を誰かにプレゼンテーションするのであれば当然説明のための文言を頭で構成するわけです。本気のプレゼンであれば必要に応じて説明する補足資料もあるでしょうし、それについても何を喋るかを決めていると思います。一言で言うとナレーション原稿ですね。まずナレーション原稿を書いてみる。文字にする。それが解説文章の第一歩じゃないかと思います。


話し言葉と読み言葉は当然違います

話し言葉をベースにした文章はたいていの場合後から読むに耐えませんから、それを読み言葉に書き換えてみる。読んでみると当然喋りとは違う説明をしたくなる部分が出てきます。そこにちょこちょこっと手を入れてみる。ちょっと体裁が変わってきたことに気がつくはずです。話し言葉を読み言葉に変えてみるのは大事なプロセスです。

その文章の見出しを整理してもうちょっと体裁を整えたら、ホワイトペーパーの出来上がりです。どこかにロゴでも入れたら完璧です。別に100ページ必要じゃなくてA4裏表だって良いんです。そんなに難しいことではないと思うんです。ちょっと乱暴な考え方ですけど。


四の五の言わずにとりあえず文字にしてみる

「お前は文章書くの好きだからできるんだよ」という話があるかもしれません。確かに私自身は昔から作文は好きでしたが、基本は話し言葉をそのまま文字に置き換えているだけなので、文才と言うには程遠いのが現実です。少なくとも文筆家の器ではありません。

ただ最初に居たIBMで、特に海外のエンジニアやら何やらが書いた、当時RED Bookなどと呼ばれた正規のマニュアルとは違うさまざまな解説のドキュメント(今もあるのかどうかは良くわかりません)に随分と助けられたことがあり、若造なりに自分の活動や経験を文字に残すことを昔から心がけてきたという経験を持っています。誰かに読んでもらうというほど高尚なものではありませんし、習慣とまでは行きませんが、時々思うことを文字にしてみるというキモチです。

ブログに何か書き込むのと行動原理は同じかも知れません。


一度小論文とか卒業論文とかの悪夢を忘れてみる

「小論文」と聞くと入試を思い出して暗い気持ちになりますし、単に「論文」と聞くと大学の卒業論文を思い出してもっと重い気持ちになります。業務報告書までなら我慢しますが、始末書なんてのは最悪です。書きたいとは思っていないことを書くのは楽な作業ではありません。

でも、とりあえず自分の経験したネタを文字にする、あるいは自分の考えるところを別に制約無しに文字に置き換える作業というのは、一度始めてしまえば結構面白いものです。語彙の少なさに愕然としたりしますが、別に小説を書くわけではありませんから、まぁ、とにかく書いてしまう。そして、それに適当なタイトルをつけて見出しを整理すれば立派なホワイトペーパーの出来上がり。


最初に戻って、企画資料に解説文章を付けられるかという問題

資料の作り方には大きく二つあって、読ませるための資料と、話のための補助資料。ここで言うのは前者です。正直、文章・・・というか仕事のためのドキュメントを読むのを嫌がる方が多いという実感があります。技術解説ならいざ知らず、ストラテジーに関わるような文章は難しいし忙しくて読めないとか、こんな文字ばっかりのは嫌だとか、そんなの難しくて書けるか!みたいなのだとか。でも、きちんと考えを伝えるためには絶対にそれなりの内容を持ったドキュメントが必要だと思います。ちゃんと説明できるんだったら、それを文字に置き換える作業の手間さえいとわなければ出来ると思うんです。最後はやる気になるかどうか。責任を取りたくないから文章にしないとか言われると身も蓋もないんですけど。

喋り言葉を置き換えるように書いてみて、それでも書けなくなってしまったら・・・ 多分その資料をちゃんと説明できないはずです。頭の中で構成する話は適当にごまかせますが、文字にすると逃げようが無い。あいまいに説明しようとしているところは、あいまいな表現の文字に置き換わってしまう。一目瞭然です。


自戒をこめて

話を聞かないと理解できない資料を作る必要がある場合には、もちろんそうします。ただ最近の私の立場は、自分が作った資料と原稿を誰かに喋ってもらうというのが殆どです。ある時は役員だったり、ある時は上司だったり、ある時は営業さんだったり、またある時はイベント会場のナレーターだったり。

社内の関係者であればある程度ほったらかしにできますが、社外の人のための原稿だったりすると、きちんと文字にして読み込んでもらい、更にそれについての補足の説明をし・・・

文字に置き換えられるくらい理解していないと、全然役に立ちません。なんだか反省材料に事欠かない今日この頃です。

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